2013年7月9日 (火) 掲載

◎東北・道南のお宝ずらり 杉村さん親子の骨董店オープン

 【江差】25年来の夢を実現—。江差町の親子が共通の趣味である骨董(こっとう)品収集の魅力を多くの人と分かち合いたいと、町内南浜町に「骨董市場」を開店した。「売買に関係なく、古き良きものの雰囲気のなかで心を通わせたい」としている。

 古くは北前船で栄えた歴史ある江差には年代物の“お宝”が多い。骨董店を構えたのは、店長の杉村卓哉さん(38)と父親の春敏さん(68)。これまで2人で東北や道内各地で買い付けた500点以上を約165平方bの店内にずらりと並べた。

 松前藩の第12代藩主の松前崇広や蠣崎波響の掛け軸など道南になじみあるものも並ぶ。「価値あるものほど地元から遠く離れて扱われるケースが多い。骨董品の里帰りという気持ちで、そこに住む人々に触れてもらってこそ本当の価値が出てくると思う」と春敏さん。

 店舗はJR江差駅に近く、線路の陸橋に隣接。展示品には鉄道に関するお宝もあり、新名所の期待も。2カ月に1回の頻度で品々を替える。

 展示には3週間を要した。卓哉店長は「準備作業がこんなに大変だとは思わなかったが、これを機に趣味仲間が増えればうれしい」と来店を呼びかけている。

 営業は午後1時〜同5時。問い合わせは同店(090・5077・8118)へ。(田中陽介)



◎殉職者の冥福を祈る 青函連絡船慰霊法要

 青函連絡船殉職者遺族会(富樫淳次会長)は7日、函館山登山道入口の「青函連絡船殉職者慰霊碑」前で、函館空襲や台風などで犠牲になった乗組員の法要を行った。遺族や関係者約50人が参列、殉職者の冥福を祈った。

 青函連絡船は1945年7月の米軍機による攻撃で10隻が撃沈されたほか、59年9月の台風による「洞爺丸」沈没などで、乗組員793人が亡くなっている。

 この惨事を風化させず、殉職者の功績を後世に伝えようと毎年この日に実施しており、函館市仏教会やJR北海道、函館市などが協力している。

 僧侶が読経を唱える中、参列者は殉職者の名前が刻まれた慰霊碑の前で焼香し、手を合わせた。

 富樫会長は「使命のために尊い命を捧げた先祖に敬意を表し、その不屈の責任感と功績をこれからも後世に継承していきたい」と話していた。(金子真人)



◎JR函館駅構内にアンテナショップ 来月1日開設目指す

 渡島総合振興局は、外部委託して開設する初の道南産品アンテナショップの事業概要を明らかにした。事業者となるノーステック(函館市昭和、橋本真一社長)と8日に契約を結び、JR函館駅(若松町)構内に8月1日のオープンを目指す。

 西口に近いドラックストア跡で、ジェイ・アールはこだて開発がテナントとして貸し出す。約43平方メートルで、名称は未定。木のぬくもりが感じられる落ち着いた雰囲気の店内に、ガゴメコンブやタマフクラなど約200品目を常設販売する。

 試食を積極的に展開するほか、スタッフ自ら取材した商品に対する魅力やこだわりを情報発信。JA新はこだてのファーマーズマーケット「あぐりへい屋」(北斗)とも提携、旬の野菜を並べて季節感を演出する。テスト販売も導入し、消費者の反応を聞いて商品の改良や開発に役立てる。

 初年度の売り上げ目標は3600万円。道の2013年度緊急雇用創出推進事業を活用、委託費は約2500万円。スタッフ8人は全員失業者を雇う。

 北海道新幹線開業に向け、14年度以降も継続して運営する。橋本社長は「人の交流が最も盛んな駅構内を選んだ。食を通した地域活性化に貢献したい」、同振興局は「道南の優れた産品を、地元の人たちが日常的に買える店にしたい」(商工労働観光課)としている。(山崎大和)


◎「最良のタイミングで」 大間提訴で工藤市長

 函館市の工藤寿樹市長は8日の定例会見で、準備を進めている大間原発(青森県大間町)の差し止め訴訟に関し、原子力安全委員会(田中俊一委員長)が策定した原発の新たな規制基準が同日施行されたことを踏まえて「再稼働の動きが出てくれば、周辺自治体からいろいろな声が出てくる。ベストのタイミングを選択したい」と述べた。

 規制基準は福島第一原発事故の教訓を踏まえ、大規模災害やテロなどの「過酷事故対策」や地震、津波対策を大幅に強化。活断層の評価年代を40万年前に拡大したほか、最新知見を踏まえて導入する規制への対応を、既存原発にもさかのぼって要求する「バックフィット制度」も導入し、大間原発にも適用される。

 しかし、同市長は規制基準に対し「どんなに厳しくても、100%事故をなくすとはならない」と指摘。東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働申請を表明したことを例に挙げ、「地方の命や財産が軽視されている。(国や事業者の)思いが変わらない限りは危ない」と述べた。

 また、同原発に関わる原子力防災計画の策定についても重ねて否定し、「(裁判を起こしたら)係争中となるのに、稼働を容認する形で策定することは理論上も理屈上もない」との見解を示した。(千葉卓陽)