2013年5月14日 (火) 掲載

◎函館短大、「適格」認定 第三者評価2度目 北海道・東北初

 函館短大(上平幸好学長)が、短期大学基準協会(東京)の2012年度第三者評価を受け、「適格」と認められた。7年に一度受けることが義務付けられた制度で、05年度に続いて2度目。全学的な教育の質保証の取り組みが評価され、2度の適格判定を得たのは北海道・東北地区で初めて。

 国は04年度から、全短大に第三者評価を義務付け、同短大は05年度も北海道・東北で先駆けて合格。前回は教育研究や運営、施設などが設置基準を満たしているかが問われ、今回は学習の成果に主眼が置かれた。同短大を含む全国33短大が申請、適格となった。

 同短大の場合、▽少人数の必修科目「教養ゼミナール」できめ細かい指導を行っている▽学生による授業評価や成績の情報を教職員が共有し、よりよい授業につなげている▽資格・免許取得に力を入れ、就職難の時代でも2学科平均94%(11年度)の内定実績を挙げた—などの優れた特徴がある。

 上平学長は「良い教育をして、学生と保護者の満足度の高い短大を目指す。就職に強い短大としてマルチライセンスの取得をさらに進めたい」と話す。

 認定は3月14日付。教務部長の猪上徳雄教授を中心に約2年かけて報告書をまとめ、それに基づく訪問調査を経て適格と決まった。(山崎大和)

 



◎函館公園のソメイヨシノ開花

 函館市が昨年11月、サクラの後継樹として函館公園(青柳町)に植樹したソメイヨシノが開花した。市や住宅都市施設公社が2005年度から「桜後継樹育成調査研究事業」として取り組んだ成果で、同公園内で採取したサクラの枝を接ぎ木して育てたもの。函館由来のサクラを後世へと受け継ぐ道筋が開いた。

 市内有数のサクラの名所である同公園や五稜郭公園などで古木化が進んでいることを受けて始まった事業。自然交配繁殖が難しいソメイヨシノの後継木として、長い間、市民に愛され続けるサクラと同じ遺伝子を持つクローン桜≠育てた。市民ボランティアを交えて育てたエゾヤマザクラの台木に各公園から採取したソメイヨシノを接ぎ木し、苗を育てた。

 函館公園で開花したのは昨年11月に今上陛下御即位記念碑裏近くに植樹した2本の内の1本。ほかのサクラに比べて、まだまだ幹や枝は細いが愛らしい花を咲かせた。

 新たに後継樹を移植する予定はないが、接ぎ木の技術は今後も継承していく方針。市緑化推進課は「函館公園や五稜郭公園の老木は今年も元気に花を咲かせているので、後継樹の育成がすぐに必要というわけではない。昨年植えたサクラが見事に咲いてくれて本当にうれしい」としている。(今井正一)



◎「ようこそ函館」全市挙げて演出 新幹線開業対策推進機構 デザイン統一 市民意識盛り上げ

 函館商工会議所や市など関係機関でつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構(会長・永井英夫函館商工会議所副会頭)は本年度、全市を挙げて取り組む「ようこそ函館演出事業」を展開する。「ようこそ函館」と書いた統一デザインを作成。行政や事業者などが共通で使用するものとし、観光客を出迎える態勢づくりの機運を全市規模で盛り上げていく考えだ。

 「ようこそ函館演出事業」は、新幹線開業まで3年を切ったことから新規事業として取り組む。2010年に新青森駅が開業した青森県でも同様の事業を開業まで3年を切った段階で行ったという。

 「ようこそ函館」をメーンとしたデザインを作成し、それをもとにポスターやステッカー、名刺用台紙、横断幕、のぼり旗などの各種ツールを新たに作製。行政や事業者などにもさまざまな場面で活用してもらい、市民の意識を盛り上げ、観光客の満足度向上にもつなげていく。

 デザインは、大勢の観客が訪れる7月末のGLAYの屋外ライブまでの完成を目指しており、2016年3月の新幹線開業まで使用する。新駅の名称や開業日が決まり次第、それらをデザインに盛り込んでいくという。同機構では「開業に向けて市民や事業者がやる気を高めていくための取り組みを加速させる年にしたい」とした。

 また、昨年度実施した「新幹線開業はこだて魅力創造ゼミナール」のフォローアップ事業を行うほか、継続事業として東北新幹線沿線での集中プロモーションや公衆無線LAN(Wi—Fi)の拠点拡充、フォーラムなども引き続き行う。13日に市内のホテルで総会を開き、本年度の事業計画や予算を承認した。(松宮一郎)


◎大間原発問題 安部首相、建設前提の答弁 函館市が不満の声

 13日の参院予算委員会で、函館市などが建設の無期限凍結を求めている大間原子力発電所(青森県大間町)に関する質疑があった。安倍晋三首相が同原発に関して初めて答弁し「稼働に当たっては立地自治体や周辺自治体に理解を求める」と述べたが、事実上の建設容認ともとれる内容で、函館市からは不満の声が上がった。

 紙智子氏(共産党)が質問。工藤寿樹市長が無期限凍結を求め、今年2月に政府に要請活動を行ったことなどを挙げ、「活断層の調査もしていないのに建設が進んでいる。周辺自治体の声を聞いているのか」などと政府に詰め寄った。

 安倍首相はこれに対し、「稼働に際しては原子力規制委員会の厳しい規制基準のもとで専門的に調査する。立地自治体をはじめ、周辺自治体の理解を得る努力をしたい」と答弁。また、茂木敏充経済産業相は「出来上がった段階で、新しい基準に従ってチェックする」などと述べ、建設を前提とした答弁に終始。道南サイドの主張とは平行線をたどった。

 市総務部は「国会での議論を通じて、首相に改めて大間原発への認識を持ってもらえたとは思うが、(市にとって)いい方向に向かう内容ではなかった。雰囲気はこれまでと変わっていない」としている。  市は、国や事業者の電源開発(東京)に対する差し止め訴訟を準備しており、今国会での答弁が訴訟の動向に影響を与える可能性もある。(千葉卓陽)