2014年10月10日 (金) 掲載

◎上ノ国町、エゾバカガイ養殖に着手

 【上ノ国】上ノ国町は、漁獲減を受けて近年休漁中のエゾバカガイ(アオヤギ)の養殖事業に、今年から試験的に取り組み始めた。専門機関と地元漁師らの協力のもと、今夏には人工授精に初めて成功。一連の養殖事業は専門機関でも難しいとされる中、町は「数年後に事業を軌道に乗せられるよう本腰を入れて臨みたい」と意欲的だ。

 エゾバカガイは、高級すしねたや刺し身、貝焼きなどに人気で、高値で取引される。ひやま漁協では、2009年度に172d(水揚げ額1億400万円)、10年度が204d(同1億2400万円)、11年度は153d(同9300万円)と順調だったが、12年度には、せたな町大成のみの32d(同2200万円)に急落。このため、上ノ国と江差近海では12年度から5年をめどに休漁措置を取っている。

 難題の打破にと、道総研室蘭水試(室蘭市)に水産担当職員が出向き、養殖のノウハウを学び、町内の栽培漁業総合センターで研究している。温度刺激で産卵を誘発する採卵に8月6日に初めて成功し、372万個の人工授精も成し遂げた。137万個がふ化し、このうち30万個(0・3_〜1・1_)が砂場にもぐり込もうとする沈着期幼生に育った。

 町は10月下旬に放流を予定し、5_に成長した稚貝3万個の確保を目標にしている。

 町水産商工課の伊勢昭彦課長は「効率のよい養殖方法の技術確立と安定供給にむけて研究したい」。栽培センターの木村直和主査も「不明な点があればその都度、室蘭水試などに連絡してアドバイスを受けている。漁師や地域の皆さんの協力も支えになる」とする。(田中陽介)



◎大妻高生、園児に手料理

 函館大妻高校(池田延己校長)は9日、同校食物健康科棟カフェテリアで、学校の特色を生かしたサービス「食物わくわくバイキング〜大妻日和」を開いた。

 食物健康科と家政科の2年生45人が心を込めた料理やレクリエーションで、つぐみ保育園(佐々木和子園長)の年長児17人をおもてなし。レクリエーションでは、食事に関する劇やクレープ作り、食育クイズを行い、子どもたちに楽しく食事のマナーを教えた。

 バイキングには、ハートや星型に抜いた野菜を使うなどの工夫を凝らしたサンドイッチやオムライス、ロールキャベツといった彩り豊かで見栄えにもこだわった料理がずらり。お目当ての料理を皿に盛った子どもたちは笑顔を見せ、「おいしい!」と声をそろえた。

 調理のリーダーを務めた川合桃花さん(16)は「子どもたちが楽しく食べられるようにみんなで考えた料理ばかり。おいしく食べてもらえたらうれしい」と話していた。(虎谷綾子)



◎知内たっぷり海鮮釜めし、道の駅や温泉で27日から販売

 【知内】町の第三セクター「スリーエス」(社長・網野真副町長)は、町産のカキやホタテを使った3種類の海鮮釜めしを開発した。27日から、「道の駅しりうち」(町湯ノ里)と「こもれび温泉」(町元町)で販売を始める。

 特産品のPRが狙い。今春から商品開発に取り組み、社員や町職員らの意見を取り入れながら試作を重ねてきた。

 米は町産の「ふっくりんこ」を使用。「カキ釜めし」「ホタテ釜めし」「カキホタテ釜めし」の3種類で、いずれも大ぶりの食材がふんだんに使われている。冷凍した状態で販売し、電子レンジで5分ほど加熱して仕上げる。

 価格は950円(税込み)。当面は町内2カ所での販売となるが、将来的にはスーパーやコンビニエンスストア、通信販売など販路を広げていく考えだ。また、26日に町民センターで開かれる「知内町産業まつり」で「カキホタテ釜めし」を100個限定でプレ販売する。

 網野社長は「地場の産品を手軽に食べてもらえる商品を作りたかった。お土産品として定着させ、町の特産品の売り込みにもつなげていきたい」と話している。(金子真人)


◎コープさっぽろ、大間訴訟に1000万円寄付

 生活協同組合コープさっぽろ(大見英明理事長)は9日、函館市が国と電源開発(東京)を相手に起こしている大間原発建設差し止め訴訟に1000万円を寄付した。これまでに寄せられた中では最高額で、訴訟への寄付金が4000万円を超えることになった。

 同組合は脱原発と再生可能エネルギーの促進を求める立場から訴訟への支援を決め、6月21日から函館地区で先行して募金活動を開始。7〜8月にかけては道内全109店舗に広げて呼び掛け、9月も職員に協力を求めた。  店舗と宅配による総額は1004万5547円で、このうち宅配「トドック」を通じては1万2751件、869万3910円が寄せられた。

 9日には同組合の中島則裕専務理事が市役所を訪れ、工藤寿樹市長に目録を手渡した。同市長は「1000万円は大変大きな金額で驚いている。組合員、道民の支援を心強く思う」と謝辞を述べ、中島専務は「函館の場合は生活や生存に関わる問題。思った以上に活動が広まり、子どもを持つ母親の意識が高まったと思う」と話していた。

 市にこれまでに寄せられた寄付金は、9日午前9時現在で857件、3287万7268円。同組合は今月末に入金する方針。同専務は「活動はいったん終了し、組合員の意見をもとに訴訟への対応を決めたい」としている。(千葉卓陽)