2014年10月20日 (月) 掲載

◎築造150年祭 市民のおもてなし 五稜郭の魅力高める 見回隊などロングラン終了

 4月に始まった五稜郭築造150年祭の催し「幕末見廻隊」と「箱館戦争抜刀隊」が19日終了した。幕末の衣装を着たスタッフが記念撮影に応じたり、箱館戦争の様子を再現するなどし、この半年間、観光客を楽しませた。参加した市民ボランティアは延べ1000人以上に及び、五稜郭の魅力アップに貢献した。

 記念イベントの目玉企画で、五稜郭公園を訪れる観光客をもてなそうと、4月26日から行ってきた。「抜刀隊」に出演したのは箱館五稜郭祭で殺陣を担当する箱館稜雲社と函館野外劇の殺陣チームのメンバー約20人。この日も迫力あるパフォーマンスを2回披露し、観客から拍手喝采を浴びた。

 ペリーや榎本武揚、武田斐三郎ら幕末の人物に扮して観光客と一緒に記念撮影をする「見廻隊」も観光客に大人気。期間中の土日祝日に実施し、この日で計57日間行った。川崎市の望月治さん(63)と正代さん(67)の夫婦は「ただ見て回るよりも、このようなサービスがあった方が断然楽しい」と笑顔で話した。

 ボランティアとして参加した市民も満足感でいっぱいの様子。抜刀隊で土方歳三役を務めた箱館稜雲社の佐藤竜也さん(56)は「足を運んでくれた観光客のために演じ切った。楽しんでもらえた」と手応え十分。市職員の腰山恭平さん(25)は、見廻隊に30回以上参加。「観光客とのやりとりが楽しくて続けることができた」と語った。

 実行委は2016年3月の北海道新幹線開業に向けて、催しの継続に意欲をみせている。実行委の小笠原勇人会長は「ロングランで予想以上に観光客に喜ばれた。来年以降も続けていくための方策を探っていく」と話した。(松宮一郎)



◎函館市のごみ焼却発電 1月から新電力に売電 年間2000万円増収見込む

 函館市は、日乃出清掃工場(日乃出町)のごみ焼却炉で発電される電気の売電先を、北海道電力より買い取り単価が高い新電力(特定規模電気事業者)に来年1月から切り替える。電気料金を大幅に値上げする北電への依存度を下げるとともに、年間約2000万円の増収を見込む。

 市は1992年から、同工場内に3基あるごみ焼却炉のうち、3号炉で発電を開始。ごみを燃やす熱を利用して蒸気タービンを回し、工場で使用する電力の大半を賄っている。2008年からは北電に余剰電力の売電を行っており、昨年度は年間約1250万㌔㍗時を発電、うち約394万㌔㍗時を北電に売却、約3000万円の売電収入を得ている。

 国は、自治体が行う売電に対して「一般競争入札が原則」としていることから、市も数年前から新電力への売電を検討。今年12月で北電との契約が満了することから、9月に初めて一般競争入札を実施。北電を含む3者が応札し、東京ガス、NTTファシリティーズなどが出資する新電力最大手のエネット(東京)が落札した。

 エネットが示した平均単価は1㌔㍗あたり14・92円で、現在の単価(同10・45円)から4割以上高い。市の売電額はこれにより、約5000万円に増加する見通し。市環境部は「3号炉は毎年1カ月間定期整備があり、その間は発電できない。11月に値上げを控えており電気代もかさむため、少しでも収入を増やしたい」としている。

 市はまた、現在北電から全量を買っている市内公共施設の電気についても、一部を新電力に切り替えられないか検討中で、来年度の予算編成を見据えながら年内に結論を出したい考え。市総務部は「北電の値上げや一層の節電を見据えた中での一つの手法。道内で取り組んでいる自治体の状況なども聴きながら検討を進めている」としている。(千葉卓陽)



◎詐欺手口紹介 被害未然に防げ

 函館市は、電話などの通信手段を用いて金品をだまし取る「特殊詐欺被害」を防止するため、啓発ちらしをこのほど作成した。市内の地域包括支援センター窓口や老人福祉施設などに配布するとともに、防犯の声掛けを強化している。

 近年増加している特殊詐欺は、不特定多数の人を標的に、実際に対面することなく金品をだまし取るもの。市内でも高齢者をターゲットとした被害が多く、「老人ホームの入居権が当たった」と言い、大金を振り込ませようとする電話がかかってきたケースがあるという。

 啓発ちらしはA4判で、「宝くじの当選番号を教えます」「還付金があるのでATMへ」など、特殊詐欺の手口を掲載。市くらし安心課は「電話の近くに貼ってもらい、通話中、詐欺に合っていると気付いてもらえれば」としている。また、保健福祉部と連携して在宅訪問の際にちらしを配り、被害の未然防止につなげていく考え。

 同課の川井公文課長は、誰でも被害者になりうる可能性が高いことを指摘しながら、「もしも不審な電話がかかってきても、自分で判断せず、すぐに相談してほしい」と話している。

 相談や情報提供は、市のくらし安心110番(TEL0138・21・3110)へ。(蝦名達也)


◎農産物ずらり 道南の食満喫 中小企業家同友会支部と津軽海峡フェリー

 北海道中小企業家同友会函館支部と津軽海峡フェリーは19日、函館市港町3の津軽海峡フェリー函館ターミナルでそれぞれ食のイベントを開いた。会場には道南の農産物や特産品がずらりと並び、大勢の客でにぎわった。

 同友会支部のイベントは「第3回AP北海道収穫祭食べマルシェ」。同友会加盟の農家でつくる部会組織、AP(アグリポット)北海道が企画した。

 各店のブースでは、色とりどりの新鮮な野菜が並んだ。森町のみよい農園は「くりりん」という糖度の高いカボチャを使った乾燥チップスを販売。試食をし、味に納得した客が次々と買い求めていった。

 津軽海峡フェリーは「フードマーケット」を開催。たかせ(七飯町)の「ななえ漬りんご」や服部醸造(八雲町)の「八雲味噌」など、道南の特産品を出店者が元気な声で販売していた。

 函館白百合学園は、AP北海道のカボチャやホウレン草などを使用して、パンケーキを提供。高校生が熱心にブースで調理を行っていた。

 このほか、芙蓉洲麗さんによる日本舞踊の実演や餅つき大会などがあった。(山田大輔)