2013年5月21日 (火) 掲載

◎岩手から伝わった100年前の神楽 来月15日に公演

 【厚沢部】100年ほど前に岩手県から道内に伝わった神楽の特別公演が6月15日午後3時から、町民交流センター(新町181)で行われる。岩手から約30人が来町する予定で、関係者は「神楽を縁に1世紀を越えて双方で育んできた交流をさらに深めたい」としている。

 特別公演は、昨年11月、厚沢部町の故佐藤春蔵さんが保存していた東北から伝わった神楽道具の一式が、北海道開拓記念館(札幌市)に寄贈されたのを岩手の関係者が耳にしたことがきっかけ。1999年に厚沢部の関係者が岩手を訪れ、神楽で交流を深めたこともあり「今度は厚沢部で歓迎しよう」と企画した。

 町教委によると、この神楽は遅くとも15世紀末に始まったとされる、岩手県花巻市大迫町の国の重要無形民俗文化財「早池峰(はやちね)神楽」の流れをくむ。1906(明治39)年ごろに同町合石(あわせいし)集落から道内へ渡った先人が、ニセコ町を拠点に1914(大正3)年ごろから神楽を奉納。春蔵さんの曾祖父佐藤久八さん一家が厚沢部に入り、寄贈した道具一式は親族によって丁重に扱われてきた。

 14日夜には佐藤家親族らが公演に向けて実行委(佐藤新一委員長)を発足。99年に岩手を訪れた町内の佐藤三治さん(89)、やすさん(87)夫妻は「温かな歓迎で一番いい席を用意して神楽を見せてもらったのを覚えている。岩手の人に会えるのが楽しみで心ばかりだがお礼を伝えたい」と話している。

 公演の問い合わせは町教委(TEL0139・64・3318)へ。 (田中陽介)



◎NCVスタジオ新しく

 函館市と近郊をエリアにケーブルテレビ、インターネット事業「NCV」を展開する、ニューメディア函館センター(函館市桔梗町)は、ニュース番組などを収録するスタジオを5年ぶりにリニューアルし、20日から使用開始した。

 スタジオは約11b×約8・5bの広さで、以前はブルーを基調としていたが、今回は西部地区の赤レンガ倉庫群をイメージし、レンガ調の柱や床で、バルコニーも設置し、木のぬくもりにあふれている。ニュースのほか情報番組「おじゃマップ」などで使われる。

 アナウンサーの相庭美華さん(37)は「柔らかい雰囲気に一変し、温かみを感じる中、地域のホットな話題を伝えたい」と話していた。同社ではスタジオ見学も受け付けしている。問い合わせは同社(рO138・34・2525)へ。(山崎純一)



◎燃油高 イカ漁依然厳しい状況…28、29日に政府支援訴え集会

 6月1日に解禁される函館のスルメイカ漁は、円安による燃油高が続き、依然として厳しい状況だ。A重油は1g当たり90円台で高止まり、漁業者からは「操業しても赤字になる」と心配する声が漏れる。政府への支援を求めて漁業団体は28、29両日、全道、全国規模の集会を相次いで開く。

 23隻が所属する市漁協(橘忠克組合長)によると、組合員に販売するA重油価格は16日現在、1g当たり91・5円(税別)。前月より1・8円下がったが、1日現在と変わらず高い水準。同漁協は「下がる要素がなく、6月1日からは逆に値上がりの可能性も」と危機感を示す。

 28日は札幌で、200人規模の「漁業経営危機突破北海道漁業代表者集会」(道漁連など主催)、29日は東京で「我が国漁業の存続を求める全国漁業代表者集会」(全漁連など主催)を開催。函館を含む2500人が参加して都内でデモ行進も予定している。

 市漁協は「最初は初競りに向けて出漁するが、その後は出漁しても採算割れになるなら、漁業者の判断で休む人も出てくるかも」という。

 日本海側を北上中のイカの群れは、石川や新潟で時期は遅れているが、漁模様が良いといい、津軽海峡周辺でも好漁が期待される。「函館小型イカ釣漁業部会」(佐藤豊次部会長)は25日午前11時から、函館漁港(入舟町)で大漁祈願祭を行う。(山崎大和)


◎リンゴ、ジャガイモに遅れ…渡島、桧山振興局が今年初の作況

 渡島総合振興局と桧山振興局は20日、今年1回目の管内の農作物生育状況と農作業状況(15日現在)を発表した。渡島では4月中旬から続く低温と日照不足の影響でリンゴの生育が平年より10日遅れ、桧山では雨の影響で露地ジャガイモの植え付け作業が9日遅れている。

 水稲は、苗の出芽が渡島で3日遅れ、桧山で2日遅れ。低温、日照不足が響いたが、農家はハウス内の温度や水管理により丈夫な苗作りに懸命だ。

 ジャガイモの植え付けは、渡島が平年より3日遅い今月5日に終了。桧山の露地栽培は畑に入れず大幅に遅れており、マルチ栽培は8日遅れて今月10日に終わった。

 牧草の生育は、渡島で2日、桧山で4日それぞれ遅れている。家畜用トウモロコシの種まき作業は、雨で渡島が始まっておらず、桧山が2日遅れ。

 渡島のリンゴ(つがる)は、葉が出てくる展葉(てんよう)がかなり遅れており、開花(平年5月18日)もずれ込む見通し。桧山のビートは苗の移植が平年と同じ今月15日に終わった。両振興局は「今後の天候回復を期待したい」(農務課)としている。(山崎大和)