2014年10月24日 (金) 掲載

◎すしの「技」伝授 タイ料理人招き研修会

 日本食ブームにわくタイで、道南食材の普及を図る取り組みが進んでいる。函館の企業などがタイの富裕層をターゲットとして行っており、23日にはタイの寿司店から料理人を招いて研修会を開き、日本のシェフがすしの調理法や魚のさばき方などを伝授。地元関係者は、道南の海産物や日本食の調理技術を現地で生かしてもらおうと、精力的な動きを進めている。

 一般財団法人北道食品開発流通地興(谷沢広代表理事)や、市内の海産物販売業サンフーズ(小林真実社長)などが、新鮮な海産物を鮮度を保ったまま東南アジアに輸出するため、経済産業省から補助金7200万円を得て事業を行っている。

 北ガス函館支店(万代町)で開かれた研修会には、バンコクで3店舗を展開するすし店「鮨正」のシェフやオーナーら6人が参加。ハーバー研究所(東京)のエグゼクティブシェフ、菅沼豊明さんと、函館市内の海鮮料理店「旬花」の山田一美料理長が講師を務めた。

 菅沼さんは「すしは一番シンプルな料理だけに、魚の扱いや米の炊き方の基本を身につけないと、お客さんを満足させることはできない」と指摘。両シェフがタラやイカ、サンマ、サケなどのさばき方や酢飯の作り方を実演し、菅沼さんは「すぐ獲れたものが送られると、バンコクに最高の状態で着く。皆さんがどう鮮度を保つかがポイント」と述べた。

 タイの料理人も本場の技術に驚いた様子。鮨正の総料理長プラティーブ・ワンウォンガーさん(34)は「タイは魚が死んだ状態で調理するが、こちらは生きた状態でも調理する。イカの表面の色が変わるなど新しい発見があり、有意義だった」と話していた。

 タイの料理人を招いた研修会は本年度内に2回行う予定。谷沢代表は「タイはサーモンやマグロのほか、脂の濃いハマチなどが主流で養殖を好む。日本は天然ものが多く、タイでも寿司に欠かせない素材として普及させていきたい」と意欲を示している。(千葉卓陽)



◎かぼちゃのランタン作り大詰め 大沼小

 【七飯】大沼小学校(村上健二校長、児童63人)で23日、カボチャのランタン作りが大詰めを迎えた。24日から3日間、大沼国定公園で開かれる紅葉ライトアップクルーズ(ぐるり道南観光推進協議会主催)に合わせて同公園広場に飾るもので、児童たちは観光客に喜んでもらおうと、心を込めて作業に取り組んだ。

 ランタン作りでは上級生が下級生に手順などを説明しながら、カボチャをくりぬいて思い思いの作品を制作。児童会長の林蓮太郎君(12)は「難しい作業もあったけど、頑張って作りました。僕たちの力作を楽しんでください」と話していた。

 クルーズ期間中はボランティアが手作りしたものと合わせ、約270個の個性あふれるランタンが広場を優しく照らすほか、午後6時からはライトが大沼の島々を照らす。

 クルーズは24日が午後7時、25日が同7時15分、26日が同7時40分に出発予定。中学生以上1000円、小学生500円、未就学児は無料。26日午後1時半からはカボチャのランタン作り体験も一組2000円で予定。クルーズの問い合わせは大沼合同遊船(TEL0138-67-2229)、ランタン作りの問い合わせは大沼交通(TEL0138-67-3500)へ。  (野口賢清)



◎バスとトラック正面衝突 七飯国道 運転手2人死亡

 【七飯】23日午前9時45分ごろ、七飯町西大沼の国道5号で、トラックと大型観光バスが正面衝突し、トラック運転の森町白川、無職米満順一さん(42)と、バス運転の札幌市中央区南17の14、運転手小林敬三さん(54)が胸を強く打つなどし、間もなく死亡した。シンガポールとマレーシアの観光客17人と香港在住の添乗員1人が函館市内4カ所の病院に運ばれ、治療を受けた。いずれも打撲や裂傷などの軽傷で、命に別条はないという。

 函館中央署によると、現場は1車線で、札幌方向に向かっていたバスから見て緩い右カーブの下り。路面は乾いていた。事故の目撃者の証言から、函館方向に向かっていたトラックが対向車線にはみ出したという。バスは回避しようとしたが、正面から衝突した。

 バスには旅行中のシンガポール人32人、マレーシア人1人と、運転手、添乗員の計35人が乗っていた。観光客は20日に道内入りし、登別、北広島市などの道内各地を観光。22日に函館市内に到着して一泊した後、23日朝に小樽に向かっていた。26日に帰国する予定だった。同署で事情聴取を終え、札幌市内のホテルへ出発した。

 事故の影響で、現場付近の国道5号は上下線ともに午前10時ごろから通行止めとなり、約6時間40分後の午後4時40分ごろに解除した。  同署は乗客から事情を聴くなどし、事故原因を詳しく調べている。


◎来年3月閉校 戸井高が課題研究中間発表

 戸井高校(小松将人校長、生徒17人)は来年3月の閉校を前に、地元の漁業や歴史、校舎の利活用など5つのテーマで課題研究を行っている。23日には中間発表を実施、生徒たちは高校の歴史を継承し、今後の地域振興につなげるよう、11月19日の最終プレゼンテーションに向けて準備を進めている。

 昨年6月、開校60周年の記念事業で東日本大震災の被災地を訪れた後、戸井地区の幼稚園や小・中学校で報告会を開いた。仲見孝仁教頭は「発表した生徒に自信がついた」と話し、最後の1年間にできることとして、全員に自信を付けさせようと課題研究を開始した。

 テーマは、生徒へのアンケートを基に○1戸井の地名と歴史○2恵山・椴法華の漁業○3校舎跡地の利活用○4地元の食材を使ったレシピ○5大間原発—に設定。3月から関係団体へのヒアリングや調べ学習を行ってきた。

 中間発表で校舎の利活用が題材のグループは、4つの案を提示した。20日の意見広聴会で工藤寿樹市長から助言を受けており、今後はIT(情報技術)企業の誘致、スポーツや音楽合宿の拠点などしての利用に絞って提案を検討する。来月4日には再度、工藤市長との意見交換も行う。

 宇美満未子さん(17)と播間美咲さん(同)は「2つの案を軸に、すぐに実行できそうな活用策も考えていきたい」と話していた。

 来月の最終プレゼンでは5グループの中から、12月の閉校式で発表する上位2グループ程度を選ぶ。(稲船優香)