2013年8月29日 (木) 掲載

◎旧相馬邸でライトアップ実験

 函館市地球温暖化対策地域推進協議会(松原仁会長)は28日、伝統的建造物「旧相馬邸」(元町33)のライトアップ実証実験に向けた事前評価を実施した。協議会委員や市関係者ら約20人が参加。二酸化炭素排出量の少ない発光ダイオード(LED)照明を2色用意し、建物の見え方の違いや周辺との調和などを確かめた。

 同協議会の作業部会「光の街はこだてあかりプロジェクト構想検討部会」(赤石哲明部会長)は3月、旧相馬邸をモデル施設として、検証することを報告書に盛り込んだ。赤石部会長(36)は「函館の観光産業と省エネのバランスをみる意義のある取り組み」と話す。

 照明は、東芝ライテックが提供し、建物の正面玄関と隣接する洋館、蔵付近に計6基を設置。電球色と白色の2色のLEDを用意した。市環境部によると、従来のライトアップ用照明と比較して、消費電力は電球色で66%、白色で69%抑えることができるとし、同社は「従来品と見え方にはほとんど変わりはない」とする。

 ライトアップされた建物は、電球色は温かみのある柔らかな印象を残し、白色は建物の趣を際立たせた。参加者はさまざまな角度から建物を眺めて、意見を交わした。同施設館長の東出伸司さん(73)は「想定以上の明るさ。周辺はこれまで暗かったが、観光客に感動とインパクトを与えることができる」と喜んだ。

 事前評価は29日も継続し、函館山からの見え方の違いを検証。実証実験は9月以降に電球色から始め、白色に切り替える際にライトアップ鑑賞デーとして施設開放を予定、市民アンケートも実施する。(今井正一)



◎木質バイオ 目指せ普及、道南協議会を発足

 道南の豊かな森林資源を生かし、木質バイオマスの利用促進を目指す民間の計画が動きだしている。第一弾として「道南木質バイオマス普及推進協議会」(山崎文雄代表)が発足、道南でのペレットストーブの普及活動を担う。エネルギーの地産地消が実現すれば、地域経済の活性化や雇用機会の拡大など、メリットは大きそうだ。

 NPO法人南北海道自然エネルギープロジェクト(ピーター・ハウレット代表理事)が設置した、木質バイオマス部会(ハウレット部会長)が呼び掛けて協議会を立ち上げた。北海道国際交流センター(山崎代表理事)、同NPO、NERC(ネルク、札幌)、佐々木総業(厚沢部)、NPO法人函館せいかつコミュニティ、北日本送電グループ(森)の6団体で構成。

 ペレットストーブは燃料に木質ペレットを使うため、二酸化炭素を増やさず、環境に優しい利点がある。同協議会によると、道南での利用状況はペレットストーブが20軒程度、ボイラーが1軒となっており、道内先進地と比較すると、大きな遅れを取っている。

 同協議会は7月に、林野庁の「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」に応募したが、委託先に選定されなかった。提案内容では、函館市内に3年間でストーブ320軒、ボイラー17施設を導入。意欲を高めるためストーブ、ボイラー購入に対して半額を補助。また、市内にペレット生産工場を建設し、雇用拡大に結び付けるとした。

 同部会副部会長の高石勇光さん(56)は「国や道の動きを見極め、再度挑んでいきたい」と話す。

 ペレットストーブ設置は道南でも増えてきた。フレンチレストラン「ブランヴェール」(七飯町大川6、田中秀幸オーナーシェフ)は7月末、店内に大小2台を導入。来店者が環境問題を考えるきっかけとし「ペレットストーブが広まってほしい」と期待を込める。

 高石さんは「道南は林地残材や間伐材などが豊富なので、カーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量が同じ)を実現したい」とモデル地域づくりに意欲を示す。(山崎大和)



◎高校生集団暴行死から6年、東富岡町会がいじめ撲滅へ小中学生に啓発

 2007年8月26日に函館市内の高校3年の少年(当時18)が、少年7人から集団暴行され死亡した事件を受け、東富岡町会(石井満会長)は28日、いじめの根絶に向けて市内の小・中学校5校でキャンペーンを行った。

 事件は同町会管内の富岡中央公園、昭和公園で発生した。同町会では09年、東富岡町会いじめ虐待防止委員会と、いじめ虐待相談室を設置。町会一丸となっていじめの撲滅、防止活動に力を入れ、8月26日を「いじめをなくす決意の日」と制定。前後に教育講演会を開くなどしており、今年は児童・生徒の登校時に学校玄関前で、町会員らが「子ども相談室のお知らせ」という内容のプリントを配った。

 桐花中、亀田中、中央小、亀田小、昭和小で行い、このうち桐花中では「何かあったら、いつでも電話してください」と子どもたちに声を掛け、プリント330枚を手渡した。

 石井会長(74)は「悲しい事件を2度と起こしてはいけない。相談室や子どもの居場所づくりなど、できる活動をこれからも続け、いじめがなくなるよう尽力したい」。桐花中2年の山崎未来さん(14)は「事件のことは知らなかったが、いじめが良くないのは当然で、どうして起きるのかと思う。もし何かあったら相談したい」と話していた。

 9月から相談室の電話番号が変わり、電話0138・41・4581で受け付ける。毎週土曜午後3〜5時。(虎谷綾子)


◎7月有効求人倍率、21年ぶり0・70倍

 函館公共職業安定所は28日、渡島・桧山管内の7月の雇用失業情勢を発表した。有効求人倍率は前年同月を0・18ポイント上回り、0・70倍となった。0・70倍台となったのは1992年2月以来、21年3カ月ぶり。有効求人数もデータが残る91年以降最高となった。雇用のミスマッチといった課題はあるものの、道南で雇用環境の改善が進んでいることがうかがえる。

 有効求人倍率が前年同月を上回ったのは38カ月連続。新規求人数や有効求人数の増加を受け、基調判断を「一部先行き不透明ではあるが、持ち直している」と一段引き上げた。

 新規求人数は前年同月比16・1%増の2776人で7カ月連続で増えた。業種別では、公共工事の増加を受け、「建設業」が同55・1%増の259人と高い伸びを示した。ただ、技術者や職人が充足せず、ミスマッチの一因となっている。

 「サービス業」は主にビルメンテナンスで、同35・2%増の307人。観光客の入り込みが好調なことから、「卸売業・小売業」が同23・2%増の377人、「宿泊業・飲食サービス業」も同12・6%増の616人となった。

 有効求人数は同23・4%増の6519人となり、39カ月連続で前年同月を上回った。先行きについて同職安は、求人数はこのまま推移するとみており、「雇用のミスマッチをどう解消するかがポイント」とした。(松宮一郎)