2013年5月19日 (日) 掲載

◎過去最大の客船寄港

 コスタクルーズ社(イタリア)の豪華客船「コスタ・ビクトリア」(7万5166トン)が18日、函館港に初寄港した。真っ白な船体と黄色の大きな煙突が特徴の船で、函館入港実績のある客船では過去最大。同日夕まで滞在し、乗客約2000人が市内近郊の観光を楽しんだ。

 同船の全長は60階建てのビルに相当する253メートル、全幅32メートル。日本一周クルーズの最中で、乗客のほとんどは日本人。11日に横浜を出港し、韓国・釜山、石川県金沢などを回り、函館の次は仙台に向かった。

 入港時には函館巴太鼓が歓迎演奏を行い、デッキで見守った多くの乗客から拍手が沸き起こった。船内での歓迎式で、片岡格副市長は「大きな船体に圧倒されました。市民も入港を待ち望んでいた」と歓迎。初寄港記念の盾を受け取ったパオロ・フザリーニ船長は「函館の温かいもてなしをうれしく思う。イタリアンスタイルの旅の楽しみをもっと多くの人に知ってもらいたい」と話した。

 夫婦で乗船している埼玉県志木市の名児耶久枝さん(72)は「クルーズ旅行は4回目。船内で好きなものを食べられる食事も魅力。外国船は料金も安く、その分、寄港先で楽しめます」と話していた。同船は9月にも函館寄港を予定する。(今井正一)



◎箱館五稜郭祭が開幕、土方コンテストは河野君優勝

 戊辰戦争最後の戦地・五稜郭をテーマにした「第44回箱館五稜郭祭」(同協賛会主催)が18日、函館市内で開幕した。初日は戊辰戦争で戦死した新選組副長、土方歳三の最期を演じる「土方歳三コンテスト全国大会」があり、函館工業高校3年の河野憲嗣君(17)が初出場で優勝に輝いた。

 同大会は五稜郭祭の関連行事として五稜郭タワーで毎年開き、26回目。函館に加え、東京、名古屋、遠くは岡山から女性5人を含む計17人が参加した。

 大勢の観客が見守る中、参加者は明治政府軍を相手に戦いを仕掛け、銃弾に倒れた土方の生き様を熱演。中には英語をしゃべったり、口に刀をくわえて剣舞したりするユニークなパフォーマンスも飛び出て、会場の笑いも誘っていた。

 河野君は、テレビドラマで新選組の存在を知った小学生時代から土方のファン。3年前から函館野外劇の殺陣チームの一員に加わり、今年の野外劇公演で土方役を務めることが決まっている。先月同大会出場を決意し、仲間と夜遅くまで稽古を重ねたほか、土方に似せようと髪を分けるなど役作りにも専念。「新選組に懸ける土方の思いと、近藤勇への友情を表現できた。支えてくれた仲間たちに感謝したい」と優勝を喜んだ。

 五稜郭祭は19日に「維新行列」が開かれ、河野君もパレードに参加する。(長内 健)



◎よさこい 躍動の演舞、中島三郎助まつり最終日

 幕臣の中島三郎助親子にちなんだ「第20回中島三郎助まつり」(中島町商店街振興組合など主催)最終日の18日、恒例の「中島三郎助杯争奪よさこいソーラン大競演」が函館市の中島廉売大通り会場で開かれた。市内で活躍する5チームの華やかな演舞に酔いしれた。

 毎年6月に札幌で開かれる「YOSAKOIソーラン祭り」に参加するチームに、新作を披露する機会を提供しようと始まり、今年で13回目。チーム数や参加人数の減少から、「この形式では今回が最後」(主催者)になった。

 今回は、昨年優勝したききょう幼稚園(川村兼悦郎園長)の年長組チーム「グローバルキッズ」をはじめ、函館躍魂いさり火、元祖婆あYOSAKOI、煌・ついんくる、函館学生連合〜息吹〜が出場。沿道の観客500人には投票券が配られ踊りを審査。各チームはそれぞれ迫力と熱気あふれる舞いを披露して観客を沸かせていた。

 審査の結果、イカ踊りを取り入れるなどかわいらしい演舞を披露したグローバルキッズが2連覇。主催者は「来年は形を変えて新たなイベントを考えていきたい」と話していた。また、午前中には碑前祭が行われ、関係者が三郎助親子の足跡をしのんだ。(千葉卓陽)


◎介護支援ボランティアポイント事業、函館市が来年度中に導入

 函館市は、要支援・要介護認定を受けていない高齢者がボランティア活動を通じて介護予防を図る「介護支援ボランティアポイント事業」(仮称)を来年度中に導入する方針だ。介護施設などでボランティア活動に取り組み、付与されたポイントを現金に換える仕組み。

 ポイント事業の参加対象は65歳以上の市民。介護施設などに入所する高齢者との会話や趣味の相手、施設の身の回りの手伝いをしてポイントをもらい、一定程度たまったら現金を受け取ることができる。

 ボランティア活動で生きがいを見出したり、運動不足を解消して介護予防を推進することが狙い。市高齢福祉課は「年々上昇している介護保険給付費の抑制にもつながるはず」と説明する。

 同様の事業を実施する自治体は、全国に先駆けて取り入れた東京都稲城市など、市が把握しているだけで50以上あり、ここ数年、急増傾向。道内の市では苫小牧が初めて昨年度に導入し、1月末現在で258人がボランティア登録。同市は年間の換金上限を5000円に設定している。

 市は7月以降に先行実施している関東の自治体や苫小牧市を視察し、具体的な換金上限額や仕組みを構築していく。

 同課は「函館は高齢化率が29%を超えるなど、高齢者が多い街。ボランティアの受け入れ先が分からない高齢者が多いので、(この事業に)たくさんの人が参加してくれることを期待している」と話している。(後藤 真)