2013年8月22日 (木) 掲載

◎道南豪雨 農業被害1億2000万円に

 道南を襲った18日の集中豪雨による農業被害について、JA新はこだて(畠山良一組合長)は21日、被害額が約1億2000万円(速報値)に上ることを明らかにした。未集計の江差町を加えると、1市6町で約1億5000万円に膨らむ見通し。「過去最大級の被害」(同JA)としている。

 JAや役場職員らが現地調査してまとめた。被害面積は厚沢部町34ヘクタール、江差町36ヘクタール、乙部町40ヘクタール、森町18ヘクタール、八雲町10ヘクタール、七飯町3ヘクタール、北斗市3ヘクタールの計144ヘクタール。田畑に加え、牧草地やビニールハウスの被害も目立った。

 冠水や倒伏で被害を受けたのは水稲やジャガイモ、大豆、小豆、アスパラガス、トウモロコシ、カボチャ、ブロッコリーなど20品目超。品目ごとの被害額は算出していない。同JAは「水稲は持ち直す部分もあると思うが、表土が流されて露出したジャガイモ、泥をかぶったブロッコリーやトウモロコシは商品価値がなくなる」(農業振興部)と懸念する。

 18日は渡島北部、桧山南部を中心に局地的な激しい雨に見舞われ、「過去に例がない大きな被害」と同部。このため、同JAは独自の低利融資など被災農家への緊急支援の検討に入った。また、迅速な現場復旧や、作物の防除を徹底するよう技術対策を指導している。(山崎大和)



◎市函の斎藤さん 全国高文連・書道で文科相賞

 市立函館高校3年生で書道部部長の斎藤真衣さん(17)が、第37回全国高校総合文化祭書道部門で、最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を受賞した。全国の代表者314人の作品の中から、最優秀賞は1作品のみ。斎藤さんは「部員や先生、家族の支えがあったからこそ取れた賞。感謝の気持ちでいっぱい」と笑顔を見せている。

 作品は詩人・木津川昭夫の詩で「大白鳥」と題した、近代詩文書。北海道の風景をテーマにした詩集を読んだのをきっかけに、昨年12月ごろから構想。制作時期が冬だったため、北海道の冬の厳しさやその美しさを表現しようと、縦180センチ、横90センチの大型紙面に書いた。「翼よ」と大きく書かれた文字が目を引き、「迫力のある立体的な作品」と審査員から講評された。

 冬休みや春休み、放課後などに顧問の鈴木孝徳教諭からアドバイスを受けながら練習。「2年連続で先輩たちが全国に進み、プレッシャーもあった。3月末の締め切りまでに書けるか不安もあった」と振り返る。

 1、2日に長崎県で開かれた総文祭では名前を呼ばれても最初は実感なかったといい、「表彰壇を下りてから、すごい賞なんだと思い、うれしくなった」と笑顔で話す。鈴木教諭は「精根尽くして頑張った結果が、この賞につながった。よくやった」とたたえる。

 今回は全道から1800人が参加し、道大会で選ばれた15人が全国に出品。全国大会では奨励賞が11人、特別賞が40人に与えられた。本年度から奨励賞の中から、文部科学大臣賞1人と文化庁長官賞2人が選ばれた。(平尾美陽子)



◎東山小「見守り隊」発足 登下校時に自宅玄関で声掛け

 函館東山小(須藤由司校長、児童485人)は、子どもの登下校の安全確保に向けて「子ども見守り隊」を発足させ、19日から活動を始めた。登録した会員(隊員)が、登下校時に自宅玄関前に出て声掛けをする珍しい試みで、恒常的に児童の安全・安心を高める。

 これまでは、学期の始まりに期間限定でPTAや教員が中心となって見守り活動を行ってきたが、児童を見守る目を増やし、年間を通じて途切れることなく安全・安心な登下校につなげる。2学期の始業日からスタートさせた。

 同校によると、現在90人が登録しており、東山町会(阿部岩男会長)、山の手町会(門口一廣会長)、鍛治町会(及川敬一会長)、PTA、教員で構成。隊員の目印としてスクールカラーである緑のバンダナを、首にまいたり、手に持って振ったりして笑顔で「おはよう、いってらっしゃい」「お帰り、気を付けてね」などと声を掛ける。

 登録は無料で、各町会に呼び掛けて随時受け付ける。通学児童の有無にかかわらず、ボランティアで協力してくれる人を募っている。須藤校長は「隊員100人が目標。児童が地域と触れ合う機会にもなるので、長く続けたい」と期待を込める。今後、地図上で会員宅が把握できるようにし、少ない通学路のてこ入れも検討していく。

 阿部会長(71)は「登下校時の事件・事故はいつ起こるか分からない。地域の子どもは地域全体で守ることが重要で、全面的にバックアップしたい」と話す。

 問い合わせは同校PTA事務局(電話0138・53・5531)へ。(山崎大和)


◎アリーナ工事 来月3日に入札実施

 入札が不調に終わり、8日に応募条件を見直して再公告した函館市の函館アリーナ新築主体工事の入札参加申請が21日、締め切りとなった。市財務部は「応募の有無や件数は非公表」としているが、予定通り9月3日に入札が行われる見通しで、1社以上の応募があったとみられる。

 予定価格42億8600万円(税込み)となるアリーナ新築工事は当初、今月6日に入札を予定していたが、参加の意思を示していた共同企業体(JV)が「見積もりの精査に時間を要する」として、辞退を申し出たため中止となった。

 当初は、一定の実績があるAランク(スーパーゼネコン)1社と地場企業の計7社でJVを組むことを条件としていたが、市は参加条件を緩和。スーパーゼネコン単体の参加や、JV構成社に市外業者の参加を認めるなどして、予定価格を変更せずに8日に再公告していた。

 来月3日に入札が成立すれば、9月の第3回定例市議会に関連議案の提出が間に合い、2015年7月末完成に向けたスケジュールには影響が出ない見通し。また、本体工事の再公告に伴い、延期しているアリーナ関連の設備工事について、同部は「本体工事の動向を見た上で公告する」としている。(今井正一)