2014年10月22日 (水) 掲載

◎新幹線が客船お出迎え

 函館港入港客船では今年最後の外国船となる「コスタ・ビクトリア」(7万5166㌧)が21日、港町埠頭に滞在した。岸壁には車両基地への陸送を待つ北海道新幹線H5系車両が陸揚げされており、中国からの乗客約2100人を新幹線が歓迎した。

 同船はイタリアのコスタ・クルーズ社が運航するカジュアル船で、函館寄港は昨年9月以来3回目。中国・北京からのチャータークルーズで、小樽経由で函館入りし、同日夜に福岡・博多港に向かった。

 クルーズ企画会社によると、中国本土では客船旅行の需要が高まり、寄港地では団体での移動が主流という。岸壁には函館をはじめ、室蘭、札幌、帯広など道内各地のナンバーの観光バス50台以上が並んだ。乗客らは下船後、指定のバスに乗り込み、市内や周辺の観光に向かった。

 また、新幹線車両は20日までに陸揚げした車両で、最上級のシートがある「グランクラス」(10号車)の姿も。船が接岸するまでの間、バスの運転手らも新幹線が並ぶ光景を物珍しそうに眺めていた。苫小牧市のバス会社勤務の男性(46)は「新幹線を見ることができて良かった。開業への期待が高まりますね」と喜んでいた。(今井正一)



◎市営競輪売り上げ156億円、前年度比7・5%増

 20日で今シーズンの開催を終了した市営函館競輪の本年度売上額(速報値)は、開催52日間で156億766万円で、前年度比7・5%増、10億9235万円の増加となった。開催日数は前年度から3日間減ったが、ナイター開催を行う他競輪場との競合減少や、今シーズンからのガールズケイリン開始が奏功し、電話投票や臨時場外が好調だった。

 普通競輪(FⅠ・FⅡ)の売り上げは99億6202万円で、昨年度を17%上回った。開催49日の時点で市営競輪全体の当初予算も上回り、市は予算を7億円増額して対応した。7月26~29日に開いた年間最大レースの函館記念(GⅢ)は56億4564万円と、昨年度比5・9%減にとどまった。有力選手の日本競輪選手会脱会騒動の影響で、出場自粛期間と重なったことが要因とみられる。

 市競輪事業部は普通競輪の好調について「3日間減ったことで他競輪場との調整が進み、臨時場外の発売日数が約25%増えた。ガールズケイリン(3開催、9日間)も新規ファンを掘り起こした」としている。

 売上区分別では臨時場外が同10・3%増の102億302万円、電話投票も同3・5%増の50億2379万円だった一方、競輪場とサテライト松風で同5・1%減の3億5018万円。競輪場の入場者数も同7・5%減の7万4233人と、3年連続で減少が続いており、地元ファンの開拓が課題となっている。

 昨年度は4700万円の単年度黒字を計上したが、本年度は消費税率引き上げや11月からの電気料金値上げの影響で2年連続の黒字確保は微妙な情勢。同部は「経費を圧縮しながら、何とか単年度黒字を確保したい」としている。また、来年度は記念競輪に加えてサマーナイトフェスティバル(GⅡ)が8月21~23日に開かれるほか、ガールズケイリンも引き続き開催を目指す方針だ。(千葉卓陽)



◎東山の住宅裏で擁壁倒壊

 20日午後11時半ごろ、函館市東山2の住宅裏庭で、コンクリート製擁壁の一部が倒壊した。壁の下側に住む会社員男性(61)が物音に気付き、119番通報した。自転車置き場に利用していた屋根と支柱が下敷きとなり、ミニバイク1台と自転車1台が壊れた。けが人はなかった。市は21日午後3時ごろから、山の手1の16、東山2の67の17世帯に37人に自主避難を促している。

 市によると、崩壊した擁壁は鉄筋コンクリート製で、幅9・5㍍、高さ3・5〜4㍍、厚さ35㌢。原因は分かっていないが、函館地方気象台によると、20日は市内で28㍉の雨量を観測した。

 現場周辺は傾斜地に造成された住宅地で、擁壁は1981年に市内の不動産会社によって建てられ、全長は98㍍。95年ごろから壁に傾きが見られたことで、市に住民から心配の声が寄せられていた。市は、擁壁を含む土地所有者に保全や改修の要請をしてきたという。

 通報した男性は「市に掛け合っても、私有物なので個人で対処してくださいと、どうにもならない状況が続いていた」と話し、妻(49)は「夜中にカミナリが鳴ったような『ドーン』という音と地響きがした」と驚いた様子。同様の壁が裏庭にある主婦(66)は「ひびなどもあったの不安に感じていた。大雨が降るたびにストレスで寝られない。人の命が奪われてからでは遅い」と心配していた。

 市は山の手町会館に職員2人を派遣し、避難者の受け入れに当たっているが、午後10時現在、避難者はいない。

 現場は二次災害を防ぐため、市が委託した業者によりブルーシートが掛けられているが、崩壊した擁壁の撤去費用などは見通しが立っていない。(能代俊貴)


◎函館税関が海上取り締まり公開

 薬物及び銃器取締強化期間(1〜31日)の一環行事で、函館税関は21日、監視艇しらかみ(70㌧、角浩船長)による海上取り締まりを公開した。函館港内に係留している外国船などを注意深く監視した。

 4月に同税関に配備された「しらかみ」は、全国の税関の中でも最新の監視艇。速度は34ノット(時速約60㌔)を誇るほか、高性能の監視カメラなどを備えて、道南と北東北3県を中心に取り締まりを行っている。

 この日は、係留していた外国船3隻の陸揚げ作業や、不審船が航行していないかなどを、船内から双眼鏡とレーダーを使って確認した。田川正弘特別監視官は「薬物、銃器などの密輸に注意しながら日々監視を続けている。これから年末に向けて物流が多くなるので、警戒を強化していきたい」と話していた。

 密輸や不審船などの情報提供は税関密輸ダイヤルTEL0120・461・961まで。(小林省悟)