2013年6月3日 (月) 掲載

◎スルメイカ初出漁 期待と不安「燃油高分の豊漁を」

 道南スルメイカ漁が1日解禁となり、函館市漁協の函館小型いか釣漁業部会(佐藤豊次部会長、23人)が2日、函館漁港(入舟町)から初出漁した。円安による燃油高が続く中、期待と不安の入り交じる思いで漁場に向かった。

 同漁協によると、組合員に販売するA重油価格は1日現在、前月より1円下がって1g当たり90・5円(税別)。前年同期より4・8円高く、高い水準は変わらない。

 田原正明さん(53)は「漁があっても、燃油が高いから採算が取れるだろうか。期待と不安が半々」、山本光夫さん(64)は「1回の漁で約700g使うので、1円下がったぐらいではまだまだ厳しい。高騰分を補うほどの大漁を期待したい」と話した。

 漁業者は、減速航行や集魚灯の削減などの対策を講じ、松前小島沖合で夜間に漁を行う。3日午前5時半から初競りがある。

 青森県産業技術センター水産総合研究所(平内町)によると、日本海側でのスルメイカ漁獲の状況は、5月末から松前沖に近い小泊や三馬屋でまとまった量が捕れており、「ここ数年は漁期開始が6月にずれ込んでいたが、平年並みに戻った」という。

 道総研函館水試(湯川町)の調査結果では、北上群が遅れ、はしりの漁獲は低い水準にとどまる見通し。ただ、日本海側の資源量は悪くはなく、群れの来遊に伴い漁獲も上向くと予測。漁は来年1月末まで続く。 (山崎大和)



◎観光客9.6%増450万人 昨年度の函館市

 函館市によると、2012年度の観光客入り込み数(推計値)は、前年度比9・6%(39万3000人)増の450万1000人。11年度は東日本大震災後の自粛ムードや風評被害の影響で大幅に減少したが、震災以前の10年度(458万人)並みに回復。外国人客の宿泊数も過去最高を記録するなど、年間を通じて堅調に推移した。市は「震災の影響は払しょくした」としている。

 市観光振興課によると、上期(4〜9月)は同13・8%増の303万5000人、下期は同1・8%増の146万6000人。月別の入り込みでは、1月以外は前年度同月をすべて上回ったが、下期全体では増加幅が鈍化。冬場の天候不順によるJRや航空路の運休などの影響とみている。

 交通機関別ではフェリーが微減となった以外は、全手段で数字を伸ばした。JRは同8・3%増の110万5000人で、海峡線が同22・2%増と、東北新幹線新青森駅開業の効果が波及しつつある。

 地域別構成比は道外客が65・8%、道内客が34・2%、宿泊客は66・5%、日帰り客は33・5%。平均宿泊数は1・3〜1・4泊とほぼ例年並みで、宿泊数の伸びが観光消費にもつながることから、今後に課題を残した。

 また、市内の主要宿泊施設への聞き取りでまとめた外国人の宿泊客数は、前年度より6万人以上多い17万8519人と過去最多。昨年2社が相次いで定期航空路を開設した台湾が13万5374人と好調で、外国人客全体の76%を占めた。新千歳空港との直行便を開設したタイも前年度の826人から2346人まで大幅に伸びたほか、シンガポール人も堅調に推移。同課は「本年度にプロモーション活動を実施するが、東南アジア地域は今後も期待できる」とした。

 一方で、国別で2位の韓国は9999人、中国は8561人。ともに11年度に比べて増えたが、震災の影響がなかった10年度と比較すると減少した。大韓航空の休航や日本と両国間の外交問題が影響しているとみられる。

 同課の小笠原聡課長は本年度の好材料として、7月に予定されている人気ロックバンド「GLAY」の野外ライブや、JRA札幌競馬場の改修に伴い計24日間行われる函館競馬の開催、昨年11月に開通した道央自動車道大沼公園インターチェンジの開通などを挙げ、「多くの観光客が来ることが見込まれる」と期待感を示した。  (今井正



◎多彩な樹木どう識別 大沼の山林で博士認定会

 【七飯】樹木の識別方法を学ぶ本年度第1回「樹木博士認定会」が2日、七飯町西大沼の山林で開かれた。参加した12人が新緑まぶしい森を散策しながら落葉広葉樹について理解を深めた。

 道森林管理局駒ケ岳・大沼森林ふれあい推進センター(函館市駒場町、宮本元宗所長)が2000年度から毎年開催。本年度は9月まで毎月全4回を予定し、各回とも認定書を手渡している。

 参加者は国道5号沿いにある「樹木博士認定常設コース」で宮本所長らの講座を受講。最初に450bの事前学習コースを回り、シナノキ、ブナ、アオダモなど20種の説明を受けた。葉の形や大きさ、幹の表面を観察しながら違いを教わった後、試験に臨んだ。

 函館湯川小4年の福田隆登君(9)は「たくさんの木を見学できて楽しかった」と喜んでいた。

 2回目以降は7月7日、8月4日、9月8日に開き、現在参加者を募っている。定員は各30人ほどで申し込みは同センター(電話0138・51・0381)へ。(長内 健)


◎南茅部養殖コンブ漁「後継者不足が深刻」

 NPO法人海の森づくり推進協会(秋田市)主催のシンポジウム「昆布生産の聖地南茅部と海の森づくり」が2日、大船町のホテル函館ひろめ荘で開かれた。基調講演で、尾札部昆布生産加工企業組合代表理事の大川岩男さん(69)が「後継者不足が深刻だ」などと、南茅部地区の養殖コンブ漁の現状と課題を伝えた。

 同協会主催のシンポジウムは毎年全国各地で開催し、函館市は初開催。地元の漁業関係者ら約50人が出席した。

 尾札部地区で約45年、養殖コンブ漁をしている大川さんは「尾札部の養殖コンブ漁師の8割が70歳以上。漁場が狭く、後継ぎがやれる場所がないため、結婚して生活できるほどの水揚げにならない。だからここに残ってくれと後継ぎに言えない」と、後継者不足の現状を伝えた。

 また種付けやロープ張り、選別といった作業が「機械化が一つもされていなく、全てが手作業で大変」と説明。その上で「機械化になれば、この年齢でもやっていけると思う」と話した。

 今年の水揚げについては「高水温が原因かもしれないが、2年ものが初めて全滅した。代わりに1年ものに切り替えたが、今後が不安だ」と報告していた。 (後藤 真)