2013年4月6日 (土) 掲載

◎迫力の進水式 市民歓声…函館どつく

 函館どつく(函館市弁天町)で5日、本年度1隻目の新造船「マウント・ヒクランギ」(1万9850トン)の進水式が行われた。関係者や市民が見守る中、巨大な船体が海面に滑り降りていった。

 香港の海運会社「マウント・ヒクランギ・リミテッド」が発注した全長175・5b、幅29・4bの木材兼ばら積み貨物船。函館どつくが独自に開発した幅が広く、浅い喫水が特徴の船倉ボックス型。2月14日から建造を開始し、5月下旬の完成、引き渡しを予定している。

 進水式では船首のくす玉が割られ、船体は勢い良く船台を滑り降りた。迫力ある光景に詰め掛けた市民は大きな歓声を上げていた。初めて進水式の様子を見た函館中の沢小学校2年の坂東有咲さんは「くす玉が割れてとてもきれいだった。また見たい」と満足そうに話していた。

 同社によると、本年度はあと5隻を建造するという。(松宮一郎)



◎各地で入学式 新入生表情晴れやか

 函館市内の2大学、1短大、1中学校で5日、本年度の入学式が行われ、希望に満ちた新入生が新しい学びやでスタートを切った。

 ○…公立はこだて未来大(中島秀之学長)は同大で行い、システム情報科学部に255人、同研究科の博士課程(前期・後期)に36人が入学。真新しいスーツに袖を通して引き締まった表情で式に臨んだ。一人一人の名前が読み上げられ、新入生は返事をして起立。

 中島学長が「大学生活は今までとは違い、自分の時間を自分で自己管理する。その中で、読書を心掛けてほしい。さまざまな知識を得ることは自身の糧となり、成長につながる」と励ました。

 新入生を代表し、山川拓也さんが「人とのつながりを大切に過ごしていきたい」、研究科代表の大御堂尊さんが「一生懸命努力していくことを誓います」とそれぞれ宣誓した。

 ○…函館大(溝田春夫学長)は、同大で開催。多くの来賓や保護者らが見守る中、真新しいスーツ姿の新1年生110人が出席。4年間の学生生活に胸を膨らませた。

 学生一人ずつの名前が読み上げられた後、函大付属柏稜高出身の松谷友梨亜さんが溝田学長から入学許可証を受け取った。式辞で溝田学長が「社会貢献できる人材となるよう、積極的に学問に励み、真の知恵を身に付けて」とエールを送った。

 最後に新入生を代表し、宮万里子さんが入学の意気込みを力強く宣誓。式後、松谷さんは「商業系の教員になりたくて入学した。夢の達成に向けてしっかり勉強を頑張る」と話していた。

 ○…函館大谷短大(福島憲成学長)は、函館国際ホテルで開いた。新入生はコミュニティ総合学科24人、こども学科77人、専攻科福祉専攻13人の計114人。

 式では、仏教の儀式「献灯献華(けんとうけんか)」に続き、福島学長が焼香。新入生の名前を一人一人読み上げて、入学を許可した。

 コミュニティ総合学科の吉田七海さんが「この日を心から喜びを感じられる有意義な学生生活の第一歩とすることを約束します」と宣誓。福島学長が「大谷の精神を一人一人の学びの寄り所として充実した学生生活を送り、夢をしっかりつかみ取って」と式辞。同短大後援会の村上幸輝会長がはなむけの言葉を贈った。

 ○…道教育大附属函館中学校(羽根田秀実校長)は、同校で行った。学生服やセーラー服に身を包んだ新1年生120人が、教職員や保護者らの拍手に迎えられて入場。希望を胸に新生活をスタートさせた。

 最初に、同校音楽部員が校歌を披露。続く式辞で羽根田校長が「今後の数年間は自己形成の時期。他の誰とも違う自分自身をつくり上げ、目の前に続く道を堂々と歩んでいってほしい。教職員一丸で支えます」と述べた。

