2013年6月5日 (水) 掲載

◎アサギマダラ「よく来たね」 蝶、大分から上ノ国に飛来 移動1160キロ

 渡り鳥のように長距離移動する蝶「アサギマダラ」が3日、約2週間かけて大分県から上ノ国町の海岸に飛来した。移動距離は直線で約1160`。道南虫の会によると、国内での北上記録を大幅に更新する極めてまれな事例といい、同町大安在川(おおあんざいがわ)河口で捕獲した会員の名越和夫さん(64)は「宝物を発見したような気分」と大喜びしている。

 アサギマダラは体長10aで、関東以南に多く生息。春に北上し、秋に南下して温暖な関東北部以南で越冬する。道南を含む本道では5〜10月に少数が見られている。

 道南虫の会は1999年から、マーキングによる個体の移動調査を開始。2008年10月、11年8月に、津軽海峡を越えそれぞれ愛知県、山口県までの南下を確認していたが、この時期の個体がどこから来ているかが証明できずにいた。

 会員の対馬誠さん(56)、前田俊信さん(60)の2人が今月2日、上ノ国の海岸で17匹の個体を目撃。翌日午前7時10分ごろ、名越さんが雄のアサギマダラを見つけ網で捕らえたところ、大分県姫島村で標識した中城(ちゅうじょう)信三郎さん(77)のイニシャル「S・C」や、「ヒメ」「5/21」など、放蝶した場所と日付が羽にマーキングされているのを発見。インターネットですぐに標識者を探し、中城さんだと判明した。

 同会によると、アサギマダラの最長移動距離は三重県から香港までの約2500`。国内で確認できた北上記録はこれまで、新潟県佐渡島までという。

 会員に加え、対馬さんが顧問を務める函館工業高生物部の部員も喜びに沸いている。名越さんや対馬さんは「道南の個体がどこから来たのかが証明できたが、マーキングされていないだけで中国から飛来している可能性も否定できない。まだまだ興味は尽きません」と期待を膨らませている。(長内 健)



◎大迫力の進水式 函館どつくで500人が見学

 函館どつく(函館市弁天町)で4日、新造船「グローバル・ストライカー」(2万400d)の進水式が行われた。関係者や見学に訪れた市民約500人が見守る中、巨大な船体が海面に滑り降りていった。

 同船は国内の海運会社「NYKグローバルバルク」(東京)が発注した全長178・3b、幅29・4bのばら積み貨物船。函館どつくが開発した船倉ボックス型の船で、幅の広さと浅い喫水が特徴。4月12日に建造を開始し、7月下旬の完成、引き渡しを予定している。

 進水式では船首のくす玉が割られ、船体はごう音を上げて海に滑り出していった。目の前で繰り広げられる迫力ある光景に詰め掛けた市民は大きな歓声を上げた。

 この日は本年度2隻目の進水式。同社によると、本年度はあと4隻建造する計画という。(松宮一郎)



◎道教委、公立高配置計画案 函館商業流通ビジネス科で1学級減

 道教委は4日、2014〜16年度の公立高校配置計画案と、14年度の公立特別支援学校配置計画案を公表した。このうち渡島管内の公立高では、16年度に函館商業高全日制、函館工業高定時制で各1学級減とする新計画を盛り込んだ。7月から地域別検討協議会で説明し、9月に正式決定する。

 道教委の推計によると、16年度の道内中学卒業者数は4万5472人で、前年より522人の減。渡島管内は学区別で最多の151人減、特に函館市内は102人の大幅減となる。学級削減は、生徒数減少に加え、学習ニーズや進路動向などを踏まえた措置。

 函館商業高全日制の1学級減は流通ビジネス科2学級が対象で、学校全体では5学級から4学級になる。理由について道教委は「これまで函館稜北高など普通科の高校で定員調整してきたが、職業学科でもその必要が生じた」と説明する。

 函館工業高定時制は、建築科の定員が3年連続で10人未満となり、今後生徒数増加が見込まれないとして3学科3学級から2学級に再編する。

 また、13年度入試の結果、1学級相当の欠員が生じた森高は来年度から3学級で募集。同じく函館中部高定時制も、1学級での募集となる。

 一方、14年度の特別支援学校配置計画案では、七飯養護学校の普通科重度学級が1学級減の2学級に。函館養護学校の普通科重複学級は1学級増え、2学級になる。(長内 健)


