2013年4月4日 (木) 掲載

◎大門キッズスタジアム、6月から棒二森屋に移転

 JR函館駅前の子育て支援施設「大門キッズスタジアム」(若松町、WAKOビル内)が6月1日、棒二森屋アネックス6階に移転する。市中心市街地活性化基本計画の中核事業として進められるWAKOの再開発に伴い、新複合ビル開業までの暫定措置。市経済部は、移転先での新たな運営事業者を募集している。

 同ビルは、函館駅前若松地区市街地再開発事業として秋にも解体が始まり、2016年度にはマンション併設の複合ビルに生まれ変わる予定。新ビル内では、市がスタジアム機能や一時保育機能などを備えた「子育て世代活動支援プラザ」として新施設を開設する計画となっている。

 棒二森屋内の移転先のスペースは約660平方メートル。現施設と同様に子どもの安全に配慮し、体を使って遊べる遊具や知育玩具、児童図書などを備えることなどが条件。委託期間は来年3月末まで。委託料の上限は人件費や施設整備費など3675万円。フロアの賃借料は市が負担する。施設利用料金の変更はできない。

 8日まで参加申込を受け付け、15日までに応募書類を提出。プレゼンテーション審査を経て、今月中に事業者を決定する。募集要項についての問い合わせは市経済部中心市街地再生担当(電話0138・21・3990)へ。(今井正一)

 大門キッズスタジアム  駅前地区の活性化や子育て支援を目的として2010年7月に開設。子どもたちが体を動かしながら安心して遊べる施設として、ボールプールやウオールクライミング、知育玩具などさまざまな遊具があり、年間約7万人の利用がある。現在は同ビルを運営するNAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)に事業を委託している。



◎摩周丸と八甲田丸の共通入館券発売

 1988年まで青函連絡船として活躍し、函館港で保存展示されている「函館市青函連絡船記念館摩周丸」と、青森港に係留されている「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」の共通入館券が、1日から発売された。青函ツインシティ(双子都市)交流とともに、2015年度の北海道新幹線新函館(仮称)開業を見据えた初めての取り組み。

 共通入館券は両市でつくる青森・函館ツインシティ推進協議会が交流事業の一環として企画し、大人1枚700円。両記念館の入場料はともに大人500円で、2船を見学すれば計300円分が割引される。デザインには、太宰治の作品をモチーフに青函圏域の魅力を創造しようと今年3月まで実施した「赤い糸プロジェクト」のシンボルマークなどをあしらった。

 摩周丸は連絡船の運航実績表をデジタルデータ化してパソコンで閲覧できるなど、運航にかかわる史料や文献が豊富にそろっているのが特徴。一方の八甲田丸は就航当時の車両甲板を一般公開しているほか、昭和30年代の青森駅舎や連絡船乗り場などを再現した「青函ワールド」など、設備面が充実している。

 摩周丸の指定管理者、NPO法人語りつぐ青函連絡船の会は「東京で保存されていた羊蹄丸がなくなり、現在ある連絡船はこの2隻だけ。連携して盛り上げていきたい」、八甲田丸の指定管理者、NPO法人あおもりみなとクラブも「新幹線の開業効果がさらに波及し、青函交流が深まれば」と期待を寄せている。

 共通入館券は1500枚作成。市内では同記念館と、JR函館駅2階のいるか文庫で販売中。問い合わせは同記念館(電話0138・27・2500)へ。(千葉卓陽)



◎特別列車で江差線の旅、町民有志が実行委発足

 【江差】来年5月にも廃止されるJR江差線木古内—江差間の功績をまちづくりに生かそうと、江差町民有志が3日、「ふれあいローカル江差線の旅実行委員会」を立ち上げた。10月に臨時特別列車を走らせる考えで、今後関係機関と協議する。メンバーは「戦前戦後の生活を支えた江差線の存在を未来に残したい」と意気込んでいる。

 実行委は元社会福祉協議会職員の田畑栄一さんを会長に、地域で社会福祉事業などに力を入れる14人で構成。3年前から構想を練り、昨夏には関係機関に持ちかけて実行寸前だったが、昨年9月にJR北海道が同区間の廃止案を表明したのを受けて一時、計画は中断状態に。メンバーは、JR側と沿線3町の協議を見守っていたという。

 設立総会では、「世代間交流を通じて協働の喜びをまちづくりに生かす」ことなどの活動趣旨を確認。木古内町に協力を求め、北海道新幹線に関係した交流活動も盛り込んだ。

 特別列車は紅葉が見ごろとなる10月19日を第一希望にJR北海道と協議する。江差—木古内間42・1キロ区間の運行で、2両編成120人の定員を予定している。

 メンバーの多くは、2004年〜09年、大型フェリーを貸し切って江差近海を周遊する「ふれあい船の旅」の実行委だった。田畑会長は「船の旅では年齢や障害の有無に関わらず、多くの人々が垣根なく交流を深められた」と振り返る。「江差線の旅は3年越しの夢。家族との触れ合いを深めるものであってほしい」と話している。

 予算は約53万円の見込みで、チケット代金や企業寄付のほか、道の地域づくり総合交付金の採択も目指す。特別列車の申し込みは7月ごろの予定。(田中陽介)


◎写の文化 世界に発信、岩澤さんが美術本作成

 函館市出身で、現在は米国カリフォルニア州で日本の美術品販売店「岩澤オリエンタル・アート」を経営する岩澤矩美子さん(64)が、日本の写(うつし)の文化を紹介する美術本「美の伝承・写」を作成した。同書はデジタル版として一般にも公開している。

 岩澤さんは、1977年に米国の大学へ留学。その後、国際オリンピック委員会(IOC)の職員などを経て、82年に日本の美術品を取り扱う同店をオープン。同書は30周年を記念して作られた。

 写とは、美術や伝統工芸品などの作品を模写し、その技術を継承していく文化。同書では、漆器に金粉などで装飾をする蒔絵(まきえ)を紹介。江戸時代などの名工の作品とそれを写した石川県の蒔絵師、前端雅峯さんの作品を比較しながら解説している。

 岩澤さんは「写は単なる模造品ではなく、伝統的な作品からインスピレーションを受け、それを超える作品を製作することに意味がある」とし、「今後はシンポジウムなどを開き、古い日本の文化を未来につなげていけたら」と話している。同書はhttp://ijaponesque.com/utsushi/から無料でダウンロードすることができる。(金子真人)