2013年4月9日 (火) 掲載

◎函高専 放射性物質測定装置2台目導入へ

 函館高専(岩熊敏夫校長)は本年度、2台目となる放射性物質測定装置を導入する方針を固めた。精密測定装置で、学生の教育研究に使うほか、学外からの検査依頼も受け付ける。10月までに導入予定で、放射能検査態勢を強化して地域の産業に貢献する。

 函高専は、全国51国立高専に先駆けて地域共同テクノセンター(センター長・小林淳哉教授)内に、簡易型(ヨウ化ナトリウム型)を設置。函高専によると、本格稼働した昨年8月〜今年3月の検査実績は計64件。このうち学内の教育研究用が28件、学外からの依頼が36件。土壌が最も多く、コメや牛乳、ジャガイモなど農畜産物のほか、国の基準と同じ値の放射性セシウムが昨年、道内でも検出されたのを受け、マダラの検査もあった。

 同装置は、放射性セシウムを1`当たり2ベクレルの少量まで検出できる最高水準の性能を持つという。時間は20〜90分で、検査料は1検体6000円。

 精密型(ゲルマニウム型)の導入は、簡易型で一定値以上の放射能を検出した場合、より精度の高い確認検査が必要なことや、「より広い環境分析に対応するため」と小林教授。国の補正予算を活用して約1500万円。

 道南には現在、市立函館保健所内に精密型がある。検査に当たって函高専は苫小牧、旭川、釧路の各高専を窓口に道内全域をカバーしており、市内が対象の同保健所とすみ分けして検査態勢を充実。小林教授は「教育研究の高度化に向けて体制整備が重要。また、道内全体の安全確保にも貢献できれば」と話している。(山崎大和)



◎悲惨な事故防ぎたい…江差町交通安全母の会 今年も啓発活動に力

 【江差】町内の主婦らでつくる「江差町交通安全母の会」(北浦美穂子会長)は、新年度も啓発活動に力を入れる。メンバーは「『交通安全は家庭から』を合言葉に幸せな日々を守っていきたい」と交通ルール順守を呼び掛けている。

 同会は37年前に現顧問の干場マツエさんの呼び掛けで発足。現在は60〜70代となった役員の高齢化が懸念の一つだが、「長年積み重ねてきた母の会のともし火を消さぬよう」と北浦会長を中心に地道な活動に励んでいる。

 メンバーは、町内の3小学校の新入学児童に今年も記念品を届けた。押し花の手づくりのしおりに鉛筆、折り鶴で「登下校時の安全と友だちづくり、健やかな成長を願って用意した」と同会。昨年度は、江差追分全国大会や鍋まつりなど町内の主要イベントに積極的に参加し、専用コーナーを設けて、安全運転を呼び掛けた。

 このほか、町内の主な横断歩道前に子どもと大人の靴型の白い塗装を施し、足を止めて安全確認をしてもらう「足型作戦」の塗り替えを本年度に予定している。

 江差町は2004年2月から交通事故死がなく、7日現在で3336日の記録。対岸の奥尻町では7日に交通事故死が発生、01年7月から4298日で事故死ゼロ連続日数が途絶えた。

 北浦会長は「悲惨な交通事故を防ぎたいという思いで、関係機関と協力して活動を続けている。住民一人一人の注意と心がけで安全社会の継続と実現を図らなければ」と気を引き締めている。(田中陽介)



◎函館—釜山コンテナ航路 貨物取扱量15%減

 函館港唯一の国際定期コンテナ航路、函館—釜山(韓国)航路の2012年度コンテナ貨物取扱量(速報値)は、前年度比15・3%減の2900個(TEU=20フィートコンテナ換算)となった。東日本大震災から2年が経過し需要が一段落したことが要因とみられるが、輸出は過去最高の取扱量となっており、市は「全体的には増加傾向」とみている。

 コンテナ航路は2005年5月に南星海運(韓国)が開設、函館港に毎週水曜日に寄港した後、釜山や中国の各港を回っている。

 同部や南星海運ジャパン(東京)によると、12年度は輸出が前年度比22%増の1095個と好調に推移。噴火湾産のホタテ貝殻が韓国、中国でカキの養殖に使われているほか、ホタテやカタクチイワシなどの海産物や廃プラスチックの取り扱いが伸びた。

 一方、輸入は同28・5%減の1805個。健康食品や化粧品の原料に使われる魚油が堅調だった一方、ヨーロッパからの原木などは減少した。

 コンテナ航路は05年以降順調に取り扱い数量を伸ばしてきたが、市などは開設前の調査で、函館港で取り扱い可能な数量を年8000個と推計。年2500個とする目標は2年連続で越えたが、同部は「現在はまだ潜在能力の3分の1程度。利便性を高めることで苫小牧から函館にシフトしてもらえるよう、売り込みを強めたい」(港湾空港振興課)としている。

 昨年5月からは船舶が大型化しており、現在は950〜960個のコンテナが積載できる「スタースキッパー」(9520d)「スターパイオニア」(同)が交互に入港している。南星海運ジャパンは「函館側のPRで苫小牧から移っており、さらに集荷を増やしていきたい」と話している。(千葉卓陽)


◎73歳 向上心ふつふつ…福原さん 中部高定時制に入学

 北斗市一本木の福原ケイさん(73)が8日、函館中部高校定時制(千原治校長、生徒142人)に入学した。高校生活は10代からの憧れで、半世紀以上の時を経て夢をかなえた。福原さんは「子どもたちより時間がかかっていい。とにかく何でも学びたい」と向学心を燃やしている。

 福原さんは旧大野町の農家に生まれた。閉校した町立萩野中学校在学時から高校進学を目指して勉学に励んでいたが、「農家はどこも人手不足の時代。『女に学問は要らない』って、家族が反対したんです」。以来、50年以上農作業に従事してきた。

 その長い歳月で、働くこと、親や家族を尊敬することの大切さを思い知った。33歳の時に夫(当時36)が亡くなったが、胸の中には常に愛する伴侶の存在があった。2年前、夢だった高校への思いもふつふつと湧き上がり、中部高定時制の受験を決意した。「楽しいこともあればつらいこともあった。今まで私が培ってきた経験や知識を同級生に伝えたい」と福原さん。

 8日の入学式。自身を除く新一年生28人はいずれも10代で、年齢は50以上離れていた。福原さんは「孫のようにかわいい。若い人の力をもらいつつ、一生懸命頑張る」と、これからの4年間に期待を膨らませている。

 同校によると、福原さんは2010年3月に85歳で卒業した女性に次ぐ最高齢者という。(長内 健)