2013年9月23日 (月) 掲載

◎江差追分全国大会、一般の部は栃木の柿沼さん優勝

 【江差】第51回江差追分全国大会は最終日の22日、町文化会館で決選会が行われ、栃木県宇都宮市の会社員、柿沼初雄さん(58)=宝優会=が一般の部で優勝し、念願の追分日本一に輝いた。

 天国の両親にささげる魂の追分—。柿沼さんは幼少時から民謡が好きで、20年前に江差追分にほれ込んだ。仕事帰りに自宅近くの橋下で練習を重ね、「海を一生懸命表現したくて」と隣の茨城県大洗に出向き、大海原に声を張ったことも。

 江差追分にのめり込む姿を誰よりも応援し、励ましてくれたのは、2年前に病気で他界した、父の松雄さん(享年90)と母の栄子さん(85)。柿沼さんは「『あきらめずに江差追分を頑張りなさい』と言ってくれた両親の存在は大きい。宇都宮に帰ったら優勝を報告したい」。

 優勝のステージでは、最後の最後で感極まって涙をぬぐった。「両親への感謝の気持ちがあふれてきた。今後も精進して、いい歌に仕上げたい」と喜びをかみしめた。

 熟年大会の優勝は、函館市の本田勝三さん(73)=函館澄声会=。大会には30年以上前から出場し、「いつも大会直前に体調を崩していたが、今年はのどの調子もよくて初めて思い切って腹から声を出せた」。同じ支部の中田セツさん(94)の活躍も後押しになった。「中田さんが予選を自力で突破する姿が励みになった。この優勝を地域で頑張るみんなと今後の活動の力としたい」と力を込めた。

 少年大会の優勝は、札幌市の小山田祐輝君(10)=札幌支部=。8歳から江差追分を習い、瞬く間に技術を磨いた。「追分の難しいところが好き。将来の夢は演歌歌手で氷川きよしさんのようになりたい」と笑顔を見せた。(田中陽介)

 



◎道南フェス、地元の食を満喫

 地元の食にスポットを当てた「第2回道南フェスティバル」(函館青年会議所主催)が22日、函館市元町公園で開かれた。快晴の中で家族連れなどの多くの人たちが足を運び、にぎわいをみせた。

 地元住民に道南地域の食材の素晴らしさを再認識してもらうのが狙い。「食の祭典」と題したブースでは、市内の有名レストランや飲食店など、30店舗が並んだ。ウニ焼きや、ツブ焼きの海産物をはじめ、やきとり、鹿肉などが販売。道南をメーンとしたグルメを求め、来場者が列をなして食を楽しんだ。

 フード・ドリンク無料コーナーでは、フレッシュジュースやワイン、野菜、肉、魚料理が振る舞われたほか、バター、スモーク作りの無料体験コーナーも人気を集めた。

 午前11時からのステージイベントは、函西高、上磯小の吹奏楽部による演奏や、函館少年少女合唱団が出演。午後1時、同5時の2回にわたって抽選会が行われ、当選者に道南の食材などを配った。同6時半からは、はこだて未来大とコラボレーションし、旧函館区公会堂をスクリーンに見立て、鮮やかに彩る「プロジェクションマッピング」が披露され、会場を盛り上げた。

 昨年に続いて来場した鈴木浩樹さん(36)は「楽しみにしていたイベント。海産物がおいしくて来て良かった。これからも毎年、開催してほしい」と満足げだった。(小林省悟)



◎ユニバーサル上映映画祭開幕、阿部さん講演

 【北斗】音声ガイドや要約筆記、補聴システムなどを配置し、ユニバーサル仕様の会場で映画を楽しむ「第8回北海道ユニバーサル上映映画祭(実行委主催)が22日、北斗市総合文化センターで開幕した。初日は映画作品の上映のほか、貧困、格差問題の第一人者として知られる、国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長の阿部彩さんが「ユニバーサルデザイン社会に向けて」と題して講演、誰もが脱落、排除されない社会の実現を訴えた。23日まで。

 阿部さんは、活動を通して知り合った路上生活者3組の生活状況を紹介しながら、生きていくうえで他者とのつながり、役割、居場所がいかに重要かを強調。データを提示し、低所得者ほど他人との会話が少なく、社会的な孤立に陥っていることを示した。

 就労支援や生活保護制度、社会保険など現行の社会保障制度の問題点を挙げ「私たちが意図しなくても貧困者を排除する仕組みになっている。社会のあらゆる場を改革していく必要がある」と指摘した。

 この日は、「ひみつのアッコちゃん」(川村泰祐監督)を上映。北斗市文化発掘企画として、同市(旧大野町)出身の兄弟俳優、葛木香一(1890—1964年)、光岡龍三郎(1901—61年)が出演した「御存じ右門 護(まも)る影」(西原孝監督)も特別上演された。会場では、映画祭とともに北斗市福祉まつりも同時に開かれた。

 23日は午前10時15分から「幸せの太鼓を響かせて」(小栗謙一監督)、午後3時15分から「ツレがうつになりまして」(佐々部清監督)を上映する。観賞は1000円、高校生以下無料。(鈴木 潤)



◎縄文まつりにぎわう

 函館東商工会(遠山俊一会長)主催の「商工会縄文まつり」が22日、市縄文文化交流センター(臼尻町)で開かれた。音楽と書道を融合させたパフォーマンスや、縄文時代をイメージした衣装のショーなどが行われ、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の早期世界遺産登録に向けて機運を盛り上げた。

 昨年に続く開催。会場では早煮昆布や、地元の海の幸を使った縄文浜鍋が無料で振る舞われた。

 今年はイベント内容を変え、声楽家の徳永ふさ子さんと函館メサイア合唱団による土笛や縄文太鼓を使った演奏が行われた。これに合わせて南茅部高校書道部の5人がパフォーマンスを披露し、豪快な筆遣いで「中空土偶」の文字をしたためた。

 また、同高ボランティア局は、中空土偶など国内の土偶10体をイメージした縄文服を製作。生徒たちが自らモデルとなってファッションショーを行い、来場者の視線を集めていた。

 遠山会長は「経済界が協議会を立ち上げるなど、世界遺産登録への動きは大きなうねりになり始めている。何としても地元から盛り上げていきたい」と話していた。(千葉卓陽)