2013年9月26日 (木) 掲載

◎線路幅超過 基準の2倍、大沼貨物脱線

 七飯町のJR函館線大沼駅構内で発生した貨物列車脱線事故で、国土交通省の運輸安全委員会は25日、脱線した原因の調査状況を発表した。事故後の測定で、レール幅がJR北海道の社内基準の約2倍に当たる37ミリ広がっていたことが分かった。

 事故発生翌日の20日から2日間にわたって、鉄道事故調査官2人を現地に派遣。脱線した6〜9両目のほか、レールなどの状況を調べていた。

 同委員会によると、ポイントから大沼駅方向に約8メートルの左レール下に、線状の傷が複数認められた。車輪が脱線した際についた傷の可能性が高いという。

 現場のレール幅は通常1067ミリ。これより19ミリ以上広がると、脱線の恐れがあるため、JRは早急な補修が必要と定めている。脱線地点の付近では、この基準値の約2倍に当たる37ミリまでに広がっていた。同委員会は、列車脱線時に、レールが押し広げられて、幅が拡大した可能性もあるとしている。

 昨年10月にJR北海道が行った現場付近の定期検査では、線路幅の広がりが20ミリ、今年6月の検査では同25ミリとそれぞれ基準を超えていたことが明らかになっている。

 同委員会はレールや車両の損傷、運転速度、管理状況などをさらに詳しく分析し、脱線原因を調べていく。

 脱線事故は19日夜に発生。帯広発埼玉熊谷ターミナル行き貨物列車(18両編成)のうち、6両目から9両目までの貨車4両が脱線した。この事故で、函館線は七飯—大沼公園間が21日夕まで約2日間、不通となった。(小林省悟)

 



◎さよなら渡島ドーム、建て替えで店舗引っ越し

 10月から建て替え工事が始まる函館朝市内の渡島ドーム(若松町)で、店舗の引っ越し作業が行われている。27日ごろまでに全店がドームを引き払い、29日から朝市内の仮設店舗で営業を再開する。新施設は2014年3月までに完成させ、営業開始は4月を予定。観光客はもちろん、市民が集う施設を目指す。

 1963年に建設された現在のドームは、渡島蔬菜(そさい)農業協同組合(伍楼進組合長)が運営。約50の店舗が軒を連ね、生鮮野菜や海産物などを販売している。築50年で老朽化したことや北海道新幹線の開業に向けて改築することを決めた。

 新施設は、約2470平方メートルの敷地に鉄筋造2階建て延べ3600平方メートル。同組合と函館朝市協同組合連合会、函館朝市協和会商業協同組合が共同出資したまちづくり会社「函館朝市まちづくりの会」(坂口雄一社長)が事業主体。国の補助金なども活用し、建設を進める。

 生産者が生鮮野菜を直接販売するゾーンのほか、市民活動に利用できるイベントホールなどを整備し、コミュニティー施設としての機能を持たせる計画。「市民の台所」と言われた時代への原点回帰がコンセプトだ。伍楼組合長は「観光客はもちろん、市民が大勢訪れる施設に生まれ変わらせたい。市民に昔を思い出してもらえれば」と力を込める。

 50年以上前から朝市で海産物を販売してきた高岡弘子さん(79)は「今のドームに愛着もあるが、新しい施設で仕事をするのが今から楽しみ」と話していた。(松宮一郎)



◎大衆食堂「たつみ」 無休営業7000日

 地元市民や観光客に親しまれている函館市東川町の大衆食堂「たつみ」が25日、無休営業7000日を迎えた。店主の山田正勝さん(72)は「振り返ってみるとあっという間だった。従業員や家族の支えがあったからこそできたこと」と感謝する。

 「いらっしゃい!」—。のれんをくぐると「昔ながらの定食屋」の雰囲気を持つ店内に山田さんの威勢の良い声が響く。

 1973年に開店。ボリューム満点のメニューと店主の気さくで明るい接客に学生をはじめとする地元市民のほか、観光客にも多くのファンをつくった。

 無休営業の始まりは19年前。山田さんが腰を痛めて半年ほど店を休業した際、「いつお客さんが来ても迎えられる店」にしようと決意。再開後は、1日も休むことなく営業を続けている。山田さんは「病気もしないで健康でいられるのはしっかりご飯を食べているから。お客さんにもたくさん食べて元気でいてもらいたい」と話す。

 目標は無休営業1万日。そして、達成後は店を休んで年賀状などのやりとりがある全国各地のお客さんのところを旅行で回りたいという。山田さんは「そのころには80歳を超えている。そのためにも元気でいないといけないな」と笑顔を見せた。(金子真人)



◎旧相馬邸ライトアップ 市民の意見募集

 函館市地球温暖化対策地域推進協議会(松原仁会長)は、伝統的建造物「旧相馬邸」(元町33)のライトアップにかかわるアンケート調査を実施している。電球色、昼白色の2種類の発光ダイオード(LED)照明による印象の違いなど、建物の写真を公開し、広く市民からの評価を募集している。

 従来の照明器具より6〜7割ほど消費電力の少ないLED照明を使用して、ライトアップ効果や夜景への影響などを調査することを目的にした実証実験。8月下旬には同協議会関係者らによる事前評価を実施している。

 照明は、旧相馬邸の正面玄関と隣接する洋館、蔵付近に設置。現在は電球色の照明を使用して、日没から午後9時半ごろまでライトアップしている。閉館後の夜間は敷地内に入ることはできないが、昼白色の照明に切り替える10月16日はライトアップ鑑賞デーとして開放を予定し、現地でアンケートを実施する。

 同協議会のホームページや旧相馬邸では、電球色(A案)、白色(B案)照明での建物外観と、函館山から撮影した様子の写真を公開。質問はライトアップから受ける印象として▽歴史的か、現代的か─といった違いや、夜景に与える影響についてなど。

 同協議会事務局の市環境総務課は「多くの人に評価をしていただき、他施設でLED照明を導入する際の参考意見としたい。照明を切り替える際には現地に足を運び、アンケートに協力してもらいたい」としている。(今井正一)