2013年6月12日 (水) 掲載

◎函高専 学生寮の学習にiPadミニ導入

 函館高専(岩熊敏夫校長)は、学生寮「春潮(しゅんちょう)寮」で行う1年生の一斉学習時間に、タブレット型多機能携帯端末「iPad」ミニを導入した。紙媒体に比べ安価で効率良く学習できるのが特徴で、今秋にはインターネットに接続して講義の予習・復習にも活用する。国立高専学生寮でのiPad導入は全国で初めてという。

 寮は高専敷地内にあり、現在の寮生数は1〜5年生182人(うち女子37人)。1年生40人(同8人)が月〜木曜の午後9〜10時半、一斉学習に励む。家庭学習の習慣を身に付けるため2003年から始まり、昨秋からは寮の3年生が教える態勢も整えた。

 iPadミニを使うのは開始から30分間。10日夜も男子食堂に男子、女子が集まり、英語の空欄穴埋めや英文の並べ替え問題などに取り組んだ。中野海渚(みなぎ)さん(15)は「紙が無駄にならず、文字も読みやすい」、関口明宏君(15)は「画面を見ながら答えをノートに書くので、覚えやすい。勉強がはかどる」と笑顔を見せた。

 高専の教員が作った英語と数学の問題データをiPadミニに保存しており、学生が画面を操作しながら答えをノートに書き写していく。回答も画面上で見られ、答え合わせができる。

 文科省の事業に採択され、学生の学びの支援として80台を購入。一斉学習での使用は5月下旬から始まり、学習支援室長の鳴海雅哉准教授は「個人により苦手科目が異なるので、各個人のニーズに的確に対応できる」と話す。

 副校長(寮務主事)の渡辺力教授は「インターネットを利用できる環境を整備し、講義内容を録画した映像を見ながら復習するなど、自己学習システムを構築したい」と話している。(山崎大和)



◎ハイカラ號 心地良く…路面電車の日記念し無料運行

 函館市電の応援団体「函館チンチン電車を走らせよう会」(高田京子会長)は11日、箱館ハイカラ號を貸し切って無料で運行した。戦中、戦後に車掌を務めた女性5人をはじめ、市民ら約30人が乗車。晴天にも恵まれ、心地よい風を受けながら駒場車庫前─函館どつく前間を往復した。

 NPO法人函館市電の熟練工の技を伝える会の共催。「路面電車の日」(6月10日)記念として運行。今年は路面電車開業100周年、1988年の同会発足25周年、93年のハイカラ號運行開始20周年の節目が重なった。高田会長は「ぜひ何回でもハイカラ號に乗って楽しんでほしい」とあいさつ。車内では交通部OBの後藤紘道さんがレトロな制服に身を包み、観光案内も務めた。

 この日は、戦中の1944年に車掌として採用された数馬成子さん(88)、櫛引春枝さん(83)、佐藤千枝子さん(84)、細谷鏡さん(84)、増川ヨシミさん(84)を招待。定期的に集まって交流を続けているという5人がハイカラ號にそろって乗ったのは今回が初めてで、五稜郭公園前電停などで5人がそれぞれ出発の信鈴を「チン、チン」と響かせた。櫛引さんは「電車に乗ると務めていたころを思い出します。詰め所のあった柏木町では当時の景色が目に写りました」と話していた。

 また、記念の抽選会も行われ、寺田時計店(堀川町)の寺田昭吉さんから、オリジナルのハイカラ號グッズが提供された。景品が当たった市内柏木町の星景子さん(37)と電車が好きだという次男拓見ちゃん(2)は「景色もきれいで風が気持ちよく、息子も喜んでいました。いい記念になりました」と喜んでいた。(今井正一)



◎宇江佐さん 函館の魅力語る…文学の夕べ

 函館在住の時代小説家、宇江佐真理さんを講師に招いた本年度第1回「文学の夕べ」が11日、市文学館で開かれた。「函館で小説を書くこと」と題し、宇江佐さんは柔らかな語り口でデビュー当時や地元の生活環境について語った。

 市文化・スポーツ振興財団が主催し、約50人の市民が来場。函館出身の宇江佐さんは、1995年に「幻の声」でオール読物新人賞を受賞してデビュー、2000年には「深川恋物語」で吉川英治文学新人賞を受けている。

 デビューまで7年ほど小説を応募し続けた宇江佐さんは、「藤沢周平さんが好きだったから」と説明。現在、小説の新人賞は250以上あり、受賞第1作が小説家の運命を左右するとし、「私はオール読物新人賞の選考委員から連作の執筆を勧められた。その助言を信じて書いてきた」と述懐した。

 18年間、故郷で創作を続けるのは「東京から帰って来れば空港でいつも深呼吸する。空気だけでなく、水道水もおいしいから」。小説家の志望者に向けて、北方謙三さんの言葉にあるという「書き続けることに疑いを持つな」を紹介した。

 後半は、来場者から題名の決め方や、小説家として良かったことなど質問が相次いだ。宇江佐さんは「高校時代に寺山修司の詩を勉強したことが生きている」「読者から喜ばれることが何より」と述べた。(長内 健)


◎クンクン…麻薬探知犬が実力披露…函館税関

 函館税関は11日、麻薬の密輸撲滅を訴えようと、函館市役所で麻薬探知犬のデモンストレーションを行った。市民らは麻薬探知犬のデモンストレーションに見入り、確かな嗅覚に驚きの声を上げていた。

 同税関には麻薬探知犬が4頭配置され、千歳空港を拠点に管内の各空港や貿易港で取り締まりにあたっている。探知犬としての訓練期間は約3カ月。大麻や大麻樹脂、覚せい剤、コカイン、ヘロインなどの不正薬物のにおいを嗅ぎわけることができるという。昨年3月には千歳空港で大麻摘発に貢献した。

 この日はベテランの麻薬探知犬「ブロード号」(ラブラドール、オス7歳)と相棒のハンドラー、稲谷崇さんがデモンストレーションに登場。

 市役所職員が一列に並び、その中から麻薬のにおいがついたハンドバックを探すというもの。ブロード号が正確ににおいを嗅ぎわけると、見学していた市民は大きな拍手を送った。

 同税関では「海外旅行をした際に知らず知らずのうちに麻薬の運び屋になってしまうことがあるので注意してほしい」とし、「情報提供などで水際での摘発に協力を」と話している。(松宮一郎)