2013年7月12日 (金) 掲載

◎TPP即時撤退を、JA新はこだてが集会

 【北斗】政府のTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を前に、JA新はこだて(畠山良一組合長)は11日、北斗市農業振興センターで抗議集会を開いた。役職員や農家ら約300人が参加、交渉から即時脱退することを強く求めた。

 同JA独自の反TPP集会開催は初めて。23日の日本の交渉合流が迫り、「TPP反対!」と書かれた鉢巻きを締めて参加阻止へ決意を示した。

 畠山組合長はあいさつで「TPPに参加すると、輸入農産物が押し寄せて農業が壊滅する。暮らしと命を危険に陥れるTPP参加に断固反対する」と表明した。

 日本農業新聞の緒方大造論説委員室長が講演し「TPPの本質はグローバル資本による日本市場の争奪だ」と指摘した。

 同JA青年部長の冨樫孝さん(36)が抗議声明を読み上げ「協定は一次産業のみならず、幅広い分野に影響を与える。TPPに不安を抱く多くの国民を裏切る暴挙だ。強い政治不信と憤りを覚え、断じて許せない」と批判した。頑張ろう三唱で気勢を上げた。

 参院選道選挙区をめぐっては、道農協政治連盟が自民党候補を推薦・支持せず、同JAも自主投票とする。(山崎大和)



◎お盆と火葬、函館の謎に迫る

 本州や道内では8月のお盆が一般的な中、函館の旧市街地では7月にお盆を迎える。葬送で、通夜の前に遺体を焼くのも函館独自の風習だ。その違いを生んだ底流には、市民生活に合わせて変化する民間信仰があるようだ。船見町の称名寺住職で郷土史家の須藤隆仙さん(83)に理由を聞いた。

 「お盆は本来、7月のもの。明治以前は旧暦の7月に行ってきた」と須藤さんは説明する。盂蘭盆経(うらぼんきょう)に、釈迦(しゃか)の弟子・目連(もくれん)が、母の霊を救うため7月15日に供養の法を行ったとあるのが由来。

 旧暦と新暦は、大体1カ月ずれる。旧暦の7月は新暦の8月、今の7月は昔の6月だ。明治5(1872)年に太陽暦が採用された際、旧暦7月のお盆を新暦7月に行うと、気候的にまだ寒い。そこで暦を1カ月遅らせて8月に行う「月遅れのお盆」が、函館をはじめ全国で主流になった。

 「しかし、函館の場合、8月にやると都合の悪いことがあった」と須藤さん。市を挙げて行う函館八幡宮の祭典が8月にあるためだ。ごちそうを作って親戚一同が集まる函館八幡宮のお祭りと、同じく祖先の霊を迎え、供養するお盆はとても一緒にはできない。そこで「亀田地区を除く函館では、大正6(1917)年から新暦7月に行うようになったのです」と解説する。

 もうひとつの疑問。函館ではなぜ、通夜の前に遺体を焼くのか。亡くなった人を見送るため、遺体を前に家族が起きているのが通夜だ。しかし、お骨になってから通夜をする例もあった。流行病(伝染病)で亡くなった人は「野焼き」されたほか、戦時中は戦死者が遺骨となって帰ってきた。「通夜はお骨でやってもいいのだという観念が出てきた」と須藤さん。

 昔はドライアイスや葬祭場などが少なく、遺体が傷みやすかった。お骨にしてから通夜を営む方が簡便だったという事情もある。

 函館では昭和30年ごろまでは他地域と同じく焼かずに通夜をしていたが、同40年ごろから先に火葬するのが主流となったようだ。「大火や洞爺丸台風の犠牲者が先に焼かれたのは特殊なケースで、それが理由ではない」という。

 須藤さんは語る。「お盆も通夜も、民間信仰のひとつ。民間信仰は、国民の生活に合わせて変わっていく。定着した形というものがないのです」。そして函館は、全国各地から人が集まった“寄り合い所帯”。新しいことを始めたり受け入れる気風が、他の地域よりも強かったようだ。(高柳 謙)



◎SL函館大沼号あすから夏期運転

 JR北海道の「SL函館大沼号」は13日、夏期運転を開始する。13〜15日、20〜21日と27日から8月4日まで、函館|森間を1日1往復する。

 国産タンク機関車C11形がレトロな車両(4両)をけん引する。工事が進む北海道新幹線の建設現場を見てもらおうと、往路、復路ともに渡島大野駅に停車する。往路は函館発が午前9時、五稜郭同9時8分発、渡島大野同9時43分発、大沼公園同10時10分着、森着同10時46分。復路は森発が午後1時31分で砂原経由となり、五稜郭同3時17分着、函館には同3時25分に到着する。

 函館|森間の大人の片道は1700円(乗車券900円、座席指定券800円。子ども半額)。このほか大沼公園でサイクリングも楽しめる「大沼公園サイクリングきっぷ」(大人2500円、子ども1400円)や、遊覧船で島巡りをできる「大沼公園遊覧船きっぷ」(大人2500円、子ども1250円)も販売する。

 予約などの問い合わせはJR北海道電話案内センター(TEL011・222・7111)へ。


◎いのちのホットライン開設2年目、相談者数は58件減少

 函館市が自殺防止に向けて設置している「函館いのちのホットライン」の開設2年目(2012年6月〜13年5月)に寄せられた相談件数(相談者数)は84件で、1年目より58件減少した。市障がい保健福祉課は「件数は減ったが、深刻な悩みを抱えている人は多い。今後も周知していきたい」と話している。

 11年6月に設置。毎週月・金曜の週2回午後5時半から8時半まで開設しており、相談業務経験者が悩みやストレスを抱えている市民の相談を匿名で聞く。

 相談内容は131件(延べ)のうち「話を聞いてほしい」が47件と最多で、最も深刻な希死念慮(自殺願望)は15件あった。このほか「健康問題」が17件、「家族関係」が15件などとなっている。

 相談者の年代は40代が37人と約半数を占め、30、50、60代が7〜8人。性別は男性と女性が41人ずつで、不明が2人いた。

 同課は「中には5回以上電話をしたり、相談したことで気持ちが楽になって再就職できたと言ってくれた人もいた。悩みがある人は抱え込まずに胸の内を語ってほしい」と呼び掛けている。

 同課によると、11年度の市内の自殺者数は前年度比5人減の72人と、3年連続で減少している。

 ホットラインはTEL0138・32・1548。(後藤 真)