2013年9月7日 (土) 掲載

◎函館大谷学園 整備事業が完成 教育保育の連携実践へ 21日に記念式典

 学校法人函館大谷学園(鍛治1、黒萩裕理事長)が、2009年度から5カ年計画で進めていた総合整備事業が完成した。大谷高の校舎・武道館の新築のほか、松前認定こども園、港保育園、おおたに認定こども園(14年4月開園予定)をいずれも新設して短大附属施設を拡大。21日にホテル函館ロイヤルで、短大創立50周年と兼ねて完成の記念式典と祝賀会を開く。

 08年の学園創立120周年を機に、少子化時代の生き残り戦略として打ち出した。整備期間は09〜13年度で、総事業費は約16億円。

 大谷高の校舎・武道館は耐震化に対応して新築、今年3月に完成した。新設した短大附属の松前認定こども園(12年4月開園)、港保育園(13年4月開園)に続き、今年7月には市内本通2から移転した大谷短大附属幼稚園・保育園が完成、14年4月におおたに認定こども園としてスタートする。

 短大附属の施設を増やすことで、子どもの人数を確保するほか、短大生の優良な就職先を確保でき、研究や実習の場としても活用できるメリットがある。短大、高校、幼稚園・保育園が鍛治1の敷地内にそろい、連携した教育・保育の実践を目指す。

 事業完成により、1短大、1高校、2認定こども園、1幼稚園(大野幼稚園)、1保育園を擁する総合学園となり、同学園の藤野明信専務理事は「生き残るため、スケールメリットを最大限に生かしていきたい」と話している。(山崎大和)



◎函商生 全国大会へ 商業高フードグランプリ出場権

 函館商業高校(難波繁之校長、生徒589人)の生徒が商品開発のアイデアを出し完成したお菓子が11、12日に東京都で開かれる「商業高校フードグランプリ2013」(伊藤忠食品主催)の全国大会の出場権を得た。流通ビジネス科3年生6人が日本の食品メーカーなどに、自信作を紹介する。生徒たちは「函館をイメージした商品のコンセプトや特徴をしっかりアピールしてきたい」と意気込んでいる。

 同グランプリは商品開発を通じた教育と食育を狙いに、サントリーや味の素などの食品メーカー145店が出展するイベントの中で開催される。

 全国から商品開発部門に49チーム、商品アイデア部門に26チームが応募。予選を突破した代表校の中で、プレゼンテーション(発表)の内容や接客で順位が決まる。両部門の出場は全国でも同校のみ。

 商品開発部門には10校が参加。同校は昨年商品化された函館ブランデーケーキを出品する。道南産米のふっくりんこを使い、五稜郭をモチーフにした星型をデザインにいれたのが特徴で、リーダーの鈴木綾華さん(18)は「先輩の思いを受け継いで、異国情緒漂うブランデーケーキをPRしたい」と胸を張る。当日は試食を行うほか、プレゼンではクイズを出題するなど工夫する。

 一方、商品アイデア部門には5校が選出。同校は授業の一環で春から取り組んできた「函館100万jの夜景ゼリー」をプレゼンで紹介する。リンゴを使い、函館の地形をデザインに取り入れるなど、こだわりが詰まった商品だ。

 リーダーの鈴木愛さん(17)は「食べた時に函館が思い浮かぶようなお菓子が作りたかった。函館の夜景をたくさんの人に知ってもらいたい」と話す。(平尾美陽子)



◎函館アリーナ 整備費5億円増 市議会委で可決

 函館市は6日、函館アリーナ建設主体工事の入札不調に伴い、建築資材高騰に対応するため5億2700万円の整備費増額を市議会に提案した。議会は同日、総務常任委員会(斉藤明男委員長)を開いて審議を行い、全会一致で可決した。しかし、6月に続いての整備費増額に対し、各委員から厳しい指摘が相次いだ。

 アリーナ建設工事は8月に応札がなかったことを受けて、今月3日に再入札を実施。共同企業体(JV)2者が参加したが、ともに予定価格を約3〜5億円上回る金額を提示したため、無効となった。

 委員会では、再入札が不調に終わった同日に市が工事費増額を決めたことに対し、各委員は「初めから予算不足が分かっていたのでは」などと指摘。政田郁夫市教委生涯学習部長は「競争性を持たせるため、予定価格を変更せずに参加要件を緩和することで(予定価格に)収まるとみていた」、山田潤一財務部長は「万が一を想定して金額を計算していた」と述べた。

 また阿部善一氏(民主・市民ネット)は、増額分が3日の入札に参加したJV1者の応札額とほぼ同額に当たると指摘し「低い方に合わせるべきでは」とただしたが、山田部長は「型枠工事などの積算をし直した。応札したJVの価格を元にしたものではない」と述べ、理解を求めた。

 市は9日の本会議での採決後、10日に再公告、24日に再入札を行う考え。工事費増額について政田部長は「道単価と実勢価格との乖離(かいり)は埋まったと考えており、入札は成立すると思う」との見通しを示した。能登谷公氏(市政クラブ)の質問に答えた。(千葉卓陽)


◎「メディカルスクール設置を」 医師ら市長に提言 4年制医師養成大学院

 函館市が同志社大学(京都市)に対して働きかけている医学部設置構想に関し、地元医師らによる勉強会が、米国型の4年制医師養成大学院「メディカルスクール」の設置が望ましいとする報告書をまとめ、6日までに工藤寿樹市長に提出した。既存の6年制医学部と異なり、4年制大学の卒業生や社会人を対象に、既存病院と連携しながら臨床教育に力を入れることなどを提言している。

 国内ではメディカルスクールが認められていないため、今後の国の検討動向が焦点となる。改行 勉強会は市立函館病院と市医師会の医師4人で構成。南カリフォルニア大(米国)の岩城裕一教授をアドバイザーとして昨年12月から3回会議を開いた。

 報告書は北渡島や桧山地域の医師確保が課題としたうえで、「全人的医療者の養成が求められる中で、新たな医学教育システムが必要」と指摘。

 6年制医学部を新設した場合、「既存の医学部と競合する中で優秀な高卒者の確保が困難」とし、4年制大学の卒業生を対象とするメディカルスクール設置が望ましいと提言。市立函館病院など地域の医療機関と提携して臨床教育を行うことで、附属病院の建設コスト削減も図れるとした。

 メディカルスクールが国内で認められていないことに対しては、国が昨年まとめた「地域の医師確保対策」で検討を続けるとしたことや、首都圏の著名病院が導入を検討している点を踏まえ「十分可能性がある」と指摘した。ただ、スクール設置に必要な経費面には触れられていない。

 市は今後、同志社大に報告書の内容を伝えるほか、国の動向把握に努める方針。市企画部は「仮にメディカルスクールが認められれば、法改正や設置基準の見直しが行われる。動きを見過ごさないよう情報収集を行っていく。国で可能性が高まれば、次の行動を検討していかなくてはならない」(計画調整課)としている。(千葉卓陽)