2013年8月24日 (土) 掲載

◎食や花 プロから技伝授、市内2校で特別講座

 函館市内の専門学校で23日、食や花に関する特別講座が相次いで開かれた。学生たちが将来の仕事に生かそうと、真剣な表情で作業に臨んだ。

 ■調理師養成専門学校

 ○…函館調理師養成専門学校(富岡町2、能戸秀康校長)では、和菓子作りの特別講座があり、昼間部14人、夜間部8人が参加。多彩なジャンルを体験させて進路選択に生かす狙いで、毎年開催している。

 龍栄堂菓子舗(上新川町)の田中修司社長が講師を務め、練り切りと薬まんじゅうを作った。まんじゅうの生地を円形にし、あんをのせて手の平と指で丁寧に包んだ。葛西舞美さん(15)は「意外と簡単で楽しかった」と話した。

 ■調理製菓専門学校

 ○…函館短大付設調理製菓専門学校(柏木町、野又淳司校長)は、フラワーアレンジメント講座と、プロによる鶏のさばき方講習会を開いた。

 アレンジメントは毎年開催し、調理師科と製菓衛生師科の16人が挑んだ。雄喜フラワーデザインスタジオ(松風町)の佐藤雄喜代表が、花材の切り方や差し方を指導。学生たちがオレンジコスモス、トルコギキョウ、ナデシコ、レザーファン、ハイブリッドチースをスポンジに差して作品を完成。島本拓実さん(19)は「初心者でも、自分が表現したいものが作れてうれしい」と笑顔を見せた。

 初の試みの生鶏の解体では、湯の川阿佐利(あさり)伊藤精肉店(湯浜町)の鈴木詔次専務取締役が、調理師科18人にこつを伝授。モモやムネ、ササミなど素早く部位ごとに切り分けるプロの技を学び、小町竜実さん(20)は「就職前に、良い体験ができた」と話していた。(山崎大和)



◎「いけすイカ」死ぬ、函館沖海水高温の影響で

 函館のスルメイカ漁で、市場で高値取引される「いけすイカ」が水揚げ前に死んでしまう現象が起こっている。高水温の影響とみられ、市漁協(橘忠克組合長)は「いけすイカは漁業者の重要な収入源だが、水温が下がるのを待つしかない」と気をもむ。

 同漁協によると、表面水温が26度もあり、この海水を漁船の水槽にも使うため「イカを釣った時点で既に死にかかっており、生きたまま持ち帰ることができない」という。ほとんどの漁船がいけすイカとして出荷できず、安い単価での取引を余儀なくされている。

 昨年も異例の残暑で海水温が上昇、同様の事態が相次いだ。これを受け、同漁協は例年9月だった、いけすイカの全国発送開始日を今年は10月1日に延期。高谷広行専務は「低気圧などによって海の中をかき混ぜてもらわないと、水温が下がる要素がない」と嘆く。

 道総研函館水試(湯川町)によると、イカが長時間生存できる水温は22度が上限だが、函館沖の表面水温は24度ほどある。「高水温がこのまま続けば、秋イカの南下が遅れて夏枯れの長期化が懸念される」と指摘している。(山崎大和)



◎縄文遺跡群 世界遺産推薦見送り

 【東京】文化審議会の世界文化遺産特別委員会は23日、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)をユネスコの世界文化遺産に推薦することを決定した。道南3遺跡を含めた「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の推薦は見送られ、目標に掲げている2015年度の世界遺産登録は不可能となった。

 委員会は非公開で行われ、「同縄文遺跡群」は「準備が整っていない」と判断された。ユネスコへは毎年1件ずつ推薦されている。

 同遺跡群は本道と青森、秋田、岩手の3県、関係自治体でつくる「縄文遺跡群世界遺産登録推進本部」(本部長・三村申吾青森県知事)が提案。全部で18の遺跡で構成され、道南からは大船遺跡、垣ノ島遺跡(以上函館市)、鷲ノ木遺跡(森町)が含まれている。

 09年1月のユネスコ世界遺産センターの「暫定リスト」に登載され、今年文化庁に「推薦書案」を提出した。

 ただ、4月の同審議会の特別委員会では、構成資産の選択などについて、さらなる検討を求めていて「(推薦は)かなり困難」との見解を示していた。

 推進本部の構想では本年度中の国の推薦を獲得し、14年度中にユネスコの諮問機関、国際記念物会議(イコモス)の現地調査、審査を経て15年度中の世界遺産登録を目指していた。

 三村知事は「これまでと同様に国内外の専門家の助言や文化庁の指導を受けながら早期にユネスコに推薦していだだけるよう全力で取り組む」、副本部長を務める高橋はるみ知事は「結果は残念。縄文遺跡群は世界遺産として高い価値を有する。道として関係市町、関係団体と連携し、早期の推薦を目指す」とそれぞれコメントを発表した。

 政府としてユネスコへの推薦は9月中旬に関係省庁連絡会議で正式に決定する。(鈴木 潤)


◎北大七飯淡水実験所で魚大量死

 【七飯】町桜町2の北大七飯淡水実験所(所長・山羽悦郎教授)で22日午後5時ごろ、同実験所敷地内の屋外にある水槽で飼育していたサクラマスや大西洋サケ、イトウなどの魚が大量に死んでいるのを見回り中だった男性職員が発見した。全体の水槽30基のうち17基で飼育する魚に被害があり、約1050匹の死亡が確認されている。

 同実験所によると、約1万平方メートルの敷地内には、直径3メートルのコンクリート製水槽などが並び、鳴川の河川水を魚の飼育に使用。川に近い水槽から順々に低い位置にある水槽まで河川水を流す仕組みで、取水口から最も近い水槽に被害が集中しているという。

 山羽所長は「数年前に酸欠で魚が大量死したことはあるが、今回は違う。川に近い水槽ほど被害が大きいところを見ると、川を流れていた毒物が取水時に水槽に入ったと考えられる」と話している。同実験所では、被害が見つかった約1時間半後に河川水の取水を再開したが、新たな被害は確認されていない。

 同実験所から連絡を受けた町は、22日夜と23日午前に川の調査を行った。町環境生活課によると、同実験所から上流約800メートル先までに被害があった。ニジマスやカワカジカ、オショロコマなど約250匹の死骸を回収したという。

 また、渡島総合振興局環境生活課では調査のため、死んでいる魚が見つかった時間に同実験所が採取した水槽内の河川水を函館市内の検査機関に、魚の死骸10匹を恵庭市のさけます・内水面水産試験場に送った。水質検査には約10日間、魚の病理検査には約1週間かかるという。同課は「川沿いには工場などはなく、水田や付近住民に影響はない。調査結果が出るまでは現場付近を警戒したい」としている。