2013年9月24日 (火) 掲載

◎タイ観光客呼び込め…函館市 11月に初の訪問団

 函館市は本年度の海外観光客誘致活動として、11月に初めてタイを訪問する。工藤寿樹市長をはじめ、地元経済界関係者で訪問団をつくり、首都バンコクでトップセールスを展開。日本政府観光局(JNTO)のまとめでは、国内全体の外国人観光客の中で、今年は特にタイからの入り込みが増加し、北海道人気も高いことから、現地で函館の知名度向上に努める。

 市は当初予算では中国本土でのプロモーション活動費を計上。ただ、尖閣諸島の領有権問題で日中関係の悪化が尾を引いていることから、今後の成長が期待できるタイに行き先を変更した。

 訪問団は市議会、函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会関係者らで構成。11月17日から5日間の日程で、タイ政府観光庁や観光エージェントに対するプロモーション活動、タイ国際航空へのチャーター便運航要請などを行う。

 タイでは富裕層を中心に訪日旅行がステータスとなっており、団体客や家族単位での旅行が人気という。特に旧正月「ソンクラーン」(4月)を挟む3〜5月が夏休み期間に当たるため、この時期に海外旅行が盛んになる。

 JNTOが発表した今年1〜7月のタイ人観光客数(推計値)は23万2000人で、前年同期比で56・2%の増加となり、昨年1年間の26万人に迫る勢いで成長している。特に7月に東南アジア諸国連合(ASEAN)との友好40周年を記念し、短期滞在者の査証免除措置が追い風となっている。

 昨年10月に就航した新千歳|バンコク間の定期便は来月から毎日運航となる。東京に次いで北海道は高い人気があり、千歳から道南方面へ周遊する客も多く、函館市内にも波及効果が現れている。

 今年8月に市はバンコクで開かれた国際旅行博に道内他都市と参加。四季のメリハリがある北海道は特に人気で、現地を訪れた市観光振興課の小笠原聡課長は「個人客や日本リピーター客の動きも見えた。途切れることがなく人が訪れ、関心の高さがうかがえた」と話す。

 訪問団はミシュランの評価や豊富な食の魅力、交通アクセスの利便性などをPRする予定で、市ブランド推進課の山崎貴史課長は「トップセールスは1度限りではうまくいかない。タイでの活動も地道に続けていくことが必要になる」と話している。(今井正一)

 



◎黄金の稲穂を手刈り…多田さん水田で抜穂祭

 【木古内】宮中行事「新嘗祭(にいなめさい)に献上する新米を収穫する「抜穂祭(ぬいぼさい)」が23日、町大川の多田幸広さん(49)の水田で行われた。清々しい秋晴れの中、多田さんらが黄金色に輝く稲穂を丁寧に手刈りした。

 新嘗祭は、天皇陛下が神前に全国各地から献穀された新穀を供え、その年の収穫に感謝する儀式で、毎年11月23日に行われている。木古内町が担当するのは今回が初めてという。

 町や農業関係者など約50人が出席した。佐女川神社の野村広章宮司による祝詞奏上や関係者による玉ぐしを捧げる神事が執り行われた。その後、献穀者の多田さんや妻の香さん(42)ら関係者12人が次々と鎌を手にして、稲穂を刈り取った。大森伊佐緒町長は「おいしいお米を献上できることは町として大きな誇り」とあいさつした。

 今回、献上される品種は「ふっくりんこ」と「ななつぼし」を掛け合わせた新品種「きたくりん」で、多田さんは6月上旬に田植えをした。10月下旬にも収穫した米5合を夫妻自ら届けるという。多田さんは「天候が悪い日もあり生育を心配したが、よく育ってくれた。最後まで愛情を込めて納めたい」と話していた。(小杉貴洋)



◎ハロウィンは弘前に来てね…さくらレディがPR

 弘前市で10月12、13の両日に開かれるイベント「ひろさきりんごハロウィン」をPRしようと、市内のホテルの女性スタッフで結成した「さくらレディ」が23日、JR函館駅で駅利用者らに来場を呼び掛けた。

 イベントは弘前商工会議所の主催。弘前に多くの観光客が訪れるのは8月の「ねぷたまつり」と4月の「さくらまつり」の期間。秋の集客を掘り起こそうと、昨年から行っている。

 同市のリンゴは日本一の生産量を誇り、これから収穫のピークを迎えることから、収穫祭、感謝祭と位置付けてイベントを展開。13日には飛び入り歓迎のハロウィンパレード、賞金や豪華景品があたる仮装コンテストなど多彩催しがある。

 この日はハロウィンの魔女の仮装をしたさくらレディーのメンバーが、駅利用者らにチラシとカットリンゴを手渡し、イベントを紹介した。メンバーの斉藤梢さんは「弘前は秋も魅力がいっぱい。ぜひお越しください」と話していた。(松宮一郎)



◎松陰保育園 新築…11月から供用開始へ

 社会福祉法人函館市民生事業協会(本田英孝理事長)が、松陰町30に松陰保育園(勢田珠巨園長)を移転新築する。30日に完成し、11月1日から使い始める予定。全館冷暖房の導入など、子どもに快適な保育環境を提供するほか、市内保育園で初めて学童保育のスペースを設ける。

 現木造園舎(松陰町21)の老朽化に伴い、南側に約50メートル離れた場所に移転新築。鉄筋コンクリート造3階建て延べ1162平方メートルで、総事業費は約3億円。今年3月から新築工事を進めていた。

 保育室(全6室)が1、2階にコンパクトにまとまり、保育士が連携してより良い保育を提供できる。また、保育室内にトイレを整備して乳幼児に優しい。遊戯室も広くなり、園庭は屋上に設ける。同協会は「五稜郭公園が近い立地条件を生かし、屋外活動を増やしていく」という。定員は120人。

 現施設は、保育園ではなく併設する松陰母子ホームで学童を受け入れている。新施設は3階に学童スペースを開設し、児童の放課後支援サービスを行う。

 現施設は1945(昭和20)年に建てられ、老朽化が著しい。2010年に設置者を市から同協会に移管、建物も無償譲渡された。民設民営となり、施設の建て替えプロジェクトが動きだした。母子ホームがあるため、保育園の移転後も現施設は残るという。

 本田理事長は「広くなったスペースで、子どもたちに伸び伸びと生活してほしい」と話している。(山崎大和)