2013年6月4日 (火) 掲載

◎スルメイカ初出漁 期待と不安「燃油高分の豊漁を」

 道南スルメイカ漁が始まり、3日早朝、9・8トンの初水揚げがあった。出だしの不漁予測から一転してまずまずの漁獲となり、円安に伴う燃油高に苦しむ漁業者は胸をなで下ろした。函館市内ではスーパーや鮮魚店に並び、待ちわびた市民が初夏の味覚を楽しんだ。

 2日夜に松前沖で操業し、水揚げしたのは21隻。函館漁港(入舟町)には午前3時ごろから船が戻り始め、イカをいけすからすくって出荷した。

 田原正明さん(53)は「まずまず。型はここ2、3年で最もいい。燃油高が心配だが、何とか採算が取れるのでは。続けて漁に出たい」と声を弾ませた。

 市水産物地方卸売市場(豊川町)で初競りがあり、函館魚市場営業1部の小林太史次長が「良いスタートが切れた。水温の上昇とともに、型も量も右肩上がりになれば」と期待を込めた。上場数量は平年並み、サイズは80〜90c、20a前後が多く魚体は例年より大きい。いけすいかは1807キロで、前年並みの1キロ当たり1800〜920円。

 はこだて自由市場(新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」では65`を仕入れ、1皿7匹入り1000円で販売。富田貞雄社長は「初日にしては魚体が大きい。朝に食べる刺し身が一番おいしい。待っていた常連客も多い」と話していた。(山崎大和)



◎木古内「観光交流センター」予想図披露

 【木古内】2016年3月開業予定の北海道新幹線に合わせ、町が駅前整備計画のメーン施設として建設する「観光交流センター」の基本設計がまとまり、3日に開かれた町議会総務・経済常任委員会で報告された。同センターは渡島西部、桧山南部の計9町の広域観光情報の発信基地として期待され、15年4月の開業を目指している。

 基本設計によると、同センターは平屋で延べ床面積が約700平方b。道南スギを活用した外観で、窓を多用することで開放感や明るさを創出する。施設内には特産品の販売ブースや地元食材を生かしたレストラン、レンタカー大手2社が参入する予定で、24時間対応のトイレや交流の場となるステージなども用意、観光コンシェルジュ(案内人)も常勤する。

 委員会では外観パースのほか、模型が示された。町は基本設計を基に実施設計に入り、14年度中の完工を目指す。建設費は約3億円を見込む。また、同センターは民間に運営委託する「公設民営方式」を採用することから、運営主体設立などを本年度中に決めるという。(小杉貴洋)



◎函教大再編、地域教育・協働の2専攻に

 北海道教育大学(本間謙二学長)が2014年度から函館校に新設する国際地域学科(仮称)には、地域教育と地域協働の2専攻を設ける。国際的視野を持ち、地域を活性化する人材育成を目的に据え、教員養成機能を強化。語学教育やキャリア教育などを充実させる。

 同大が5月31日に文部科学省に提出した新学科の設置認可申請書に示された。再編案では、入学定員が現在の330人から45人少ない285人。現在の人間発達専攻が教員養成機能を残した地域教育専攻(定員45人)に、国際文化・協力、情報科学、地域創生、環境科学の4つの専攻をまとめて地域協働専攻(定員240人)になる。その下に環境や国際などの分野に分かれる予定。

 地域教育専攻では幼・小学校教員免許が取れ、小学校の外国語活動に対応した授業が組まれる。母校、附属校以外の学校でも教育実習ができるよう函館市と協力。より高い専門性を身につけた教員を育てる。

 地域協働専攻は3つの分野に分かれるが、従来あるカリキュラムの内容を生かし、中・高校の教員免許取得や社会福祉士国家試験受験資格などはそのまま。社会教育主事や社会福祉主事の任用資格はなくなる。英語やドイツ語など語学教育に力を入れるほか、民間企業や官庁など1年次から将来を見通すキャリア教育にもより力を入れるという。

 同大の当初の再編案には、函館校の教員養成機能の廃止が打ち出されていたため、同校OBらが教員養成機能の存続と附属学校の維持を要望し、文科省に署名を提出。結果、教員養成機能が存続された再編案について関係者は「ようやく一安心できそう」と話している。(教育大再編問題取材班)


◎上ノ国でニシンの天然稚魚

 【上ノ国】桧山沿岸で資源復活の兆しがあるニシンについて、上ノ国町の天の川河口付近で3日、地引網に天然稚魚が3匹入った。専門機関の調査では初めての確認。近海での産卵活動を裏付ける形で、育成放流など地域一丸で取り組む資源回復事業に大きな弾みとなりそうだ。

 調査は、道の「日本海ニシン資源増大対策事業」の一環で、桧山各町と八雲町熊石、ひやま漁協でつくる「ひやま地域ニシン復興対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)が協力。5月30日に同協議会が河口近くの上ノ国漁港で放流した稚魚4万3000匹(2月に近海でとれた親ニシンから採卵、ふ化)の追跡調査で、網に放流した稚魚(5aほど)も2匹入った。

 天然稚魚は3aほどで、調査に同行した、道総研中央水試(後志管内余市町)の瀧谷明朗主査が「尾ひれの黒い筋やあぶらびれがない特徴から間違いなく天然の稚魚」と断定した。瀧谷主査は3月に江差かもめ島で見つかった受精卵の断定にも携わり、「(調査結果から)一帯がニシンにとって適した環境といえる」と分析する。天然稚魚は今後、ふ化時期などを調べる。

 桧山南部地区水産技術普及指導所の宮本正夫所長も「江差に続き上ノ国でもニシンの産卵活動が明らかになったことは大発見。地域で力を入れる資源回復活動の励みになる」と話している。 (田中陽介)