◎参院選 道南でも各党動き活発化 公示まで1カ月

 7月4日公示、同21日投開票が有力視されている参院選まで1カ月となり、函館・道南でも各党の動きが活発化している。道選挙区(改選数2)は自民党と民主党が議席を分け合ってきた中、新党大地、共産党、みんなの党などが候補を擁立し混戦模様。各党とも公示前に候補予定者や党関係者が道南入りを計画しており、勢力固めを図っている。(参院選取材班)

 道選挙区には自民党現職の伊達忠一氏(74)、民主党現職の小川勝也氏(49)、共産党新人の森英士(つねと)氏(35)、みんなの党新人の安住太伸氏(43)、新党大地新人の浅野貴博氏(35)、幸福実現党新人の森山佳則氏(46)の6人が出馬を表明している。

 伊達氏は4月30日に道南入りし、5月2日まで各地で精力的に遊説をこなした。16日に函館市内で開く8区支部の総会に訪れる予定だ。党道8区支部長の前田一男衆院議員は「今回は安倍政権への信任を問う選挙。政治の安定や自民党が進める強い経済、国防などの政策をしっかり訴えていく」と強調。伊達氏の3選に向け「いい得票でもう一度参院に送り出し、北海道全体の大きな仕事をしていただく」と話す。

 小川氏は13、14日に桧山入りし、20日には函館市内で総決起集会を開く。1日に札幌で開いた党の臨時大会で、格差是正や反TPP(環太平洋連携協定)、脱原発などを重点的に訴えることを再確認した。党道8区総支部代表の逢坂誠二前衆院議員は「アベノミクスの調子の良さが、実は生活に影響がなく、むしろマイナスになるのではと有権者も気付き始めている。現政権への危機感を共有する訴えをしたい」とする。

 共産党函館地区委員会は、市議が5月中に市内約400カ所で街頭演説を行っており、6月は1000カ所が目標。高橋佳大委員長は「安倍政権はアベノミクスでイカ漁に影響を与えるなど暴走している。宣伝カーも毎日走らせ、現政権の問題点を伝えていく」と意気込む。今月11、12日には党道副委員長の畠山和也氏が函館入りし、森氏への支持を訴える。

 みんなの党は、公示前に安住氏と渡辺喜美代表が函館入りを予定。日本維新の会とは、橋下徹共同代表の従軍慰安婦問題に関する一連の発言で党同士の選挙協力が解消されたが、党道支部の牧野喜代志副幹事長(七飯町議)は「真の第三極として、二大政党を崩す好機」と前向きだ。

 浅野氏は5月上旬に函館・道南入りし、演説ではTPP交渉参加反対や大間原発の建設反対を強調。今月中に再度函館入りする予定で、新党大地函館支部は「主張がはっきりしており、有権者の反応がいい。35歳の若さや、元衆院議員のキャリアもアピールしていく」とする。

 森山氏は今月2、3日に函館入りし、「道南は重要拠点。月内にもう一度入り、消費増税反対や憲法9条改正などを訴えていく」と話す。


◎上二股タケノコ園が開園

 【北斗】北斗市中山の上二股タケノコ園(上二股林道)が4日、開園した。初日は約250人が来場し、待望のタケノコ採りを楽しんだ。

 国有林内で安全にタケノコを採ってもらおうと毎年開園していて、近隣から多くのファンが訪れている。

 開園前から入り口前の林道には来場者の自家用車が長い列を作って待機。午前2時ごろから並んで待っていた人もいて、予定より1時間ほど早めて午前5時から開園した。

 来場者は入園手続きを済ませると、さっそく入山。ささやぶの中に入り込み、程よく成長したタケノコを摘み取っていた。森町の菊地弘さん(68)、令子さん(64)夫妻は「採ったタケノコは近所や親戚にお裾分けし、自宅ではタケノコご飯か炒め物にして食べたい」と話していた。

 管理する日本森林林業振興会札幌支部函館支所によると、今年のタケノコの生育状況は例年より遅め。開園期間は今月中旬までを予定している。

 開園時間は午前6時〜午後1時。入園料は1人700円で、中学生以下は無料。問い合わせは同支所рO138・52・2828。(鈴木 潤)