2013年4月29日 (月) 掲載

◎鉄道ファン 乗って撮って…江差線で臨時列車運転

 【上ノ国】2014年5月に廃止が予定されているJR江差線(木古内—江差間)で28日、団体臨時列車「えさし号」(函館—江差、1往復)が運転された。約80人の乗客は、歴史情緒あふれる江差町内の観光を楽しみ、沿線では珍しい列車の走行シーンを撮影しようと、全国から写真愛好家が集まった。

 同列車はJR北海道函館支社が「ありがとう江差線企画」第1弾として企画。普段は江差線を走らない特急形気動車(キハ183系、3両)を使用するとあり、「乗る」と「撮る」で人気を集めた。上ノ国町の湯ノ岱駅周辺の天ノ川近くでは、数十人がカメラを構えた。

 釧路市の会社員高井宗康さん(42)は「留寿都、岩見沢の友人と手分けし、合わせて7カ所で撮影する予定。今年は江差線撮影がライフワーク」、仙台市の大学生内村聡さん(21)は「江差線は昨年、2度乗っている。企画はうれしいけど、列車が無くなるのは寂しい」と話していた。(山崎純一)



◎市電で名所巡りを…湯川に観光案内所

 函館市企業局交通部は28日、ゴールデンウイーク(GW)に合わせて市電沿線の見どころを紹介する観光案内所を、市内湯川町の湯の川温泉電停付近に開設した。同温泉の宿泊客を対象に市電の乗車券を販売し、沿線の名所や史跡を案内した。

 GW期間中に毎年行っており、今年で10年目。初日は緑色のジャンパーを着た同部職員5人がワゴンを設置、観光客に「おはようございます」「3回以上乗るなら1日乗車券がお得です」などと、笑顔で声を掛けた。

 ワゴンでは市電1日乗車券(大人600円、子ども300円)、市電・バス共通1日乗車券(大人1000円、子ども500円)を販売。五稜郭やベイエリアなどへのルートを聞く観光客が多く、職員が丁寧に道案内をしていた。

 同部事業課の湊公宏主査は「昨年よりも観光客が多いように感じる。市電に乗り、100年の歴史を感じてもらえれば」と話していた。

 案内所は29日と5月3〜5日に設置。午前8時45分〜同11時。 (千葉卓陽)



◎松前・専念寺に啄木の歌碑建立

 【松前】町唐津の真宗大谷派専念寺(福島憲成住職)境内に、歌人石川啄木(1886—1912年)の歌碑が建立された。歌は1910(明治43)年の日韓併合を憂い詠んだとされ、碑を建てた七飯町の浅利政俊さん(82)は「啄木の精神を次の世代に引き継ぎ平和を享受したい。歌碑がそのきっかけになれば」と願いを込める。

 「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつつ秋風を聴く」—。歌碑に刻まれた短歌は日韓併合の年に刊行された「創作」10月号に掲載された。教員の傍ら啄木の研究も進めてきた浅利さんは、「統制が厳しい時代に批判するのはたやすいことではない。民族は違えど同じ人間として敬う真心を感じた」とする。

 太平洋戦争中には、町内に朝鮮半島や中国大陸から1000人以上の労働者が連行され、軍事産業路線として整備が進められた旧国鉄松前線敷設工事作業に従事していた。歌碑が建立された専念寺には、その強制労働で命を落とした人たちの慰霊碑がある。1985年からは毎年5月に慰霊法要も行われ、同寺によると、保管する過去帳には殉職者11人の名が記されているという。

 歌碑は七飯町の横津岳山麓から出る安山岩の七飯石を採用。同寺の山門をくぐるとすぐに見える場所に設置され、高さ約1b、横1・3bほど。福島住職は「当時を知る人たちが亡くなった今でも多くの参拝者が訪れる。世代を超えて多くの人の目に触れてもらえれば」と話す。

 歌碑の除幕式が5月3日午前11時から、慰霊法要が同正午から行われる。(小杉貴洋)


◎50年ぶり函館でアイヌ民族の伝統的儀式「カムイノミ」

 アイヌ文化の伝承・保存活動に取り組むNPO法人道南マウコピリカの会(加藤敬人理事長、会員26人)は28日、函館空港でアイヌ民族の伝統的儀式「カムイノミ」を行った。同会によると函館市内で同儀式が行われたのは50年ぶりだという。

 カムイノミは神への祈りという意味。同空港国内線旅客ターミナルビル2階に、アイヌの民芸品を販売する「ラプ」がオープンしたことを記念して行われた。

 空港の出口前で、民族衣装を着た会員ら約10人がいろりを囲み、トノトと呼ばれるアイヌの伝統的な酒を神々に捧げながら空港の発展や市民の幸せなどを祈った。

 同会の加藤理事長は「函館空港のより一層の安全を祈った。今後はラプを拠点に、アイヌ文化をさまざまな形で空港から発信していきたい」と話していた。(金子真人)