2013年4月7日 (日) 掲載

◎道南人口 2040年36%減

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた人口推計で、2040年の道南(渡島・桧山管内)18市町の人口は2010年比36・6%減の29万7799人に落ち込むことが分かった。全18市町とも減少し、函館市はこの30年間で約10万人が減少すると見込んでいるほか、2人に1人以上が高齢者(65歳以上)となる自治体が6町にも上り、人口減少と高齢化の深刻化をあらためて浮き彫りにしている。

 将来人口は国政調査や人口動態などのデータから、将来の出生率や死亡率を仮定して算出した。これによると、函館市の減少率は37・4%で、2040年は17万4769人まで減少。ピーク時(1980年、34万5165人)から半減する。

 市企画部は「人口減にはさまざまな要因があり、複合的に対処していかなくてはならない」(政策推進室)としており、基盤とする観光産業や水産業の振興、中心市街地の活性化などの取り組みを一層強めていく考え。

 減少率が最も低いのは、北斗市の19・9%。函館市から子育て世代が移り住むなどして堅調に人口を増やしてきたが、北斗市は「今までの考え方は通用しないことを再認識した」(企画財政課)と危機感を強める。函館と隣接する七飯町も25・7%。渡島管内で最も人口が少ない鹿部町も23・7%にとどまっており、同町は「本別地区のリゾートの存在を加味したのでは」(企画振興課)と分析する。

 一方で渡島西部や桧山は人口減少が激しく、福島町の61%減をはじめ松前、木古内、上ノ国、奥尻、せたなの6町で半分以下に減ると推測。中でも福島、奥尻は2000人を割ると見込まれた。福島町の佐藤卓也町長は「大変ショッキングな数字だと受け止めており、できうることはすべて手を打ちたい。出産祝い金や水産・農林業の担い手支援など少子化対策は効果が出ており、継続していく」と話す。

 高齢化の進行も著しく、松前町では65歳以上が全体の59・1%に上るほか、福島、木古内、奥尻、江差、せたなも2人に1人が高齢者となる見通し。社会保障など扶助費の増加が見込まれる一方で、税収の落ち込みは避けられない状況。各自治体にとっては福祉施策の充実とともに、地域の活力をどのように維持していくかが問われている。(千葉卓陽、鈴木 潤、森裕次郎、小杉貴洋)



◎「搭乗者の声」知りたい 函大生が函館空港と協力し調査

 函館大学の学生が今春から、函館空港ビルデングと協力し、搭乗者の施設満足度を調べる旅客アンケートを同空港で実施している。施設設備や従業員の応対について、市民や観光客から生の声を集め、分析結果を同空港のサービス向上につなげる考えだ。

 活動しているのは、同大の大橋美幸准教授の講義「商学実習」を受ける4人。2年生の必修科目だが、テーマは毎回変えている。今回の調査項目は居住地や年齢、利用目的、各航空会社従業員の接客や、保安検査場、物販店の雰囲気などで、主に5段階で評価してもらう。4月の閑散期と夏の繁忙期に調査する。

 活動2日目の6日は、中澤さおりさん(19)と平野瞳さん(19)が終日、搭乗前の人たちに「ご記入お願いします」とアンケート用紙を配布。午後3時までの7時間で260枚集めた。

 同行した大橋准教授によると、「不足している施設」との質問に「ラウンジ」との回答が目立ったといい、「空港利用者には近隣住民も多く、そのニーズは多様だと感じている。さまざまな発見が期待できる調査になるのでは」と話していた。

 この活動は7日も行う。秋以降、学園祭や学内発表会で集計結果を報告する予定。(長内 健)



◎健康遊具 10日にも開放 昭和公園

 函館市は、体の柔軟性を測定できる遊具など高齢者向けの健康遊具10基を昭和公園(昭和町20)に導入し、10日にも一般開放する。本年度もさらに9基を同公園に設置することにしており、市は高齢者が体力づくりに励むきっかけにしてほしいと期待している。

 市は昨年度、高齢化社会の進展と健康志向の高まりを受け、約950万円で同公園に遊具10基を設置。昨年秋に芝生の上に設けたため、芝生の養生を待って今春から利用を始める。

