2013年5月4日 (土) 掲載

◎噴火湾の水温 01年以降最高

 昨秋の噴火湾の表層水温(5メートル深)が過去11年の中で最も高かったことが、道総研函館水試(湯川町)の海洋観測で分かった。湾内では20メートル深まで高水温となったことから、同水試は「例年にない高温の時期に、強い風が吹いたことが要因ではないか」と分析している。

 同水試は噴火湾内21地点で海洋観測を行っており、試験調査船「金星丸」で調査地点まで行き、水温や塩分などを測るセンサーを海中に投入してデータ収集する。9月は毎年観測しており、昨年の場合、9月中旬の表層水温(5メートル深)の湾内平均値が23・3度と01年以降(03年は9月観測なし)で一番の高さを記録。06年〜11年平均20・9度、猛暑だった10年21・7度なども上回った。

 高水温の要因について、同水試は太平洋高気圧の勢力が強く、南から暖かい空気が継続して流れ込んだ影響で気温が高かったことを挙げる。9月初めに平年より3、4度高い23、24度あり、同中旬までも20度以上が続いた。気温に加え、海面への日射が高水温を引き起こしたという。

 研究職員の佐藤政俊さん(29)は「気温と日射に、タイミング良く低気圧による強い風が加わって、湾内がかき混ぜられたため20メートル深まで高水温になった」と指摘。10年は風が吹かず「噴火湾は気温と日射だけでは、深くまで影響しない。12年は風により高水温の層が分厚くなった」と話す。

 この影響で、ホテタの成長が良くなかったほか、養殖作業が遅れるなどした。佐藤さんは「表層だけ熱くなっても、ホタテをつるしている水深まで熱くならなければ、ホタテに影響は出ない。しかし、20メートル深まで高水温になると影響が大きくなる」と強調する。

 養殖現場では、水温が高いときは作業を控えるなどの対策を講じている人もいる。

 昨年は噴火湾のほか、函館近海のスルメイカ漁で、「いけすイカ」が水揚げ前に死んでしまうなど、高水温の影響とみられる現象が相次いだ。(山崎大和)



◎傘の花咲く GW後半

 ゴールデンウイーク後半の4連休に突入した3日、道南地方は天候が回復せず、雨に見舞われた。函館海洋気象台によると、函館の最高気温は9・7度と4月上旬並みの肌寒さとなったが、ベイエリアや西部地区には多くの観光客が押し寄せ、サクラではなく傘の花が咲く風景が見られた。

 あいにくの天気となったが、金森赤レンガ倉庫には多くの観光客が訪れ、周辺の道路では駐車場の空きを持つ車列ができた。金森赤レンガ倉庫を運営する金森商船は「雨の影響はそれほどみられず、施設の中に入る人の数はほぼ平年並みだった」とする。

 五稜郭タワーは前年をわずかに利用者で下回るスタート。担当者は「サクラが咲いていないのと悪天候で人の動きは鈍い。天候には勝てない。もっと温かくなってもらわなければ困る」と恨めしそうに語った。

 秋田県横手市から訪れた会社員、鈴木武さん(63)と良子さんの夫妻は「五稜郭のサクラを楽しみにきたが、まだ咲いていないので残念。雨と寒さは仕方がないので、赤レンガ倉庫などをゆっくりと見たい」と話していた。

 一方、七飯町大沼のJR大沼公園駅では同日午前、SL函館大沼号の到着とともに大勢の人が降り立ったが、雨のため公園内を散策する人はまばら。同駅前の観光施設「フレンドリーベア」では、連休前半好調だった貸し自転車もこの日は振るわず、「揚げいもやゆでじゃがは面白いように売れている。いつもは秋に売れる商品なのだけど」と複雑だ。

 木古内町から訪れ、両親とSLに乗った木古内小学校2年生の別当由祐君(7)は「SLは今回で3回目。大きい音がすごかった。(渡島大野駅で)新幹線の工事現場も見ることができて楽しかった」と喜んでいた。(今井正一、松宮一郎)



◎函館市 冬の節電 目標上回る

 函館市は1日、市有施設を対象に取り組んだ今冬の「市節電行動計画」(12月3日〜3月29日)の実績をまとめた。対象242施設の期間中の使用電力量は2010年度同期比7・4%減で、目標の7・3%減をわずかに上回った。市環境部は「雪が多かった中、高い意識で励んだ結果」としている。

 242施設全体の使用電力量の約5%に上る日乃出清掃工場は39・3%の削減に成功。毎年2月ごろにする3号炉の定期整備を計画期間前からに前倒ししたことで、大幅な効果が得られた。

 また、し尿処理場は処理量に応じて稼働を制御したことで39・3%削減。全体の使用電力量の6・7%を占める市役所本庁舎は玄関前などのロードヒーティングの稼働時間を短くするなどして6・6%削減した。

 ただ、学校は小中73施設中31が10年度より削減できたものの、残りの42は逆に使用電力量が増加。節電対象外の28施設に含まれた市電も大雪の影響などで3・3%増加したという。

 期間中は西部地区など坂道に設置するロードヒーティングの稼働を全路線で続け、同部は「照明の間引きや事務機器の電源管理を徹底することで大雪をカバーできた」と説明する。

 期間内の節電実績は料金ベースに表すと概算で1000万円以上の節約があるとされ、同部は「財政面でも成果が大きかった」と話している。(後藤 真)


◎昨年度「市民の声」534件…函館市

 函館市が市民や観光客の意見を市政運営に生かす目的で開設している「市民の声」には昨年度、534件の意見が寄せられた。電子メールでの投書が多く、大間原子力発電所(青森県大間町)への意見を年度途中に別途設けたことから、職員の窓口対応をはじめ、市民生活全般に関する要望が目立った。

 市広報広聴課によると、昨年度は電子メールが218件と最多で、本庁舎の投函箱に寄せられたのは134件。昨年4月に新設した総合保健センター(五稜郭町)の投函箱に24件、旧函館区公会堂から箱を移設した市地域交流まちづくりセンター(末広町)には29件の投書があった。これに加え「市民の声」としてカウントはしなかったものの、市の代表メールにも351件の要望、意見が寄せられた。

 実際に市政に反映した指摘や要望では、健康保険証の返却箱設置を求める声に応えて窓口に返却箱を設けたほか、市営住宅で収集日前日にごみを出している人への指導などを行った。大間原発の建設工事再開に対する対応は「市総務部が専用アドレスを設ける前に、集中的に寄せられた」(同課)としている。

 「市民の声」は1997年度から実施。昨年度は機構改革の一環で、担当部局が市民・男女共同参画課から広報広聴課に変わり、市のホームページに専用ページを設けるなどして対応しており、回答内容は市役所本庁舎や各支所の掲示板、ホームページで公開している。広報広聴課は「より多くの市民の声を市政運営に反映させたい」としている。(千葉卓陽)