2013年5月26日 (日) 掲載

◎スルメイカ豊漁 期待込め祈願 燃料価格「下がって」

 6月1日のスルメイカ漁解禁を前に、函館市漁協の函館小型いか釣漁業部会(佐藤豊次部会長、23人)は25日、函館漁港(入舟町)で大漁祈願祭を開き、神事を行って今季の豊漁を祈った。

 トラックの荷台に祭壇を設け、色とりどりの大漁旗を掲げた。神主が祝詞を上げ、岸壁から海に向かってお祈り。佐藤さん(63)ら20人が玉串をささげた。式典後、子どもたちにお菓子を配り、恒例の餅まきもあった。お札船の勢都丸(越野徹船主)など約15隻が海上に繰り出し、お札を流して操業の安全を祈願した。

 昨季は10〜12月が振るわず、漁期トータルの水揚げ量は平成に入って最低。佐藤さんは「新潟で好漁など、昨年より日本海側の状況はいいようだ。燃油高が一番心配だが、イカが捕れれば、休むわけにはいかない」と話した。

 イカ製品を手掛けるトナミ食品工業(北斗)の利波英樹社長は「(イカが捕れなければ)加工業者にとっても死活問題。円安の影響で輸入品の価格が値上がり、国産を使いたいのでイカが捕れてほしい」と期待を込めた。

 同漁協が組合員に販売するA重油価格は16日現在、1リットル当たり91・5円(税別)。前年同期より2・7円高い。解禁後は松前小島沖合で漁をするが、1回の漁で700〜800リットルが必要。「6月以降、何とか下がってほしい」(佐藤さん)と願っていた。(山崎大和)



◎木古内の直売所 新装オープン JAはこだて支店女性部運営「きこりろ」 はこだて和牛も販売

 【木古内】JA新はこだて木古内支店女性部(森永尚美部長)が運営する直売所「きこりろ」がJR木古内駅前に移転し25日、オープニングセレモニーが行われた。関係者によるテープカットなどで開店を祝福。店内にはこれまで町内では買えなかった町特産「はこだて和牛」も並び、生鮮食品などとともに買い求める客でにぎわった。

 きこりろは地元の農産物の魅力をPRしようと同女性部が町大平に開店し、新鮮な野菜や手づくりの加工品などが直売価格で売られ“町の台所”として人気を集めている。建物の老朽化で同地区での12年の営業を終え、木古内駅前にあるJA木古内支店横にリニューアルオープンした。

 セレモニーで直売所運営グループきこりろの林香葉代表が「地域住民に愛される店舗にしたい」とあいさつ。大森伊佐緒町長らがテープカットをした。開店すると買い物客で店内はごった返し、和牛を目当てに来店した女性(76)は「家族に頼まれた分以上に買い過ぎた」と笑顔だった。

 営業時間は午前9時半から午後1時まで。定休日は6月末までが毎週月、水、金曜。(小杉貴洋)

 



◎ノーベル化学賞受賞の鈴木北大名誉教授が講演「努力の積み重ね大事」

 【厚沢部】2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章北大名誉教授の講演会が25日、町内で行われた。地元の中学生らを前に、研究の醍醐味(だいごみ)を伝え、「何事も努力の積み重ねが大事。将来を担う皆さんに私の思いを伝えたい」と熱弁した。

 講演は、町制施行50周年記念事業で町教委の主催。中高生対象と一般町民向けの2部構成で行われた。

 鈴木さんは、数学が好きで有機物質に興味を抱き、北大で有機化学などを研究。その成果が血圧を下げる薬や抗がん剤などに生かされていることについて「たくさんの人に喜ばれているのが幸い。特許を取れば億万長者だが取らない。食べることに困らず暮らせればいい。大金持ちになるための研究ではなく、自分の好きな道を進んでいければいい」と述べた。

 語学勉強の重要性を説き「特に英語が大事。一夜漬けではなく長く努力してこそ身につく」と強調。ノーベル賞受賞については「もらわないよりはもらったほうがいい」と会場の笑いを誘い、「私と共同研究者、学生、北大でのすべてに感謝している」とした。

 生徒が「先生の人生は成功ですか」と質問すると、「自分のやりたいことをやっている。その意味では成功だと言える」と答えた。

 結びに、「自分の道は最終的に自分で決めなければならない。日本の資源は、付加価値のある医薬や精密機器を生みだす高いサイエンスと知識にある。皆さんの中から何人かがその分野に進んで独創的な仕事で日本の将来を支えてもらえれば」と激励した。

 鶉中3年の森高龍之助君(15)は「化学の難しい話は理解できなかったが、貴重な経験談を聞けて良かった」。館中2年の谷口侑子さん(13)は「努力を重ねて勉強する大切さを教えてもらった」と話していた。(田中陽介)


◎函館出身の坂本選手がシュートボクシング日本王者に

 函館出身のシュートボクシング(SB)選手、坂本優起さん(28)=シーザージム=が、4月20日に後楽園ホール(東京)で開かれたSB日本スーパーウェルター級タイトル戦で勝利し、同級(70キログラム以下)のチャンピオンに輝いた。坂本さんは「これからも階段を上るように、勝利を積み上げたい」と喜んでいる。

 函館磨光小、尾札部中を卒業し、旧東高(現市函)へ進学。高校在学中に格闘技選手になることを夢見て、卒業後、両親の反対を押し切り、ジムに通う資金を稼ぐために三重や富山で働いた。21歳で上京し、SBの世界へ。「キックボクシングに加え、立ち技や投げ技、関節技をできることがSBの魅力で、挑戦を決意した」と坂本さん。

 「自分は得意技が無いことで有名なのです」と話す。タイトル戦までの15戦は、粘り強いファイティングで12連勝を含め13勝2敗(5KO)。同級2位として王者・鈴木悟選手の初防衛戦に挑んだ。序盤で乱打戦になり、トレーナーから注意を受けた後、左ミドルキックで相手の右パンチを封じるなど冷静に5ラウンドを戦い、3—0の判定で勝利。「延長戦になると思ったのでほっとした」と振り返る。

 そんな中でマイクを握り語ったのは「勝てたのは皆さんの支えがあったから」。試合中は「ジムや応援してくれる人、SB挑戦を許してくれた両親が自分の勝利を信じている」と言い聞かせたという。「お祝いの言葉を受け、自分を育ててくれたお礼のために勝ち続けるという目標が定まった」と振り返る。

 毎晩の練習前、浅草で人力車を引く俥夫(しゃふ)として働くため「異色のファイター」ともいわれる。「5年前から務めているが、足腰にとって良いトレーニング」と話す。東京スカイツリー開業のおかげで最近は観光客が増えて忙しいという。

 10月20日に函館市内で開かれる格闘技イベントに出場する。「昨年7月以来の函館だが、チャンピオンとして凱旋(がいせん)するのは楽しみ。これからも応援をよろしくお願いします」と話していた。(山崎純一)