2013年5月6日 (月) 掲載

◎夜通しで祈りや聖歌 ハリストス正教会で復活大祭

 ハリストス(キリスト)の復活を祝う「復活大祭」が4日深夜から5日未明にかけて、函館ハリストス正教会(函館市元町3、ニコライ・ドミートリエフ司祭)で執り行われた。信者ら約60人が参列し、聖堂で聖歌や祈りをささげた。

 復活祭はキリスト教の暦の中で、最も重要な祝いの日。十字架にかけられて死んだキリストが3日目に復活したことを記念する。同正教会では3日に「聖大金曜日」を開き、イースターエッグの卵染めなどを行った。4日は午前10時からの「聖大ワシリイの聖体礼儀」(奉神礼ほうしんれい)に続き、午後11時半から復活大祭に入った。

 聖堂で「夜半課」といわれる祈とうが始まった後、参列者は外に出て、独特の鐘の音が鳴り響く中、凱旋(がいせん)旗やキリストなど聖人を描いたイコン、十字架などの聖器物を掲げ、聖堂の周りを歩いた。今年は大型連休中となり、深夜にも関わらず通りかかかった観光客も見守った。室蘭市から訪れた会社員武藤尚志さん(51)は「身が引き締まり、良い思い出になった」と話していた。改行 鐘音が鳴り終わると再び聖堂内に入り、ニコライ司祭が復活を祝う言葉をささげた。(山崎純一)



◎おまたせ 「温泉市」

 【森】森町濁川地区の農家の女性が運営する農産物の直売所「温泉市」が5日、11年目の営業を開始した。今年も5、6月の2カ月間、日曜日だけ開店する。店頭には自慢の春トマト、キュウリ、ブロッコリーなどの新鮮な野菜や山菜が所狭しと並べられ、開店を待ちわびた客が次々と購入していった。

 温泉市はJA新はこだて森基幹支店のトマト生産振興協議会女性部に所属する4人が、地域の活性化と農産物を町の内外にPRするため、2003年から毎年続けている。新鮮な野菜を格安で販売するとあって、函館市や近隣の町にファンが多い。

 同地区のトマトやキュウリは温泉熱を利用したハウスで栽培するのが特徴。今年は3月末に出荷がスタートした。冬場の低温と日照不足の影響で生育はやや遅れ気味だったというが、代表の前本博美さん(52)は「甘さはばっちり。ぜひ味わってほしい」と胸を張る。改行 販売会場は前本さんの倉庫を利用。この日は開店前から100人以上の客が列を作り、開店と同時に目当ての野菜をかごに詰めていった。毎年温泉市を楽しみにしているという八雲町の主婦、久保扶佐子さん(64)は「濁川のトマトは甘くて長持ちするので大好き。今年も毎週買いに来ます」と笑顔だった。

 19、26日は森町物産協会が初めて参加し、いかめしなどを販売する予定。営業時間は午後2時〜同6時ごろまで。 (松宮一郎)



◎また函館来てね Uターンラッシュ 駅など混雑

 ゴールデンウイーク(GW)を古里や観光地で過ごした人のUターンラッシュが5日、函館でも始まった。JR函館駅や函館空港では土産など大きな荷物を抱えた家族連れらで混雑した。連休最終日の6日まで続く見通し。

 この日のJR函館駅発の特急列車は、青森と札幌行きがともに午後を中心に6便満席。改札口やホームでは子どもたちが見送りに来た家族に「またね」と手を振る姿が見られた。6日は青森行き6便、札幌行き7便が満席となっている。

 函館で2日間過ごしたという青森市の会社員、木村邦和さん(40)は「きれいなサクラが見れなかったのは残念ですが、おいしい海鮮料理を食べたり、買い物したりといい思い出ができた。年内にまた旅行に来てみたい」と笑顔で話した。

 5日の函館空港は各社によると、東京行き4便と名古屋行き1便が満席で、6日は東京など本州方面行き11便が満席という。また函館と札幌を結ぶ高速バス「はこだて号」も5、6日ともに予約で埋まった。(長内 健、後藤 真)


◎道南各党 活用模索…ネット選挙 参院選から解禁

 今夏の参院選からインターネットを利用した選挙運動を解禁する改正公職選挙法が成立した。これまで制限があった選挙運動期間中のホームページの情報更新や、候補者と政党に限り、電子メールで投票を呼び掛けることなどが可能となる。道南の各政党は法改正を「有権者の関心が高まる」として前向きに受け止め、円滑な活用方法を模索している。

 改正法では、一般有権者を含め、ウェブサイト(ホームページ、ツイッター、フェイスブックなど)を利用した選挙運動が可能となったほか、メール利用は政党と候補者に限定し、受信を同意した有権者に対してのみの送信とし、公民権停止など厳しい罰則も設けた。ただ、改正前は選挙期間中の活用が制限されていただけで、ウェブ利用が普及した現在では、大きな変化はないとみる向きもある。

 自民党道8区支部長の前田一男衆院議員はメールの制限を過渡的な判断とし、「ネガティブキャンペーンを組織的にやることも可能で、リスク、反作用も懸念される。参院選では想定してなかった問題も出てくるはずで、改めるところは改めなければ」とする。

 民主党道第8総支部代表の前衆院議員逢坂誠二氏は「情報発信のチャンネルが広がる分、労力がかかり、結局は資金とマンパワーが必要になる。法律と進化し続けるツールのギャップを埋めるまで混乱が続くのでは」と指摘した。

 公明党函館総支部の茂木修支部長は「紙媒体や政見放送は限られた人にしか情報が行き届いていない現実もある。ネット活用は今後の選挙運動の主力になっていく」とし、特に若年層への政策浸透に期待を寄せ、演説会の生中継などの活用方法を検討する。共産党函館地区委員会では、外部講師を招いたSNS活用の講習会を開催するなど、対応を模索。高橋佳大委員長は「党員の中にはSNSを知らない人もいるので、じっくり勉強したい」と話す。

 一方で、候補者数が限られ、注目が集まりやすい国政選挙と違い、多くの立候補者が争う地方議会選挙では、「活用には限界もあるのでは」との指摘もある。

 函館市議会の若手市議は「リアルタイムで情報が発信でき、印刷物を配布する手間がかからない。ユーザーが手軽に情報を得られるツールなので有効に活用したい」と活用に前向きだ。普段から政策発信にブログを活用している別の市議は「市議レベルであればアクセスしてくれるのは知人の範囲内に限られてしまう。使い方の工夫や努力が求められる」と話す。

 議会活動にネットメディアを活用していないベテラン市議は「地域ではやはり相手の顔を見て、話を聞いて歩く活動が大事。従来の活動に重点を置くことは変えないが、時代の流れでもありネットでの情報発信にも挑戦したい」と話していた。(参院選取材班)