2014年10月11日 (土) 掲載

◎空の玄関でアイヌ文化紹介 函館空港にコーナー設置

 函館空港「アイヌ工芸資料展示コーナー」のオープニングセレモニーが10日、同空港ギャラリーで開かれた。独特な模様が特徴的な木綿衣や壁掛けなど16点を展示。道南の空の玄関口としてアイヌ民族の文化などを発信していく。

 アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌、中村睦男理事長)のイランカラプテ(こんにちは)キャンペーン事業の一環。アイヌ文化に関心、興味を持ってもらおうと取り組み、資料展示は新千歳空港、釧路空港に次いで3番目となる。

 函館空港ギャラリーでは昨年、NPO法人道南マウコピリカの会(加藤敬人理事長)の主催で作品展を開催。今回は同機構が所有する資料が加わり、リニューアルオープンした。衣装や木彫り、船の模型などが展示されている。

 セレモニーには函館市職員や函館空港関係者らが出席。アイヌ民族の伝統的な踊りが披露された。同機構の西田俊夫専務理事は「全国、全道各地へアイヌ文化に対する理解が深まることを期待したい」と話していた。

 今後は数カ月ごとに展示内容を変えるという。(平尾美陽子)



◎神山茂賞奨励賞に中尾さん

 一般社団法人函館文化会(安島進会長)は10日、郷土史研究の功労者に贈る本年度の神山(こうやま)茂賞の奨励賞に、箱館歴史散歩の会を主宰する中尾仁彦さん(72)が決まったと発表した。市民に郷土史を広める活動が認められた。本賞の受賞者は4年連続該当なしとなった。

 神山茂賞は函館出身の郷土史研究家、神山茂氏(1893〜1965年)の業績をたたえ、函館文化会が1988年に創設。函館や近郊の郷土史について優れた研究、出版など事跡を残した個人、団体を表彰している。89年から昨年までに18個人4団体が本賞、6個人3団体が奨励賞を受けている。

 中尾さんは函館市西部地区で、歩きながら郷土の歴史を学ぶ箱館歴史散歩の会を2008年から始め、現在は4〜11月に毎月1〜2回開催。自身で資料を作成して参加者に配布し、あまり知られていない旧町名や碑、形の残っていない建物跡も丁寧に案内する。

 授賞理由について、同賞選考委員会の安東璋二委員長は「郷土史研究者や史料発掘者を顕彰する賞ではあるが、自身で調査した資料を市民に広げる中尾さんの活動は、郷土史に対する底辺拡大、人材育成につながる新しい分野として決定した」と話した。

 中尾さんは「地域密着の活動が認められてうれしい。今後も函館をよく知ってもらうために継続したい」と喜んでいた。

 表彰式は神山氏の命日にあたる11月7日、五島軒本店で開かれる。(山崎純一)



◎経済波及効果 年間136億円 政策投資銀

 日本政策投資銀行北海道支店は10日、2016年3月の北海道新幹線開業で、首都圏と宮城の1都4県からの観光客、ビジネス客がもたらす道内の経済波及効果を年間約136億円とする試算を発表した。同支店は「入込数と1人当たりの消費単価を今以上に増やすことができれば波及効果はさらに膨らむ」としている。

 「観光魅力度」や「東京からの時間、距離」などの指標を組み合わせた、同銀行独自のモデルを構築したうえで試算。1都3県(東京都、千葉、神奈川、埼玉の3県)と宮城県から函館・道南地区への来道入込数の増加分を推計し、さらに道内消費額などを乗じて波及額を算出した。

 増加した入込客が、宿泊や飲食などに直接使った効果額は観光で68億円、ビジネスで5億円と計約73億円とした。入込客に提供した商品やサービスに対して原材料調達、流通などに結び付く効果(第1次間接波及効果)を約41億円、こうした収入の増加で従業員の所得が増え、一部が消費にまわる効果を23億円と算出した。

 また、開業によって首都圏の1都3県から道南への鉄道入込客(年間)は2010年度と比較して観光客が2・4倍(約5万6000人増)、ビジネス客が2・5倍(約1万6000人増)、宮城県からは観光客が3・3倍(約4万1000人増)、ビジネス客が2・7倍(約1万6000人増)に増加すると見込んだ。

 同支店は、道南と結び付きの強い青森県や岩手県、北関東も含めた試算をすれば効果額はさらに拡大することから、「入込客を増加させるには効果的なPRが重要。東北新幹線沿線地域で重点的に実施することが効率的」と指摘している。(鈴木 潤)


◎ホテル入川 30日で閉館

 湯の川温泉の老舗宿泊施設、ホテル入川(佐藤孝一社長)が、売り上げの落ち込みが続いたことなどから、30日いっぱいで閉館することが分かった。

 同ホテルは1962年創業。和室を中心に客室が55室あり、300人収容することができる。百年以上の歴史を持つ「割烹入川」の流れをくみ、地元市民からも親しまれてきた。

 同ホテルの関係者によると、修学旅行生などの宿泊数が年々減少し、売り上げの低迷が続いたことから閉館に至ったという。従業員22人は今月末で全員解雇となる。

 閉館の話を聞いた湯の川地区の関係者は「正直びっくりした。源泉を持つホテルだしショックを受けている」と驚きを隠せないようだった。

 湯の川温泉旅館協同組合に加盟するホテルや旅館は15年前には29あったが、現在は同ホテルも含めて17施設にまで減少している。なお、同ホテルの宿泊は28日まで受け付ける。(山田大輔)