2013年8月28日 (水) 掲載

◎リアカー日本一周 大阪の小川さん函館に到着

 リヤカーを引いて日本一周を目指している大阪府の小川一歩さん(73)が26日、函館に到着した。1`歩くごとに10円を東日本大震災の復興支援として日本赤十字社に寄付をするほか、出会った人たちにも寄付を呼び掛けながら旅をしている。

 小川さんは、中学教師を定年退職した2001年に、鹿児島から北海道まで徒歩での日本縦断を達成。その後も米国やネパールなどでトレッキングの旅を楽しんでいた。改行 日本縦断から10年後、年齢的にも最後のチャンスと思い、夢だった日本一周を決意。そんな矢先、東日本大震災が発生、長男の太郎さん(45)からの提案もあり、復興支援を呼び掛ける旅とした。

 11年5月、テントや衣類、食料などを積んだ重さ90`のリヤカーを引いて出発。同年10月までに西日本コース、12年5月〜10月に東日本コースをそれぞれ一周した。

 そして、13年6月1日、小樽から北海道コースをスタート。ホテルのほかキャンプ場や道の駅での野営をしながら時計回りで道内を一周。リヤカーの故障や転倒などのアクシデントを乗り越えながら函館到着までに8119`を歩き、道中で出会った162人から115万241円の寄付を集めた。

 ゴールの小樽には9月中旬に到着予定。小川さんは「毎日が楽しい出会いばかり。ゴールが近付くにつれて寂しい気持ちが強くなる」「この旅が終わったら次は妻と一緒に車での旅に出たい」と笑顔で話している。(金子真人)



◎新幹線開業 商機あり 道内経営者が視察 北洋銀が企画

 2015年度末の北海道新幹線新函館開業をビジネスチャンスにつなげてもらおうと、北洋銀行は27日、道内各地の若手経営者を招き、北斗市の新駅の建設現場などを視察した。新幹線関連工事の進捗(しんちょく)状況を確認したり、関係者の講演を聞いたりして開業後のビジネスのイメージを探った。視察を通して参加者は時間短縮などのメリットを実感。「商機あり」と期待の声が聞かれた。

 視察に参加したのは道内の若手経営者24人。同行の取引先で、業種は製造や小売、飲食業などさまざま。26日は同行と連携協定を結ぶ青森銀行(青森市)と共同で経営者交流会を開き、販路拡大などに向けて意見交換をした。

 この日は若松町の北洋函館ビルで、北海道新幹線新函館開業対策推進機構の永沢大樹事務局長が函館の開業準備を紹介。北斗市市渡に移動し、新駅の建設現場を視察した。

 建設主体の鉄道・運輸機構北斗鉄道建設所の山崎貴之所長や市職員から工事の概要や駅前整備計画の説明を受け、参加者は札幌延伸などについて盛んに質問していた。

 「メガネのプリンス」を展開するムラタ(札幌市)の内間木義勝専務は開業に大きな期待を寄せる。「視察でしっかりと情報収集をすることができた。時間短縮はもちろん、コスト削減などいろいろなメリットがありそうだ」と手応えをつかんだ様子だった。

 新幹線開業を控え、本道と青森両地域の経済、産業振興に力を入れる同行。青函産業振興室の大内さおり調査役は「まずは函館に来てもらうことで新幹線開業が身近なことだということを肌で感じてもらえた。ビジネスがどう変化するか、具体的なイメージを持ってもらえたのではないか」と成果を話した。(松宮一郎)



◎湯川海水浴場 今季2万300人利用 過去最低 前年比1万1千人減

 函館市教委は、市内に2カ所ある海水浴場の今シーズンの利用状況をまとめた。本年度限りでの廃止が検討されている湯川海水浴場は前年度比1万1031人減の2万336人で、1995年の開設以来最低の人数となった。入舟町前浜海水浴場は同161人減の2793人だった。市教委は7月下旬の悪天候が響いたとみている。

 遊泳期間は湯川が7月20日から、入舟は同25日からで、いずれも8月18日に終了した。

 湯川は7月の利用客が3578人と、前年比で7320人減と大幅な落ち込み。開設した週は天候に恵まれたものの、以降は集客が見込める週末に悪天候や低温が続いた。これまでのシーズン最低は2002年の2万2673人(開設56日間)だった。

 市教委スポーツ振興課は「一番集客の多い時期に天気が悪く、家族連れの客足が鈍くなった」とみている。

 湯川海水浴場はネットの維持に毎年4000〜5000万円の経費がかかるとして、本年度限りでの廃止が検討されている一方、銭亀沢地区の有志が署名活動などを行って存続を求めている。

 工藤寿樹市長は27日の定例会見で、「いつまでネットが持つかが問題で、億単位での更新は厳しい」との認識を示す一方、現段階で廃止は決めていないとし、「存続を求める意見もあるので、整理しながら検討したい」と述べるにとどめた。(千葉卓陽)


◎工藤市長、トラブル相次ぐJRに苦言「安全意識もう一度構築を」

 函館市の工藤寿樹市長は27日の定例会見で、出火や脱線事故などのトラブルが相次いでいるJR北海道について「会社として安全に対する意識をもう一度構築してもらいたい。車両の点検整備、線路、路盤を維持する体制を整えるよう函館支社を通じて市も要望している」と述べた。

 JR函館線では7月6日の特急北斗の出火事故をはじめ、大雨に伴う路盤の流出、貨物の脱線事故などが続いている。工藤市長はGLAYライブやお盆時期など観光繁忙期に運休が重なり、朝市関係者をはじめ、観光業への影響があるとし「函館駅で乗客の皆さんが不満を抱いている様子が報じられ、函館のイメージを損ないかねない」と述べた。

 また、北海道新幹線開業に伴い、JRから経営分離される江差線(五稜郭—木古内間)の第三セクター運営に向け「JRから車両や線路を譲り受けることになるが、経費がかさむようではたまったものではない。3セクの路線としてだけではなく、北海道の物流にかかわる路線であり、JRには折々申し上げていく」とした。(今井正一)