2014年10月15日 (水) 掲載

◎新幹線 函館に初上陸 車両基地へ深夜の大移動

 2016年3月開業予定の北海道新幹線新青森—新函館北斗間で使用する車両「H5系」の2両が13日、函館港港町埠頭に上陸した。車両の搬入は初めてで、入港セレモニーが開かれ、市民や幼稚園児らが歓迎した。14日未明には七飯町の総合車両基地までトレーラーによる陸送作業が行われ、深夜の大移動をひと目見ようと、大勢の見物客が沿道に詰め掛けた。車両の陸揚げは今月下旬まで続き、12月の試験運転に向けて組み立てや整備、点検を行う。

 H5系は、相互乗り入れする東北新幹線のE5系「はやぶさ」と同じ形、デザイン。カラーは上部が緑、下部が白といった基本的な構成は同じだが、内装や外装の一部を変更。アクセントとなる側面の帯の色を、本道をイメージさせる紫としたことが特徴だ。

 道新幹線で使用するのは4編成40両で、運行するJR北海道が約180億円を投入した。今年2月に川崎重工業に発注。兵庫工場(神戸市)で製造され、完成した2編成20両が月末までに陸揚げされる予定。第1陣は8日に神戸港を出港。接近した台風の影響を避け、太平洋経由から日本海回りに変更し、13日函館港に到着した。

 陸揚げ作業は早朝から行われ、貨物船から2台のクレーンを使って台車、2両目、先頭車両の順で降ろされた。作業はゆっくりと進み、鼻が長い特徴的な形の先頭車両が陸揚げされると、歴史的瞬間を見ようと集まった見物客から大きな歓声が上がった。函館山をバックに入港セレモニーも行われ、市内の幼稚園児らが歌で祝福した。

 14日午前0時半からは同ふ頭から七飯町の総合車両基地への陸送作業が行われた。市民らが沿道に集まり、車両の輸送を見守った。先頭車両が約1時間半後の午前2時すぎ、車両基地に到着した。同社は今後、組み立てや点検を行い、12月に始まる走行試験開始に備えるほか、開業の準備を本格化させる。

 セレモニーに参加した太陽の子幼稚園の水島貫汰君(6)は「新幹線はとてもかっこいい。走っているところを早く見たい」と大喜びだった。(松宮一郎)



◎函館バス「ニューバスパ」今月で廃止

 函館バス(森健二社長)は11月1日のダイヤ改正で、函館市中島町の共愛会病院正門前を起点とする循環バス「ニューバスパ」(花園富岡循環線)を廃止する。利用者が少なく、収支が悪化しているためで、花園団地裏、富岡中央公園前など9停留所が廃止となる。

 14日に市企業局庁舎で開かれた第3回市生活交通協議会(会長・木村健一公立はこだて未来大学教授)で見直し案が了承された。

 「バスパ」は「おけ回り」「手ぬぐい回り」とユニークな路線愛称を付け、2004年に市内温泉施設を回る路線として開設。一部、経路を見直しながら、現在は五稜郭や川原町、花園町、富岡などの病院や買い物施設など市内主要地域13・8`を回る。

 共愛会病院からの補助金を充て、均一料金で運行しているが、9月3日の乗降データによると、1便当たりの利用者は6〜31人、全24循環で計約300人にとどまる。同社は「利用者数は頭打ちで、燃料高騰もあり収支が悪化している。市内で1番の赤字路線」と廃止理由を説明した。

 路線廃止に伴い、花園団地や富岡の住宅街など、他路線と重複ないバス停が廃止され、同社は300〜600b離れた最寄りのバス停利用を呼び掛けている。

 このほか、昭和営業所を起点に稜北高校生らが多く利用する35系統(桔梗石川線)は運行路線を大幅に変更し、利用の少ない桔梗地域の住宅街の5つのバス停を廃止。要望の多い港町地域を起点とし、北斗市七重浜2〜3丁目地域、石川町などを回り同校前や道教育大附属函館中学校前などを経由する。日吉営業所から市役所前に向かう3系統(中の橋線)は臨空工業団地内への乗り入れをやめ、路線効率化を図る。(今井正一)



◎商工連盟 工藤氏の推薦決定 函館市長選

 函館商工会議所の政治団体、日本商工連盟函館地区連盟の松本栄一会長(同会議所会頭)は14日、取材に対し、任期満了に伴い来年春に行われる函館市長選で、現職の工藤寿樹氏(64)の推薦を決めたことを明らかにした。工藤氏の再選出馬は既定路線となっているが、まだ正式に表明はしておらず、経済界からの支援が先行する形となった。

 同連盟の理事会が9月1日に開かれ、満場一致で工藤氏の推薦が承認された。参加した24人の理事から異論はなかったという。

 松本会長は推薦を決めた理由として「経済再生や観光振興、新幹線開業に向けた取り組み、行財政改革」を挙げ、「中心市街地活性化や駅前再開などに積極的で、政策、行政手腕ともに評価している。商工会議所も一体となって取り組んでおり、しっかりやり遂げてもらいたい」と述べた。

 大間原発建設差し止め訴訟については「住民の総意であり、途中で投げ出すようでは困る。結論が出るまで戦ってほしい」とした。また、2期目のポイントとして人口減少、流出問題を挙げ、取り組みへの期待をにじませた。

 推薦決定をまだ工藤氏には伝えておらず、態度を表明してから推薦状を手渡すという。(松宮一郎)


◎乙部、交通死ゼロ2000日

 【乙部】町内での交通事故死ゼロが連続2000日を達成したとして、江差署は14日、乙部町交通安全運動推進委員会(会長・寺島光一郎町長)に感謝状を贈り、交通安全活動の継続を呼び掛けた。

 乙部では2009年4月19日以来、死亡事故がなく、今年10月11日で連続2000日を迎えた。町内の関係機関が連携し、街頭啓発や年配者らに夜光反射材を配るなどの各種活動が功を奏している。

 町役場を訪れた同署の高橋昌弘署長は「住民の交通安全意識が高く、安全活動にも熱心。継続した取り組みをお願いしたい」と述べ、寺島会長も「住民とともにこの安全記録をさらに3000日、5000日と伸ばせるように交通安全に力を入れていきたい」と話していた。

 北海道交通安全推進委員会も乙部の2000日達成を表彰し、記念品を贈呈。道内での交通事故死ゼロ連続記録は9月末現在、1位がオホーツク管内西興部村の7183日で、乙部は道内21番目、渡島・桧山管内では4番目。(田中陽介)