2013年5月29日 (水) 掲載

◎田本写真と現代版¢ホ比 及川さん同じ場所で撮影

 函館国際観光コンベンション協会が管理、運営する函館市写真歴史館(元町)は、幕末から明治期にかけて函館で活躍した写真師、田本研造が撮影した函館の街並みと、現在の風景をセットで紹介する新設展示「函館の町並み、今昔(いまむかし)」を始めた。田本の写真と対をなす形で現代版≠並べ、時代の流れと街並みの変化を伝えている。

 田本研造(1831〜1912年)は、明治政府の依頼を受けて開拓使や当時の函館の様子を撮影し、貴重な資料を残した。また、幕末の土方歳三、榎本武揚の肖像写真も田本の撮影といわれている。

 同館では街並みの変化を知ってもらおうと、今回の展示を企画。現在の風景を撮影したのは松陰町で及川写真事務所を営む及川雅夫さん(64)。昨年1月から約1年以上をかけて同じ場所を訪ねて撮影を試みた。

 会場には並ぶのは25組の作品。元町の基坂から函館山を望む風景や英国領事館、函館町会所(旧函館区公会堂)、函館公園などの今と昔を比較することができる。函館山からの眺望は4枚1組で紹介している。

 中には撮影ポイントの特定が難航した写真も。「地元住民の話を聞いて、全く別の場所で撮影していると分かった時もあった」と苦笑いする。また、田本については「じつにさまざまな場所で記録を残しており、精力的な活動ぶりがうかがえる」と話した。

 「写真の日」の6月1日には新設展示の記念イベントとして、及川さんが撮影秘話を語るトークイベントがある。同館では「見応えのある内容、多くの市民に見てもらいたい」と話し、来場を呼び掛けている。

 時間は午前11時、午後1時、同3時の3回。いずれの回も20分程度を予定している。当日は入館無料。問い合わせは同館(TEL0138・27・3333)へ。(松宮一郎)



◎燃油高のまま本番へ スルメイカ漁1日解禁

 スルメイカ漁の6月解禁に向け、函館の漁業者が円安に伴う燃油高に苦しんでいる。A重油の価格は1リットル当たり90円台に跳ね上がったままで、さらに上昇する懸念も。漁のはしりは漁場が遠いため、一定の水揚げを確保できないと漁に出るだけで赤字に。序盤の不漁予測もあり、先行き不透明感の下での漁開始となる。

 イカ釣り漁業者は28日、船の集魚灯を試験点灯するなど出漁準備を進めた。

 「初日は赤字覚悟で漁に出るしかない。燃油の値上がり分を補うほどイカが捕れてくれれば」。山本光夫さん(64)は祈るように話す。松前沖での1回の漁に使う燃油は700〜800リットル。イカが大漁でもそうでなくても燃油代だけで必然的に7、8万円かかる。他の経費もあり「最低でも10万円分の漁獲がないと厳しい」という。

 小田貴広さん(46)は「燃油代がこれほど高いと利益が減って困る」と話す。かつては同50円を切る時代もあり、「せめて同60〜70円になってくれればありがたい。燃油代のほかにも船の修理代など経費がかさむので、捕れないと廃業も考えないと…」と漏らす。

 田原正明さん(53)は「青森県小泊港での初水揚げが大漁だったので、小さいイカでも北上してきているのかなと期待。ただ、函館から出漁するころには、さらに燃油代が上がるのでは」。それでも「頑張って漁に出る。こういうときこそ国がしっかりと支援してほしい」と注文する。(山崎大和)

 



◎市内6商店街の事業助成 全国商店街振興組合連合会が採択

 地域の商店街振興に最大400万円を助成する全国商店街振興組合連合会の「地域商店街活性化事業」に函館市内の6商店街の事業が採択された。各商店街は補助金を活用し利用促進のPRや空き店舗解消などに向けた事業を行い、魅力の向上に努める。

 同事業は、国の2012年度補正予算の100億円を活用し、同連合会が基金を造成。集客促進や需要喚起に向けて、情報発信、マーケティング調査といった事業に対し、30万〜400万円の範囲内で助成する。全国で767件、道内では34件が採択された。

 函館市内では▽函館都心商店街振興組合(空き店舗活用のシルバービジネス調査)▽函館朝市第一商業協同組合(新幹線開業対策=PRイベント、ガイドツアー事業など)▽函館本町市場商業協同組合(市場PR=個店PRチラシ、情報発信など)▽函館自由市場協同組合(集客力向上魅力アップ=市電ラッピング広告、PR誌など)▽函館朝市協和会商業協同組合(市場魅力アップ=個店PR誌、広告宣伝など)▽函館駅二商業協同組合(集客力加速=PR誌、情報発信事業、スイーツ開発など)−の各事業が採択された。

 今後、商店街ごとに助成金の交付申請を行い、来年1月末までの間に各事業を推進する。北海道商店街振興組合連合会(札幌)は「事業は、継続性が求められ、翌年度以降の活動につながると期待している。地元住民のニーズをとらえ、一歩でも二歩でも前に進めてもらいたい」としている。(今井正一)

 


◎給食にもっと地元食材を

 学校給食で使用する地場産食材の活用促進に向け、函館市教委の設置したプロジェクトチームが28日、市役所で初会合を開いた。17人が出席。会議では早速、各校の栄養教諭から「もっとたくさんの地元産食材を使いたい」といった意見が積極的に飛び交った。

 チームは小中の栄養教諭と市教委、市学校給食会で構成。献立作成に従事する栄養教諭の要望や意見を市教委や食材購入を担う同会により多く伝え、給食での地産地消を推進する。

 会議では新たに取り入れたい地場産野菜について、タマネギとカボチャ、トウモロコシの3点が栄養教諭から提案された。また「形が多少崩れていても、できれば(地元産を)全部使いたい」などの意見が出た。

 出席者で市栄養教育研究会幹事長の伊藤綾子さんは「研究会では30年前から地元産の活用を進めてきたが、じかに食材を買い付けできないため停滞していた。この会議で私たちのニーズをより伝えられるので、地産地消を推進できるはず」と述べていた。

 このほか、市教委が来年1月に初めて道南のご当地料理を各校の給食に3〜5品提供することを報告。メニューは「塩ラーメン」「かにめし」「いかめし」など9品からを予定する。

 会議は今後、月2回程度で開催。本年度は10〜12月に提供する地元産のサケとブリを使用した献立や、使用したい地元産野菜の品目などを話し合う。

 市教委によると、2011年度に給食に取り入れた函館産食材の使用率は水産物が12・03%で、農産物は13・96%だった。(後藤 真)