2013年9月20日 (金) 掲載

◎実務重視 伝統受け継ぐ 函商定時制110周年記念式典

 函館商業高校定時制(難波繁之校長、61人)は今年、創立110周年を迎え、21日に同校で記念式典を開く。働きながら学ぶ場として実業界に多くの人材を輩出してきた伝統校には、100年を超える歴史の中で「再チャレンジする場」としての役割も加わり、新たな歴史を積み重ねている。

 函商定時制は1903年(明治36年)、函館商業(当時)の学校長が同校内に私立函館商業補習学校を設立し、夜間補修教育を行ったのがはじまり。以来、一貫して実学を重視したカリキュラムを提供し、昨年度までに5000人を超える卒業生を送り出してきた。テーオー小笠原(函館)創業者の故・小笠原金悦氏をはじめ、各界で活躍する卒業生も多い。

 「同じ境遇の友人が集まるから、気持ちを開いて将来の夢を語り合うことができた」—。そう語るのは110周年記念事業協賛会の若狭健次郎会長(69)だ。

 在学中は苦しい経営状態にあった実家の雑貨卸店を手伝い、早朝から配達や営業の仕事をこなし、夕方から勉学に励んだ。「人よりも余計に頑張らなければ状況は良くならないと思った。ずいぶん働いたし、勉強もした」と振り返る。

 現在、同校で学ぶのは10〜30代の61人。同校の岩出宏孝教頭は「社会に出て役立つ実務を重視し、学んだことを生かした進路選択ができるようカリキュラムを組んでいる」と話す。

 110年の歴史はしっかりと在校生に受け継がれている。現生徒会長の4年、松倉みやびさん(18)は来春、社会へ羽ばたく。「簿記が大好き。借方と貸方の計算がぴったり合うところがパズルのようで楽しくてたまらない」と話し、簿記の知識を生かせる職種を視野に就職活動を開始。「110周年という記念すべき年に生徒会長ができて誇りに思う」とほほ笑んだ。

 21日の記念式典は同校体育館で午後1時から。同3時からは神田山陽氏をゲストに記念講演会を開く。



◎江差追分全国大会 受け入れ態勢万全

 【江差】第51回江差追分全国大会(江差追分会、江差町など主催)が20日、江差町文化会館(茂尻町71)で開幕する。19日には関係者が物故者法要に臨むなど、受け入れ態勢を整えた。22日までの3日間、まちは江差追分一色に染まる。

 ○…町内の東本願寺江差別院では大会前日の恒例行事となっている、先人の功績をたたえる大法要が執り行われ、浜谷一治町長ら関係者80人が参列。本堂で物故者を供養するとともに、敷地内にある江差追分始祖として知られる、江戸時代の琵琶師・佐之市(さのいち)をしのぶ石碑の前でも焼香。全員で江差追分を歌い、合掌した。

 昨年の第50回記念大会少年の部で優勝した札幌市の東美羽音さん(10)も参列し「(大会最終日のアトラクションで)上手に江差追分を歌えますようにと両手を合わせた」と笑顔だった。

 ○…全国大会の機運を盛り上げようと、江差追分会は特製カラーポロシャツを初めて考案。大会期間中、会場で販売する。

 ポロシャツは2500円。背中面に公式の題字と基本譜の一部を印字した。情熱的な赤や日本海の荒波のような青色、江差町民の温かな人情を表すピンクなど、全24色を用意した。

 会場での販売は白とグレーなど4色限定で、その他は予約扱い。役場内では職員が今夏から着用して業務をこなし、積極的なPRに努めている。江差追分会は「ポロシャツはとても好評。ぜひ会場で購入してもらいたい」。大会は各日午前8時半に開会、最終日の22日のみプログラム代(当日2300円)が必要。

 大会期間中の問い合わせは本部(TEL0139-52-1730)へ。 (田中陽介)



◎開業イベントチーム新設 北海道新幹線

 函館市は10月1日付で、北海道新幹線開業に向けたイベントプロジェクトチームを企画部内に新設する。2016年3月の開業を見据えた対応をより強化する狙いで、16年度までの期間限定で置く方針。

 新設のプロジェクトチームは部長職1人、課長職1人と担当主査2人の計4人体制。道や周辺自治体、地元経済界などと連携して、主に市内で行われる開業イベントの企画や運営を専門的に行う。部長職には小林良一企画部計画推進室長兼新幹線対策室長(53)を参事1級として昇格させる方針で、20日に内示する。

 新駅の駅名問題や、江差線五稜郭—木古内間の第三セクター鉄道などを担う既存の市新幹線対策室は残し、後任の政策推進室長兼新幹線対策室長には湯浅隆幸企画部企画管理課長(52)が昇格する見通し。同室と合わせると、新幹線関連の担当職員は9人に増える。

 市によると、全国的な傾向として新幹線の開業前年には観光客が大きく落ち込む傾向が見られる上、道新幹線開業の前年には北陸新幹線の長野—金沢間が開業を予定で、観光面で厳しい状況が予想される。年度途中の設置について市総務部は「少しでも早く、開業に向けて、準備を整えておく必要がある。来年度にはプレイベントが予定され、開業時、開業後のポイントごとに行っていきたい」としている。  (千葉卓陽)