2013年5月22日 (水) 掲載

◎新作スイーツ発表会、ケーキと紅茶 相性ぴったり

 国産高級紅茶「琉球紅茶」を手がける「沖縄ティーファクトリー」(沖縄市、内田智子社長)による「函館ブレンド」と、「ペシェ・ミニョン」(湯浜町、中澤美樹社長)の新作スイーツ発表会が21日、函館国際ホテルで開かれた。新たな食文化のスタイルを提案する取り組みで、ケーキのおいしさを引き出す紅茶との相性の良さを市民ら約100人が味わった。

 函館市などが進める紅茶とスイーツ一緒を楽しむ「函館アフタヌーンティー・プロジェクト」の取り組み。函館ブレンドは、函館の水で味を引き出すことのできる特別品。ペシェ・ミニョンは、フランスの伝統菓子で、牛乳で煮込んだ道産米「ゆめぴりか」をバニラムースで包み込んだ「リ・オレ」を提供した。

 内田社長は「紅茶の色は強く出ないが味と香りがある。口中で油脂をしっかり流すのでケーキに合う」と紹介。中澤社長は「ケーキにもおいしい温度がある。紅茶とのコラボレーションが素晴らしく私も驚いています」などと話し、味わった参加者から笑顔がこぼれた。市内豊川町の女性(68)は「紅茶は少し渋みがあってケーキにとっても合う。おいしくいただきました」と話していた。

 発表会に先立ち行われた函館ブランドセミナーでは内田社長が講演。スリランカの言い伝えにある紅茶栽培に適した「神様の赤土」に沖縄で出会ったことから国産紅茶栽培が始まったことなどに触れ、「沖縄が紅茶の産地に適しているという話は最初は笑われた。紅茶はどこでも手に入るが、必要な紅茶や目的に合う紅茶を提供していきたい」などと話した。

 函館ブレンドとのケーキセットは、23日から乃木町と丸井今井函館店内のペシェ・ミニョン店舗で提供する。(今井正一)



◎まちセンの建物90歳祝い来館者90人にお菓子

 まちセン≠フ90歳をお祝い—。函館市地域交流まちづくりセンター(丸藤競センター長)の建物が、21日に創建90周年を迎え、来館者90人にお菓子をプレゼントするイベントがあった。

 利用に感謝しようと、館内で販売するかりんとう、カンパン、クッキーなど7種類を用意。好きなお菓子を1個選んでもらい、施設案内パンフレットも添えて手渡した。

 会場では、建物の歴史を紹介するパネル28点の展示(24日まで、午前9時〜午後9時)も始まった。建物から見た1929(昭和4)年の駒ケ岳大噴火や、34(同9)年の函館大火直後の建物など貴重な写真に来館者が見入っている。

 丸藤センター長は「元百貨店なので、施設には子どものころのわくわく感が残っている。今後もわくわく、楽しいことがあるのでは、と思ってもらえる施設にしたい」と話していた。

 1923(大正12)年に3階建てで建設、30年に5階建てに増築された旧丸井今井函館店。2007年4月にまちセンがオープンした。(山崎大和)



◎函館駅周辺にアンテナショップ開設へ

 渡島総合振興局は、ガゴメコンブやタマフクラなど道南産品を販売するアンテナショップを、今夏にもJR函館駅周辺に開設する。北海道新幹線開業に向け、より多くの観光客を呼び込むほか、地元住民にも地場産品をアピールする狙いだ。

 道南の優れた産品を一堂に集めた施設は珍しい。同振興局が発行する食のハンドブック「南北海道 食彩王国」(193品目)に掲載された渡島・桧山管内の一次産品、加工品を中心に100〜150品目を想定。

 場所は高いPR効果が見込める函館駅周辺とし、店舗の所在や規模は未定。同振興局は「食彩王国に載っていても、気軽に買える場所がなかった」(商工労働観光課)と説明する。

 このほか、北海道どさんこプラザ(東京、札幌、名古屋)と同様にテスト販売を導入。一定期間の販売を経て消費者の反応を生産者に伝え、販路拡大や商品開発に役立ててもらう。

 通常の土産店は観光客向けの定番商品を扱っており、差別化戦略として「道南の優れた特色のある商品を販売する店舗と位置付け、地元客もターゲットにしたい」と同課。

 道の2013年度緊急雇用創出推進事業を活用、委託費は約2500万円。14年度以降も継続して運営できる参加希望者を募っている。表明は28日まで。企画提案や有識者会議を経て6月下旬に契約を結ぶ。問い合わせは同課TEL0138・47・9459へ。(山崎大和)


◎九州3セク鉄道の古木社長が講演

 観光列車「おれんじ食堂」を運行する第3セクター鉄道会社「肥薩おれんじ鉄道」(熊本県八代市)の古木圭介社長を講師に招いた先行事例勉強会が21日、渡島総合振興局で行われた。古木社長は赤字縮小につなげた経営手法について語り、「公共交通機関の使命とマイレール意識を持って取り組んで」と力説した。

 北海道新幹線開業後に経営分離される江差線(函館—木古内間)で第3セクター方式の鉄道運行を計画する道や沿線市町の職員約20人が出席した。

 同社は九州新幹線新八代—鹿児島中央間の開業に伴い、2004年から経営分離された鹿児島本線八代—川内間で鉄道運行。開業から赤字経営が続く中、09年に古木社長が就任。この3月から九州西海岸の景色を眺めながら豪華な料理が楽しめる観光列車を運行し、観光客の誘客に成果を挙げている。

 古木社長は、これまで社内に無かった営業部を新設したことや、将来を見据えプロパー(生え抜き)社員の採用を増やし育成に努めてきたことなど、実践例を紹介。

 課題の一つにJRから受け継いだ鉄道設備の維持、補修で「引き渡される前にしっかりとした検証を。並行在来線を経営分離したJRと対立せず協力関係の維持を」と助言。「第3セクターは自助が大事。公共交通機関の使命として安全性、地元の利便性、採算性の努力を」と呼び掛けた。(鈴木 潤)