2013年5月31日 (金) 掲載

◎工藤市長、6月30日から福島県視察 原発周辺自治体の影響把握

 函館市の工藤寿樹市長は30日の定例会見で、準備を進めている大間原子力発電所(青森県大間町)建設差し止め訴訟に関し、6月30日から福島県南相馬市と浪江町を視察すると発表した。福島第一原発から30`圏内の周辺自治体が受けた影響を把握し、訴状の根拠の裏付けとする狙い。併せて同市長は、仮に訴訟を起こした際に自ら法廷に立つ考えがあることを明らかにした。

 市が契約している差し止め訴訟の弁護団は今年2、3月、訴状作成に際して両市町を視察。同市長は今月8日の弁護団との会談で、福島を視察する意向を表明していた。

 市総務部によると、6月30日に福島県に入り、7月1日に南相馬市の市役所や、同市南部の小高(おだか)区を視察。小高区は一時帰宅が可能だが、宿泊が認められていない避難指示解除準備区域に該当しており「被害の実態が見やすい」(同部)という。翌2日には同県二本松市にある、浪江町の仮役場を訪問する。

 同市長は視察の主旨として「今まで無関係とされてきた周辺自治体がどういう影響を受けたのか、実態を自分で把握する必要がある」と説明。両市町の首長と面会する意向を示したほか、市議会にも同行を投げかけているとした。

 さらに、住民が避難した際の状況を知り、大間で事故が起きた際に函館・道南での避難が困難なことを立証したい考え。同市長は「事故が起きたら札幌方面に逃げるしかなく、大沼トンネルに車が殺到し、渋滞で全く動かない状態になるのでは」と指摘、「原発稼働にあたって避難路を考えるのはおかしい」と、国や事業者の姿勢を改めて批判した。

 また、市長は提訴した際の口頭弁論への出廷に関し、弁護団との相談が必要とした上で「自分の言葉で話す意味でも現実を見ておく必要がある。直接的に私の考えを述べたい」と意欲を示した。 (千葉卓陽)



◎函館山ロープウェイ 2期ぶり黒字

 函館山ロープウェイ(函館市元町、本間秀行社長)は30日、定時株主総会を開き、2012年度の輸送実績が約131万人と東日本大震災の影響で利用客数が大幅に減少した前年度に比べ18・9%増加したことなどを報告した。利用客数は過去5年間で最も多く、震災の影響を克服して函館観光の回復を強く印象づけた格好。最終利益も5570万円と2期ぶりに黒字に転換した。

 輸送実績は、10年度が約127万人、11年度は震災の影響を受けて約111万人に激減。12年度は台湾との定期便が就航するなど、海外観光客の増加に支えられて約131万人にまで伸びた。震災前の10年度を約4万人上回った。

 売上高は、前期比12・4%増の11億5700万円を計上。営業利益は5025万円で、同社では「全社挙げての営業活動の成果」としている。

 また、15年度の北海道新幹線新函館(仮称)開業を見据え、同社が予定している大幅なリニューアル計画については、本年度準備を本格化させるという。

 また、役員人事では本間社長をはじめ4人を再任。取締役を務めていた武田浩氏と東陽一氏が任期満了で退任し、新たに山原忠執行役員FMいるか局長を昇格させたほか、東原幸生氏(北洋銀行執行役員函館中央支店長)と大橋裕二氏(日本政策投資銀行北海道支店長)を選任した。(松宮一郎)

 



◎全日空ジャンボ 函館で見納め? 今年度中に退役へ

 「ジャンボ」の愛称で親しまれてきたジェット機「ボーイング747」を運航している全日空が、全保有機(5機)の退役を決めたことを受け、羽田—函館線で747型機が一日1往復運航されている函館空港に航空ファンらが詰めかけている。

 6月1日からは別の機種に変わることで、地元の航空ファンは「見納めになるかもしれない」と予想し、函館空港近くで写真やビデオ撮影している。

 30日には空港緑地高松展望広場(高松町)に、東京から来たという男性も含め約15人が集まった。市内旭岡町の男性会社員は「インターネットの画像投稿サイトで、函館にはもう来ないかもしれないという情報が出ていたので、昼休み時間を利用して来た。ジャンボという名前、形も格好良く退役は残念だが、お疲れさまでしたと言いたい」と話していた。

 全日空函館支店では、今後の函館への乗り入れは未定としている。(山崎純一)


◎ニシンいっぱい戻ってきて 園児が稚魚4万匹放流

 【上ノ国】上ノ国保育所の年長児18人が30日、地域の漁業者が育てたニシンの稚魚約4万3000匹を上ノ国漁港に放流した。

 放流は、管内各町とひやま漁協、桧山振興局などでつくる「ひやま地域ニシン復興対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)の事業。2009年度から桧山振興局が独自に取り組んできた事業を含めると、昨年度までに約23万匹を放流してきたが、今季は計10万匹と過去最多になる。

 工藤会長は、この春、江差かもめ島で受精卵が初めて見つかったことに触れ「桧山のニシン復活が注目されている。前浜がニシンでわくように前浜の資源増大を図りたい」と協力を呼び掛けた。

 稚魚は体長5aで、今年2月に近海で水揚げされた親ニシンから採卵、町内でふ化させた。園児たちは「ニシンの赤ちゃんが戻って来られるように、海をきれいにします」と稚魚を激励。坂本一樹ちゃん(5)は「ニシンとお話ができた」と満足の様子だった。

 同協議会は6月12日にも同漁港で5万7000匹を放流する。また、本年度から3カ年計画で道の事業と連携し、単年度10万匹の一括放流と追跡調査で、成長具合などを見極めて事業の充実を目指す。(田中陽介)