2013年6月25日 (火) 掲載

◎白百合高・柴田さん、豪州科学奨学生に

 函館白百合学園高校(吉田めぐみ校長、生徒354人)普通科LB(特別進学)コース2年の柴田愛さん(16)が、本年度のオーストラリア科学奨学生に選ばれた。国内で選抜された9人の1人で、30日から2週間、派遣先のシドニーで最先端科学の講義を受ける。

 シドニー大学内物理学財団が夏に2週間、隔年実施する「高校生のための国際科学学校」で、オーストラリアや米国、中国、イギリスなど世界各国から143人が参加する。今年のテーマはナノサイエンス(極微小の物質を取り扱う科学)。日程は7月13日までで、講義に加え施設見学、宿舎生活、参加者同士の交流会など、全て英語で行われる。

 柴田さんは成績優秀で、学校推薦を受けて今年2月に道教委へ応募。4月半ば、各都道府県代表の生徒47人が集った文部科学省で日本語、英語による面接に臨み、狭き門を突破した。白百合高では6年ぶり、2人目。

 6歳から気象学に興味を持っていたという柴田さんの夢は気象予報士だが、ナノサイエンスに関連する最先端科学への関心も強い。学校では国際交流部に所属し、英語の勉強にも熱心だ。柴田さんは「他国の生徒と2週間、有意義な学習ができそうで楽しみ。志望大学はまだないけど、今後の進路にもつながる発見があれば」と期待を膨らませている。

 担任の岡田美穂子教諭は「成績優秀で、ほかの学生より発想力が豊かな彼女ならしっかり勉強できるはず。大きくなって帰国してほしい」と話している。(長内 健)



◎西部地区でイカ塩辛製造体験、来春から

 魚長食品のグループ会社で水産加工品製造の「かくまん」(函館市昭和、柳沢政人社長)は来年春から、西部地区の西波止場(末広町)でイカの塩辛の製造体験を開始する。ターゲットは修学旅行生や一般の観光客で、新幹線時代の新たな観光の目玉、体験メニューとして定着を目指す考えだ。

 塩辛の製造体験は、ニーズが高まる体験観光に対応するもので、イカの生態、函館の歴史や文化、産業を学んでもらうのが狙い。

 地域資源の活用を促す国の事業で、農林水産物のイカと、函館西部地区の街並みと歴的建造物という観光資源を組み合わせたことで、国土交通省と農林水産省、経済産業省から認定を受けた。事業資金は日本政策金融公庫函館支店が特別利率で融資した。

 製造体験を行う場所は人気観光スポットの西波止場。2階に専用スペースを設け、同社の社員が常駐する計画。修学旅行生や観光客を相手に、イカのさばき方、塩辛製造までを指導する。季節ごとにヤリイカ、マイカを使い、通年で体験が可能とするのも特徴。

 体験で作った塩辛は、お土産として配送するサービスも付ける。今後は修学旅行のメニューに組み込んでもらえるように旅行会社に提案するなどPRを強化する。初年度は2500人の利用が目標という。柳沢社長は「イカ、西部地区という函館らしさを前面に出すことでリピーターの増加につなげていければ」と話している。(松宮一郎)



◎小笠原金悦さん死去、テーオー創業者、本紙初代社長

 木材・流通大手、テーオー小笠原の創業者で、函館新聞社の初代社長、函館商工会議所副会頭などを務めた小笠原金悦(おがさわら・きんえつ)さんが23日夜、死去した。86歳。

 23日昼、市内で散歩中に転倒し、病院に運ばれたが、頭を強く打っており、午後9時41分、脳挫傷のため亡くなった。

 夜・葬儀は家族と関係者で執り行う。喪主は長男でテーオー小笠原代表取締役社長、小笠原康正(やすまさ)さん。テーオー主催の「お別れ会」を7月18日午後1時から、函館市大森町16の9、ホテル函館ロイヤルで開く。

 金悦さんは1926年、函館市生まれ。庁立函館商業学校(現函館商業高校)卒。弟の孝(たかし)さんらと50年、テーオー小笠原の前身となる燃料店「小笠原商店」を興し、55年に株式会社化。75年にテーオー小笠原に商号を変更し、木材、デパートなどの流通、住宅分野で業績を伸ばした。91年には株式を店頭公開し、ジャスダックに上場。97年5月期に売り上げ492億円を記録した。社長、会長、名誉会長を歴任。

 95年、十勝毎日新聞社と共同で函館新聞社を設立。代表取締役社長に就任し97年1月1日、創刊した。98年6月から取締役会長。

 公職では函館木材協会会長、函館地方法人会会長、日本フローリング工業会理事などを歴任。91年から2001年まで函館商工会議所副会頭を務めた。07年に日本赤十字社寄付で紺綬褒章、08年に自衛隊員募集の功績で藍綬褒章を受けた。


◎渡島の観光客979万人、昨年度

 渡島総合振興局は24日、管内の2012年度観光客数をまとめた。東日本大震災の影響で減少した前年度よりも69万6000人(7・6%)増の979万3000人。震災前の10年度と比べても2・7%増で、最近5年間で最多となった。

 内訳は、道外客が50万4000人増の479万9000人、道内客が19万2000人増の499万4000人。

 月別では、4月から3月までほとんどの月で前年度を上回る実績で、特に4〜6月は前年度比10%超の増加率だった。唯一、1月が前年度を下回ったが、同局は「大雪で航空便やJRの運休が多発したため」とみる。

 市町別では、函館市が前年度よりも39万3000人増の450万1200人、七飯町が24万4000人増の177万7700人など8市町で増加。松前、木古内、鹿部の3町は減少した。

 函館市の増加要因は函館—台北線の就航や道央自動車道森—大沼公園間の開通など、七飯町はツアー客に回復の兆しが見られたとしている。松前、鹿部の2町は幹線道路の土砂災害が影響した。

 一方、外国人宿泊客も震災前の水準に復活し、10年度の12・4%増の19万6874人に上った。前年度との比較では55・6%増。改行 国別では、台湾が14万173人と一番多く全体の71%を占め、次いで韓国2万706人、中国1万531人と続いた。(鈴木 潤)