2013年6月9日 (日) 掲載

◎ひろめ舟祭り沸く 南茅部で2年ぶり

 海の恵みに感謝し、豊漁を祈願する「第28回函館南かやべひろめ舟祭り」(実行委主催)が8日、臼尻漁港で開かれた。メーンの舟こぎ競争をはじめ、郷土芸能発表や漁船のパレード、夜は花火大会も行われ、大勢の市民らが楽しんだ。

 函館市南茅部地域最大のイベントで、昨年は海難事故で中止されたため2年ぶりの開催となった。「ひろめ」はコンブを意味し、伝統の舟こぎ競争は、コンブ漁の舟を使用する。今年は41チームが出場し、初心者、女性、職場対抗などに分かれ、全8レースが行われた。

 木製の磯舟には6人が乗り込み、かじ取り、こぎ役などを分担して舟を進め、400〜600メートルの距離を競った。ターンの場面では激しい争いも見られた。

 函館市昭和の主婦佐伯珠美さん(47)は「初めて来た。大漁旗が掲げられた船があったり、海産物がたくさん売られ、南茅部の魅力を満喫できた。舟こぎレースは予想以上に迫力あった」と話していた。(山崎純一)



◎学生ら食材の魅力学ぶ

 【七飯】函館短大付設調理製菓専門学校(野又淳司校長)は8日、西洋料理を学ぶ授業の一環として、北大北方生物圏フィールド科学センター七飯淡水実験所(山羽悦郎所長)を見学した。高級キャビアが採れるチョウザメの研究拠点で、学生たちが食材の魅力を学んだ。

 同所での見学会は初めてで、調理師科の学生11人と教職員6人の計17人が訪れた。チョウザメの人工ふ化研究に打ち込む足立伸次教授の案内で、4月下旬に函館市尾札部沖で、2010年に北斗市七重浜で、それぞれ捕獲された希少種ダウリアチョウザメを飼育する水槽などを見て回った。

 オオチョウザメとコチョウザメの雑種であるベステルを飼育しており、足立教授は「キャビア生産を北海道の産業にしたい」と意気込んだ。

 見学後、学生たちは用意したキャビアをロシアのパンケーキ「カーシュ」にのせて試食。佐藤貢平さん(18)は「チョウザメは生まれたときに比べ、成長すると全然違っていて驚いた。キャビアは思ったより塩辛かった」と話し、野又校長は「料理は食材が大事。食べるだけでは魅力が分からないので、飼育の現場が見られて良かった」と手応えを感じていた。(山崎大和)



◎函館新道沿線 花で彩る

 道路の緑化、清掃活動に取り組む「函館花いっぱい道づくりの会」(折谷久美子代表)が8日、函館市石川町と桔梗町の国道5号線(函館新道)沿線で花の植栽活動を行った。近隣の小中学校や高校、町会などから約1000人が参加。花の苗約1万株を植え、函館の玄関口に彩りを添えた。

 2004年に市内のNPO法人や近隣町会などが、函館を訪れる人たちを色とりどりの花でおもてなししようと同会を立ち上げた。毎年この時期に「はこだて花かいどう」と銘打ち、函館新道の両側約600b区間の植樹ますに花植えを行っている。

 植栽に先立って行われたセレモニーでは、東日本大震災の被災地復興への願いを込め、「花は咲く」を参加者全員で合唱。その後、参加者はマリーゴールド、ベゴニア、ペチュニア、ききょうの4種類の苗をシャベルを使って植え付けた。

 毎年参加しているききょうスポーツ少年団の高橋昴君(桔梗小6年)は「たくさんの人に見てもらえるようきれいに咲いてほしい」と笑顔。折谷代表は「花を植える私たちも元気になる活動。世代を超えたこの取り組みをこれからもずっと続けていきたい」と話していた。(金子真人)


◎商店街の重要性説く 「函館学」

 函館市と市内8高等教育機関でつくる「キャンパス・コンソーシアム函館」(会長・溝田春夫函館大学長)は8日、合同公開講座「函館学2013」を開講した。初回はホテル法華クラブ函館で、「超高齢社会における商店街〜中島れんばい調査から」と題し、函大の大橋美幸准教授が講演した。

 約130人が参加。大橋准教授は調査結果から、中島廉売の現状について利用客は60代以上が半数で、店主も60代以上が6割を超すとし、「高齢者が高齢者が支えている。商品が一番売れるのは昼時の午前11時〜午後1時。同5〜6時には店が閉まり、日曜休みが多い」と指摘。

 地域ニーズは「スーパー・商店・コンビニ」「高齢者が交流できる所」「飲食店」が高く、近所同士のつながりもできる商店街の機能充実を説いた。新築移転し来年2月に完成予定の「中島れんばいふれあいセンター」に期待を込めた。

 講演に先立ち、溝田会長が「函館をいろいろな視点から学ぶことで、まちの発展につなげたい」とあいさつ。本年度は153人が登録、計6回の講演がある。(山崎大和)


◎ふるさと納税 過去最高 昨年度函館市に529万

 函館市に寄せられた、昨年度の「ふるさと納税制度」の寄付金は67件、529万6140円だった。制度が始まった2008年度以来過去最高額で、根強い“函館ファン”の存在を裏付けている。市財務部は寄付者に対し、協力の継続を呼びかけていく。  ふるさと納税は地方税法改正に伴い、08年度から実施。好きな自治体に5000円以上を寄付すると、現在住んでいる市町村の住民税、所得税から寄付額が控除される。

 昨年度は市全体を応援する目的で寄せられたのが210万円。活用方法を指定した中では人材育成や生涯学習の推進に109万円が寄付され、児童が放課後、自主的に勉強できる「アフタースクール」の開設経費に充てた。

 観光、商工業の振興目的には41万円寄せられ、元気いっぱい商店街支援事業に充当。また、福祉推進の目的にも61万円。子育てに関する情報を一体管理する「すくすく手帳」の発行経費に活用した。

 市は寄付者に対してお礼文を送って寄付の継続を呼びかけるとともに、記念品を贈呈。昨年度からは金額に応じて函館産の海の幸をプレゼントしており、中でも100万円以上の寄付者には8000円相当の海産物と「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」を贈っている。

 PRリーフレットも本年度から、北海道日本ハムファイターズの函館市応援大使を務める2選手のデザインに変更。市内高校の同窓会組織や、東京都内のコンビニに開設しているアンテナショップなどで配布を始めている。市財務部は「地道な活動を今後も継続していきたい」としている。(千葉卓陽)