2013年9月12日 (木) 掲載

◎駐車場化 流れ止まらず 駅前・大門地区の空き店舗や空き地

 函館市経済部は、市中心市街地活性化基本計画の対象エリア内の空き地・空き店舗の状況をまとめた。函館駅前・大門地区では、空き店舗が空き地となり、さらに駐車場に変わる流れが続いており、長期間利用されていない空き店舗も目立つ。同部中心市街地等再生担当は「中活事業を進める中で、解消につなげていく」としている。

 調査地区は▽駅前・大門地区、本町・五稜郭・梁川地区と、両エリアをつなぐ中間地区の3エリア。基準日は今年3月末で、本町地区と中間地区は今回が初調査。中活の計画期間(2017年度まで)は年1回、実施する。

 3エリアの空き地総数は85カ所(1万4620平方メートル)、空き店舗は469件だった。2002年度から調査を継続している函館駅前・大門地区では、空き地の総面積は縮小傾向にあるが、駐車場は増え続けている。同担当によると、新たな建物ができたケースはこの1年間に2件のみで、依然として物件全体の動きは鈍い。

 ただ、本年度から始まった店舗改装費などを助成する中活エリア内の出店補助事業を活用して、駅前・大門地区では8月以降に飲食店など3件が新規に開店。同担当は「WAKOビルの再開発の動きを見て、さまざまな検討をしている人がいるとも聞いている。補助金を活用する人が続いてほしい」とする。

 本町地区でも、飲食店ビルを中心に空きテナントや、ビルの跡地が駐車場となるケースが目立つ。同地区も「旧グルメシティ」を核に中活事業が進められ、「時間はかかるが、人の流れが変わり、店舗が増えることを期待している」としている。(今井正一)



◎青森・道南の特産品ずらり イトーヨーカドー初の取り組み

 道南と青森県の特産品を紹介する「津軽と道南の物産・観光フェア」が11日、イトーヨーカドー函館店(美原1)で始まった。青森県の業者も参加した催事で、2016年3月の北海道新幹線開業を見据えた取り組みだ。開業を2年半後に控え、青函連携に向けた動きが目立ってきた。

 同店はこれまで道南の食と観光のブランド化を図ろうと、渡島総合振興局や桧山振興局と協力し、物産フェアを開いてきたが、道新幹線開業をにらんだ取り組みは今回が初めてという。

 今回、青森県から出店したのは青森市物産協会のアンテナショップ「アイモリー」と、リンゴを使った菓子で有名なラグノオささき(弘前市)の2店。

 アイモリーは昔懐かしい津軽飴や土産品の定番ねぶた漬、南部せんべい、アップルジュースなどの人気商品を並べた。一方、ラグノオささきは「気になるリンゴ」や「パティシエのリンゴステッィック」といった菓子のほか、焼きたての商品も販売している。

 同物産協会の當麻洋さんは「物産展は青森のことを知ってもらういい機会。ぜひ手に取ってもらいたい」と話していた。会場ではそのほか、北洋堂(松前町)のお城最中や乙部町のゆり最中、するめ塩辛なども。道南、青森の観光をPRするため、各地の観光パンフレットも配布している。

 開業を見据えた青函連携では、函館、青森、弘前、八戸の4市が3月に広域観光圏形成を目指して新組織を設立したのをはじめ、金融機関、商工会議所同士の連携など動きが活発化している。(松宮一郎)



◎恒例の野だて 練習に熱 西高茶道部14日、公会堂で開催

 函館西高茶道部(丹羽桃子部長、部員16人)は14日、旧函館区公会堂(元町11)で野だてを開く。毎年大勢の市民が訪れる恒例の催しで、部員たちは「多くの人に楽しんでもらいたい」と真剣な眼差しで練習に励んでいる。

 同部は現在、1年生と2年生8人ずつの計16人で活動。公会堂での野だては4年前に初めて開かれ、大好評だったことから、継続して開いている。同部にとっては年間行事の中で最も大人数の前で所作を披露する一大イベント。生徒たちも「緊張するけどやりがいがある」と毎年楽しみにしている。

 昨年の野だてを経験した丹羽桃子部長(16)は「先輩たちは大勢の前で普段の練習成果を発揮していてすごいと思った」と振り返り、「自分たちもよいおもてなしができるよう頑張りたい」と気を引き締める。

 9日の放課後も校内の作法室では「お点前」を練習。互いに気になった点を指摘し合いながら手順を確認した。2年の川原木美月さん(16)は「外国の方も多いので、国境を超えて茶道の魅力を知ってほしい」と語り、1年の斉藤寧々さん(15)は「いろいろな人と交流したい」と意気込んでいる。

 14日は午後1時から同3時まで公会堂前庭で実施する。定員は先着200人で整理券(同日午後0時45分から同所で配布)が必要。問い合わせは旧函館区公会堂(電話0138・22・1001)まで。(森裕次郎)


◎東日本大震災発生から2年半 市仏教会が3回忌法要

 東日本大震災発生から11日で2年半が経過した。震災を風化させず、供養と復興をあらためて考えてもらおうと、函館市仏教会(木村清孝会長)は同日、西別院文化会館で大震災3回忌法要を行った。市民約150が参列し、犠牲者の冥福を祈った。

 函館別院の田中明宏さんら17人の僧侶が壇上で読経する中、参列者は焼香を行い、犠牲者の冥福とその家族の心の復興を願いながら手を合わせた。

 また、会場には募金箱が置かれ、集まった募金は同日、被災地復興のための義援金として日本赤十字社函館市地区に届けた。

 同会理事の岡真行さん(妙見寺)は「震災は忘れてはいけないこと。仏教会として、今後も復興の助けになるような行動を起こしていきたい」とあいさつした。

 その後、岩手県釜石市の千葉淳さんが「遺体安置所での寄り添いと救い〜必ずまた会える」と題した講演を行った。

 千葉さんは震災後にボランティアとして遺体安置所の管理人を務めた。震災後に次々と遺体が運ばれてくる悲惨な状況や、家族が引き取るまで遺体に声を掛け続けながら寄り添った体験などを涙ながらに話し、来場者も目頭を押さえながら聞き入っていた。

 参列した市内万代町の山本眞紀子さん(68)は「突然の災害は私たちの身にも起こりえること。1日1日を大切にしていこうとあらためて感じました」と話していた。