 教職員の紹介後、新入生を代表し伊丹来綺君が「夢や目標を達成するため、自己をより高めていく。新入生全員がゴールに行けるよう、全力で頑張る」と誓った。式後は記念写真の撮影などがあった。(山崎大和、長内 健、平尾美陽子)



◎通学用と統合 8日本格運行…陣川地区「Jバス」実証実験2年目

 陣川あさひ町会(西川孝一会長)のコミュニティーバス「Jバス」が4月で運行2年目を迎えた。本年度から、これまで保護者組織が独自運行してきた小中学生の通学バスを「Jキッズバス」として統合し、新学期が始まる8日から本格運行を開始。一般利用者向けは「Jオールバス」として、実証実験を継続する。

 Jバスは地域住民が運営委員会(上野山隆一代表)を組織し、函館バスと運行の委託契約を締結。陣川地区から商業施設が集積する美原地区や昭和地区を結ぶ独自路線を設定。行政などの補助を受けずに自主財源で運営する形態で、昨年4月に運行を開始した。

 今季は経費の節減と効率化を図るため、利用が少なかった日曜日、祝日の運行を取りやめた。1カ月定期券は3000円の値上げとなり、5500円とした。上野山代表は「昨年の設定は安すぎたためで、従来の路線バスの定期よりは安く設定している」と理解を求める。

 Jキッズバスは、これまでの通学バスと同様に市教委からの補助金を活用し、登下校時の運行と、学校行事に合わせた臨時便など柔軟に対応できる体制は維持する。保護者の経費負担は増えたが、通学定期券で一般向けのJオールバスも利用でき、小学生で120件、中学生で80件程度と、ほぼ見込んだ数の申し込みがあった。

 また、Jバス利用者から早い時間帯の運行要望があったことから、午前7時台の小学校行きの1便を一般利用者も乗車できる「混乗便」とし、一般利用者や高校生の利用状況を検証。児童の乗車マナー向上にもつなげたい考えだ。

 一方で、昨年度の収支決算は赤字となる見通しのほか、ボランティアでの組織運営の在り方や、各委員の負担軽減も課題だ。上野山代表は「運営は非常に厳しいが、広告収入を増やして赤字分をカバーしたい。バスをなくしてほしくないと応援してくれる人もいる。Jバスの周知宣伝に力を入れたい」と話している。(今井正一)


◎住民と一緒に地域盛り上げ…桧山振興局・立花局長が着任会見

 【江差】4月1日付で着任した立花謙二桧山振興局長(56)が5日、記者会見し、「桧山には日本一と言える自然や食、伝統文化が多い。魅力の磨き上げと積極的なPR、住民の協力で地域を盛り上げていきたい」と意気込みを語った。

 立花局長は主要任務として「住民の安全安心づくり」「一次産業を含む食と観光の充実」を挙げ、道立江差病院の早期分娩再開や道南圏のドクターヘリ導入への働きかけ、桧山日本海ニシンの復活事業などに力を注ぐ考えを示した。

 管内の高齢化や人口流出対策、雇用確保、自然災害への備えなども強調。着任して真っ先に新村卓実奥尻町長に電話を入れ、6町の首長とも会い、相互の連携や協力を確認したという。

 復活の兆しがあるニシンについて、対策協議会の活動をバックアップするとともに、農業では、ブロッコリーやアスパラガスなどの高収益作物に注目。新幹線時代を見据えた交流人口の拡大にも力を入れ、「経済効果は大きい。本年度から庁舎内に新幹線観光対策室を置き、本庁などと連携して取り組む」とする。

 物産展や食品産業分野での人脈と経験も生かし、「しっかりPRをすればもっと良くなる。『桧山に行ってみたい』と思えるよう、職員と一緒に汗をかきながら頑張りたい」とした。

 立花局長は1956年11月5日生まれ。釧路市出身。弘前大学人文学部経済学科卒。80年に道庁入り。米国や経済産業省などへの派遣を経て、2011年に経済部観光局長、12年同部食関連産業室長。(田中陽介)