2013年7月23日 (火) 掲載

◎井上さん 新島襄の肖像画コピー入手

 函館日米協会顧問で、新島襄・パトスの会(千代肇代表)運営委員の井上能孝(よしたか)さん(82)=日吉町=が、新島の母校である米アーモスト大(以下ア大)に永久掲額される新島の肖像画コピーを入手した。函館ゆかりの偉人を知る貴重な資料となりそうだ。

 コピーは、同会が25日まで市地域交流まちづくりセンターで開催中の「日本の帷(とばり)を開いた新島襄と八重展」で展示している。

 井上さんは十数年前にテレビ番組で、1901年に制作された新島の肖像画がア大ジョンソン礼拝堂内に飾られ、第二次世界大戦中も破棄されなかったことを知って感動。

 今年が新島生誕170周年、来年が函館から脱国して150周年の節目が続くことから、「肖像画コピーを里帰りさせたい」と決意。昨年10月に航空便でア大に英文の依頼文を送ったが、返事がなかったため、同12月18日に今度はメールで依頼文を送信したところ、翌日に返信メールが届き、肖像画コピーも添付されていた。

 差出人は、ア大で公文書保管の責任者を務めるピーター・ネルソンさん。肖像画は新島の同級生が描いた油絵で、105a×92・7a、厚さ9・8a。「これに関わるチャージはいりません。それがあなたのお役に立てれば幸いです」とメッセージが記されていた。

 肖像画は礼拝堂の正面右手の壁面に飾られ、永久に動かすことはないとされており、「添付を開いて絶句した。しかもノーチャージとはすごい。情報公開の国と言えども想像を超えていた」と井上さん。

 依頼文では、函館にいる同志社大卒業生たちも強く望んでいることを伝え、こちらの熱意がア大側を動かしたとみられる。井上さんは「新島を身近に感じてもらえれば」と話している。(山崎大和)



◎「SL JALはこだて号」運行

 SL函館大沼号を利用した貸し切り列車「SL JALはこだて号」が22日、函館—森間(往復)を運行した。関東、関西から日本航空(JAL)の航空機などで函館を訪れた約160人が乗車し、レトロな車両で道南路の旅を満喫した。

 JALの旅行キャンペーン「JAPAN PROJECT北海道」に合わせ、ジャルパック社が初企画。函館駅では特別仕様のヘッドマークを付けたC11形蒸気機関車が入線。同社の二宮秀生社長が「参加者が旅によって自分を磨き、その力が地域活性につながると確信している」とあいさつし、テープカットをした。

 参加者の中には初めてSLを見たという人も多く「近づくと温かくて、生き物のようだ」などと声を上げていた。東京から訪れた女性は「北海道は何度か来ているが、今回はSLに乗れるという一味違った旅で楽しみにしていた」と話していた。 (山崎純一)

 



◎7機関・団体が連携確認 青函トンネル総合防災訓練

 JR北海道函館支社は22日、列車火災を想定した青函トンネル総合防災訓練を津軽今別駅(青森)で行った。警察や消防団など、7つの関係機関・団体から約150人が参加し、協力体制の強化に励んだ。  今回が52回目の訓練で、同駅では2009年以来。訓練では、函館発青森行き臨時列車(6両編成)が青函トンネル内で4号車のデッキから出火し、消火設備のある津軽今別駅で停車、2人のけが人を想定した。

 煙を発見した車掌がSOSボタンを押し、乗客を安全な車両まで誘導。初期消火不能と判断し、同駅では消防団が放水、警官らはけが人を担架で搬送した。また、現場検証や現地対策本部での情報収集も行い、各機関の連携を図っていた。

 講評で同支社の鈴木理夫次長は「速やかな判断と避難誘導など、訓練はスムーズだった。新幹線開業に向けて、ますます重要になる場所なので、一丸となって安全確保に努めたい」と話していた。(柏渕祐二)



◎比例も自民手堅く…参院選

 参院選比例代表での、各政党の得票数(政党名と候補者名の合算)が確定した。自民党は渡島・桧山管内で2010年の前回から約1万2700票上積みして6万2296票を獲得、道南でも得票第1党となり、全国的な大勝を後押しした。一方で民主党は前回から大幅に得票を減らし、共産党や第三極に自民批判票が分散したことがうかがえる。

 自民は大票田の函館で3万2312票を獲得したほか全市町で前回を上回り、道内を地盤とする橋本聖子氏は3900票余りを得て当選に結び付けた。ただ、選挙区で当選した伊達忠一氏の得票からは道南全体で約1万4000票少ない。

 民主は函館で2万1889票と、前回から半分以上得票を減らした。前回は、選挙区と比例に候補を擁立しなかった新党大地との選挙協力に加え、現函館市議の板倉一幸氏を擁立したことで得票数を維持した。今回は、大地が選挙区、比例ともに独自候補を立てたことに加え、みんなの党や日本維新の会などに自民批判票が散らばった。

 公明は前回から約3400票減らしたが、手堅く2万9738票を獲得。このうち、全体の約65%となる1万9258票は、同党が北海道・東北重点候補と位置付けた若松謙維(かねしげ)氏への個人票。候補者名の得票が当落を左右する参院比例代表のシステムが浸透している一方、前回当選した横山信一氏の得票からは6割弱にとどまった。

 共産党は道南全体で2万715票と躍進。函館でも前回から4200票上積みし、選挙区での当選など全国的な党勢拡大を後押しした。新党大地は1万6315票で、一定の支持層の存在を裏付けている。みんなの党は1万1183票にとどまり、前回から8700票の減。

 また、選挙区に候補者を立てなかった日本維新の会は1万票余りを獲得。個人票では元プロレスラーのアントニオ猪木氏に867票、現職の中山恭子氏に440票と集中した。社民党や生活の党、みどりの風、緑の党は脱原発を掲げたが、道南では知名度不足から得票が伸びなかった。(千葉卓陽)