2014年10月27日 (月) 掲載

◎災害救助 ドサンコ実演 険しい山道 運搬スムーズ

 道南発祥の北海道和種馬(ドサンコ)の新たな能力を活用しようと、北海道和種馬保存協会(札幌、近藤誠司会長)は26日、函館市亀田中野町の新中野ダム付近の山林で、災害救助デモンストレーションを行った。ドサンコの背に荷物を積む駄載技術(だんづけ)を生かし、負傷者や救援物資の搬送を実演、社会貢献できることをアピールした。

 同協会によると、ドサンコを使った災害時の緊急支援の実演は初めて。協会道南支部(長谷川繁支部長)と北海道災害救助騎馬隊(池田茂代表)が協力、馬11頭、スタッフ25人が参加した。

 実演では、災害による土砂崩れで道路が寸断、車両やヘリコプターでの救援が不可能となり、孤立集落が発生したと想定。災害現場までの通行は徒歩に限られるという状況。コースは往復約1㌔で、障害物のタイヤや材木を置いたほか、坂道も。通信・連絡班、医療班のほか、救援物資に見立てた重さ120〜150㌔の荷物を搬送する運搬班に分かれて実演。人馬一体で与えられた役割をスムーズにこなしていた。ドサンコは、前足と後ろ足を同時に前に出す「側対歩(そくたいほ)」が特徴で、重い荷物を背負って険しい山道を歩ける能力を示した。

 近藤会長は「全体的にスムーズに進んで良かったと思う。ドサンコが災害救助に役立てるよう活動に力を入れたい」と講評。長谷川支部長(68)=石川町=は「重い荷物を背負って、障害物の隙間も上手に歩ける能力の高さを再アピールできた」と話した。

 ドサンコはもともと、生活物資の運搬や人の移動手段などに活躍。しかし、道路の発達や車両の普及を背景に仕事が減り、新たな活用法が模索されていた。体形や性格などから日本の在来馬8種の中で最もだんづけに向いており、道内でもその技術は道南にのみ残されている。1頭当たり150㌔積載できるという。(山崎大和)



◎満天の星空 迫力満点 移動式プラネタリウム

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の3年生11人が、授業の一環で移動式プラネタリウムを制作し、26日に未来大で試写会を開いた。4回の上映に約230人が来場し、満点の星空に胸をときめかせた。

 3年生のプロジェクト学習で、齋藤秀洋さん(21)がリーダー。直径9㍍、高さ5・6㍍で手作りドームとしては国内最大級という。遮光性を高めるため3層構造にするなどし、完成まで4カ月を要した。

 農業用ポリエチレンフィルムを使い、送風機で膨らませる。プロジェクターの光を特殊なミラーに反射させ、ドーム全体に投影する。上映する番組も学生たちが考案した。

 上映では、秋の星座の解説と3Dを用いた影絵を約10分にわたって楽しんだ。七飯町の金森由葵ちゃん(6)は「影絵がぶつかりそうになるところが面白かった。星もきれいだった」と笑顔を見せた。

 プラネタリウムは空気を抜くと畳1枚分ほどの大きさになる。齋藤さんは「函館では星に触れ合う機会が少ないので、まちなかで上映することが目標」と話し、NPO法人函館プラネタリウムの会の村井茂理事長は「子どもたちに喜んでもらいたいという気持ちは一緒」と目を細めていた。(山崎大和)



◎料理対決 函館に軍配 弘前のシェフと地元食材で腕競う

 函館と弘前の料理人がえり抜いた食材で料理を競うイベント「熱い想(おも)いの食卓〜海峡を超えて函館編」(クラブガストロノミーバリアドス、弘前フランス料理研究会主催)が26日、函館国際ホテルで開かれた。約100人が青函の多彩な食材を使ったコース料理を堪能した。

 はしご酒を楽しむ「バル街」の開催などで交流がある両市。その一環として青函食材対決を開き、昨年12月の弘前開催に続き2回目。その際は三国清三シェフがドロー判決を下し、今回は函館で〝再戦〟となった。函館では、ワイン通、食通として知られる俳優の辰巳琢郎さんを審査員に迎えた。

 メニューは全8品で、函館側はル・プティ・コションの坂田敏二さんが「戸井産神経〆鰤のピッサラディエール(南仏風玉葱パイ)仕立て」、弘前側はシェ・アンジュの佐藤誠さんが「青森県産平目と帆立のプルニエ風」などを作った。青函とも豚肉料理を出し、食べ比べも楽しんだ。

 料理に先立ち、深谷宏治さん(67)は「青函の食の発掘と同時に、飲み物も楽しんで」とあいさつ。辰巳さんは「各地から人が集まる大会になれば」と期待を込めた。辰巳さんの審査の結果、軍配は函館に挙がった。(山崎大和)


◎地域公共交通のあり方探る バスシンポ

 地域公共交通のあり方を考える「バスシンポジウム」が26日、函館市内のホテルで開かれた。バス事業者など約250人が参加。2016年3月の北海道新幹線開業を前に、課題の地域交通ネットワークの確立について語り合った。

 私鉄総連北海道地方労働組合でつくる実行委が主催(函館新聞社など後援)。道内各地で毎年開催しており、今回で9回目。パネルディスカッションには、Jバス運営委員会の上野山隆一代表ら4人が登壇した。

 上野山代表は、陣川あさひ町会でJバスの運行に取り組んだ話を紹介しながら、「地域交通は補助ありきで考えるのではなく、自分たちでやれることをまずやる。その上で知恵を借りるという姿勢で臨まなくてはならない」と提言した。

 函館バスの寺田誠取締役バス事業部長は「地域住民に、バス事業の厳しい環境を理解してもらいつつ、行政の力を借りながら、住民の要望も取り入れていきたい」と述べた。また、新函館北斗駅からの2次交通について「わかりやすい路線作りが必要不可欠。今ある路線をいかに対応させていくか調整を急ぎたい」と展望を語った。

 討論に先立ち北海道大学大学院工学研究院の田村亨教授が「地方創生時代における公共交通の新展開」と題して講演を行った。(山田大輔)