2013年6月6日 (木) 掲載

◎青森ねぶたが函館到着

 今夏の函館港まつりに参加する青森ねぶたが5日、函館に到着した。青森市のねぶた師内山龍星さんが制作した、悪鬼を退治する魔よけや厄よけの守り神「鐘馗(しょうき)」を題材とした作品。8月1日に青森市以外で初めて実施する「ねぶたの海上運行」と、同2日のパレードに参加する。

 1989年に青森市と締結した青函ツインシティに伴い、隔年で青森ねぶたが港まつりに参加し、今回が13回目。

 「鐘馗」は幅7メートル、奥行き6メートル、高さ4・5メートルの中型ねぶた。2体の悪鬼に立ち向かう勇壮な鐘馗の姿を、困難に立ち向かう東北の人々の思いに重ねた作品で、「感謝」「楽しく生きる」といった被災者メッセージも添えられた。今月1、2両日には、福島県福島市で開かれた東日本大震災の鎮魂と復興を祈願する「東北六魂祭(とうほくろっこんさい)」に参加した。

 海上運行は青森以外で行われたことのない伝統行事だが、青函両市の友好の証として、特別な計らいで実現することになった。函館では、引き手やおはやしが乗り込んだねぶたを乗せた台船が、西ふ頭から緑の島付近、豊川ふ頭付近を回る計画で、一夜限りの幻想的な雰囲気を演出する。(今井正一)



◎シャーベット氷で魚介類の鮮度 長時間保持

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)とニッコー(釧路)の研究グループが、海水シャーベット氷(SI)を使った魚介類の鮮度保持技術を開発した。冷却速度が早く、長時間の鮮度保持が可能なのが特徴。生鮮サンマの台湾への空輸試験の成果は上々で、高鮮度の水産物を遠方の消費者に提供するのに役立ちそうだ。

 SIは、海水を零下2・5度程度に冷やした流動性のある氷。同社が開発した「ジェネレータ」という装置で、1時間当たり1トンを製造できる。SI処理すると、破砕氷、海水氷(海水と真水氷を混合したもの)よりも速く魚体温度が下げられる。実験ではサンマの中心温度が25度から0度まで下がる時間は破砕氷120分、海水氷28分、SI17分だった。

 また、水揚げ時に魚が暴れると筋肉に乳酸がたまるが、ホッケの乳酸量を調べたところ、もだえ死んだものに比ると、SI処理したものは3分の1に。SIは魚がそれほど暴れずに死ぬため、活締めと同じ効果があるという。

 同センターの吉岡武也主任研究員によると、ホッケの鮮度変化を調べた結果、魚が死ぬと低下する筋肉に含まれるエネルギー成分の含量は、もだえ死んだものに比べ、SI処理したものの方が高かった。一方、魚が死ぬと増える指標は、もだえ死んだものより、SI処理したものは低く推移。このため鮮度が良いことが分かった。

 SI処理したサケの卵巣は鮮やかな赤色で、サンマの体表側面もきれいな青色が保たれたことから、品質が良いと確認できた。

 2011年11月には、SI処理したサンマを釧路空港から桃園空港(台北市)へ発送。水揚げ3日後に現地の日本料理店で刺し身に調理したところ「身が締まって青色もしっかり残っていた」と吉岡さん。魚が死ぬと増える指標は7%で、日本のスーパーで買う場合(17〜19%)より低かった。

 吉岡さんは「サンマ輸送はまだビジネスにつながっていないが、SIによる鮮度保持をすれば、これまで食べられなかった地域の消費者に高鮮度の魚介類を届けられる」と話す。昨年から松前沖のマグロ漁でもSIを活用している。(山崎大和)



◎WAKOビル11月から解体

 函館市中心市街地活性化基本計画の中核事業として行われるWAKOビルの再開発で、現ビルは11月中旬に解体工事を開始、来年8月に新複合ビルの建設工事が始まる見通しとなった。低層階の商業施設部分に飲食を中心としたテナント誘致を図り、2016年3月の先行開業を目指す。同年10月をめどにマンション部分の供用を開始する方針。

 函館駅前若松地区第一種市街地再開発事業として行われ、現ビル周辺を含めた区域で実施。約2800平方bの敷地に、地上16階、地下1階の複合ビルを建設するほか、立体駐車場なども整備する計画。4階以下が商業施設、5階以上がフージャースコーポレーション(東京)が手がける80戸程度のマンションとなる。

 事業実施主体のNAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)によると、現ビルの解体工事は11月から10カ月程度かかる見通し。その後、複合ビルの建設工事を開始。1、2階にはスイーツ店やカフェ、道産食材を使ったフードコートなど飲食テナントの誘致を図る。布村社長は「限られたスペースで最大限の魅力を高めていきたい」と話す。

 3、4階は、市が「子育て世代活動支援プラザ」「はこだておもしろ館」を整備する計画で、施設概要について検討を進めている。(今井正一)


◎函館市立3病院、3年連続黒字

 函館市病院局は5日、市立3病院(函館、恵山、南茅部)の2012年度の決算見込みが計4億3326万円の黒字になったことを明らかにした。黒字幅は前年度より1961万円縮小したが、患者数の増加などで3年連続の黒字を維持した。

 同日の市病院事業経営改革評価委員会(委員長・岩田州夫公立はこだて未来大名誉教授)で示した。

 同局によると、函館は前年度比8919万円減の4億8786万円の黒字。材料費が抗がん剤の使用増などで3億1812万円増えたほか、給与費も職員の25人増で7472万円増えたことが影響した。

 ただ1日あたりの入院患者数(一般)が同0・8人増の469・5人、外来患者数(同)が同8・8人増の1112・8人となり、1人当たりの入院・外来の診療単価も上がったことから黒字を保った。

 累積では2億2000万円の黒字で、函館単体では11年ぶりの累積黒字を示した。

 恵山は2839万円の赤字。12年度末で退職した職員2人の退職金などから赤字幅が2408万円増えた。南茅部は2620万円の赤字で、11年度は退職者が3人いたものの、12年度はゼロだったため赤字幅が9366万円減った。

 3病院合計の累積赤字額は2億5600万円に減少。市病院事業改革プラン(09〜15年度)では、15年度での黒字化を目指している。

 本年度は函館の放射線治療機器の更新で経費が増えるため、800万円(当初予算ベース)の黒字にとどまる見込み。木村純委員(函館病院長)は「ベッド数が変わらない中、入院患者の平均在院日数がこの10年で半分に減ったことも大きい。今後も黒字を保っていきたい」と語った。(後藤 真)