 10基のうち、「座位体前屈測定」は、いすに座って上半身を大きく曲げ身体の柔軟性を測ることができ、手や腕、腰の柔軟性アップに効果的。「バランス円盤」は揺れる円盤に乗ってバランスを取ることで、足首の柔軟性を高める。このほか「ふみいたストレッチ」「腕のばしテスト」など、楽しみながら体力アップできる遊具がそろう。

 本年度は、はしごにぶら下がりながら手を前に伸ばして移動する「うんてい」や、背中や肩の柔軟性を鍛える「背のばしベンチ」など9基を整備する。事業費約1100万円で、9月末までの利用開始を見込んでいる。

 8日に芝生の状態を確認し、問題がなければ10日から開放する。市緑化推進課は「公園利用者の年齢構成が変わっている一方で、地元からは子ども向けの遊具を求める要望もある。昭和公園での利用状況をみたい」としている。

 また同公園を管理する市住宅都市施設公社は5月24日午前10時から「公園活用講座 昭和公園健康ウオーキング」を開き、健康遊具の使い方を学ぶ。定員20人。申し込みは4月24日以降に同公社(TEL0138・40・3605)へ。(千葉卓陽)


◎春の全国交通安全運動スタート

 春の全国交通安全運動が6日、全国一斉にスタートした。初日は交通安全意識の高揚を図ろうと、道警函館方面本部と函館西署が市内で啓発活動を行った。15日までの10日間、さまざまなイベントを通じて市民らに呼び掛ける。

 ○…道警函館方面本部は午前10時から、交通課、函館機動警察隊の25人が集まり、同本部分庁舎駐車場で出動式を開催した。松尾健弘本部長は「春は新入学児童や高齢者の事故の増加が懸念される。地域や関係機関と協力し、住民の先頭に立って啓発活動に努めてほしい」と訓示した。

 続いて同本部交通課の田村豊課長が「1件でも交通事故を減少させるため、子どもと高齢者への呼び掛けを重点的に、シートベルトの全席着用や飲酒運転の根絶を目指し、効果的な取り締まりを実施します」と決意表明。車両点検が終わると、白バイ2台とパトカー7台が出動し、市民らに交通安全を訴えていた。

 ○…函館西署駐車場では午前9時半から、同署員や函館北星小学校学童保育所こばとクラブの児童ら約50人が参加して決起集会が開かれた。児童による交通安全宣言や交通安全祈願餅つきなどが行われた。

 函館西交通安全協会の森川基嗣会長は「安心、安全のまちづくりのために、力を合わせて啓発活動に取り組んでいきたい」とあいさつ。小林誠一署長は「信号が青でも事故に遭うこともある。注意して横断するように」と呼び掛けた。

 決起集会後、参加者は国道5号で街頭啓発活動に取り組み、信号待ちのドライバーに夜光反射材などの交通安全グッズを手渡した。


◎函館でも風疹流行 10月から急増

 風疹が全国的に流行する中、函館市内でも患者報告数が例年を大幅に上回るペースで増えている。市保健所によると、市内医療機関から風疹患者数の全数報告が始まった2008年以降、08年は1人、09年から昨年9月までゼロだったが、10月から増え続け、今年の3月24日までの約6カ月間で11人(うち、今年は5人)と急増している。

 風疹はウイルスによる感染症で、発疹や発熱、リンパ節の腫れなどが主な症状。しかし、微熱程度で、発疹も目立たず、かかっていることに気付かないまま、せきやくしゃみなどでウイルスが拡散し、感染の広がりつながる。

 風疹の予防接種は、1977〜94年度は女子中学生を対象に集団接種が行われ、95年度からは12〜36カ月の男女への定期接種となった。このため、20〜40代の男性のワクチン接種率が低く、函館でも昨年10月から発症した患者11人のうち、6人は20〜40代の男性だった。

 妊娠初期の女性が感染すると、子どもに難聴や心疾患などの先天性風疹症候群を引き起こす恐れがある。市保健所などでは予防接種や手洗い、うがいの徹底を呼び掛けている。

 市内桔梗5のえんどう桔梗マタニティクリニック(遠藤力院長)では、待合室に設置しているモニターを利用し、妊婦の夫や家族に対して風疹の予防接種を呼び掛けている。同クリニックは「自身はもちろん、奥さまや赤ちゃんの健康を守ることにつながるので、予防接種を受けてほしい」としている。(金子真人)