2014年10月28日 (火) 掲載

◎函館の会社、ITで高齢者見守り支援

 函館市でソフトフェア開発を手がけるグローバルコミュニケーションズ(富岡町2、笹谷隆社長)は、IT機器を使った高齢者の見守り支援事業に乗り出す。利用者が血圧などを測定し、専用のデジタルペンで健康状態を記入するだけで、情報が介護事業者や離れて暮らす家族などに送信される仕組み。一人暮らしの高齢者などの健康管理を行うのが狙いで、年内に東京の老人ホームで先行して運用し、来年から道南での本格的展開を目指す。

 同社は、2011年に高齢者の買い物支援を行うソフトを開発。現在も5つの事業者から需要があり、買い物代行サービスなどに役立てられている。

 一方で、買い物にとどまらず、高齢者の見守り支援へのニーズもあったことから、同社は昨春に専用ソフト「コミュニケーション支援プラットホーム〜絆Ver2・0」の開発に着手。今年7月に完成し、試験稼働を行ってきた。

 利用者は、小型カメラがペン先に搭載されたデジタルペンで、アンケート方式の問診票に最近の体調を書き込む。その後、無線通信機能が付いた血圧計や体重計で測定を行うと、問診票のデータと共に、サーバーに情報が送信され、遠方の家族や医療機関などに健康状況などが提供されるという仕組み。

 笹谷社長は「紙にペンで書き、血圧などを測るだけなので、機器の操作に慣れていない人でも使える。問診票には、電話連絡がほしいといった要望も書き込めるようになっている」と話す。

 同社は、今後も高齢化社会に対応したソフトウェアの開発に取り組む方針。笹谷社長は「元気なお年寄りに地域で長生きしてもらうために、生活支援に繋がるものを手がけていきたい。一人暮らしのお年寄りなどが抱える不安をITで解消できれば」と意気込む。(山田大輔)



◎水産・海洋センター入居団体と漁協関係者が意見交換

 函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町20)の入居団体と地域の漁業協同組合関係者の意見交換会が27日、同センターで開かれた。関係者約70人が出席。コンブなど海藻類の増養殖対策、磯焼け対策、海洋環境の調査など、入居研究機関や民間企業9団体12人が取り組み内容を発表した。

 地域の基幹産業である漁業の振興は同センターの開設目的のひとつ。工藤寿樹市長は「地域には漁業が下地になった関連産業が集積しているが、漁業現場には課題が生じている。研究機関と漁業者が、解決や振興策を考えることで地域の将来につなげていきたい」とあいさつした。

 発表者のうち、北大大学院水産科学研究院の斉藤誠一教授は、同センターで受信している人工衛星データを活用した取り組みとして、近海の潮流、水温、塩分などのデータを公開している「水産海洋GIS」では、スルメイカの漁場予測を公開していることなどを紹介した。

 また、高津哲也教授は道南ではホッケの資源量が1980年代以降、10分の1程度まで減少したとし、道北の系統群と比べ、年齢が半分程度と紹介。親魚を増やすことが資源回復につながる可能性を指摘し、「仔魚や稚魚の生残性の傾向をつかみ資源管理につなげたい」などと話した。このほか、各企業なども磯焼け対策として藻場回復事業や、海藻類の培養などの研究テーマを発表した。

 渡島管内漁業協同組合長会会長で、上磯郡漁協代表理事組合長の山崎博康さんは「資源減少など浜の問題はすぐに回答が出たり、効果が現れる話ではないので、我々も研究機関を利用しながら取り組んでいきたい」と話していた。(今井正一)



◎日本公庫9月期、中小・零細 景況感横ばい

 日本政策金融公庫函館支店(久木田眞郎支店長)は、7〜9月期の渡島、桧山管内の中小・零細企業を対象にした景況調査の結果をまとめた。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前期(4〜6月)に比べて1・6ポイント改善し、マイナス31・4となった。3期ぶりに改善したものの、同支店は「動きは弱く、消費税増税の影響は続いている」と見ている。

 DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値。昨年は改善が続いたが、今年に入り2期連続で悪化。9月期で3期ぶりに改善した。

 業種別では製造業が大幅に悪化し、前期比27・7ポイント悪化のマイナス33・3とした一方、卸売業は同10・4ポイント改善し、マイナス18・2、小売業・飲食業は同10・4ポイント改善しマイナス52・9。建設業は同12・5ポイント上昇し、12・5とした。民間工事の受注増加が要因という。「小売業、卸売業は改善したが、売上、採算ともに低下しており、反動減の収束には至っていない」(同支店)。

 先行きは全体で今期から3・7ポイント改善し、マイナス27・7。製造業や小売業・飲食業は上昇するが、そのほかの業種で低下すると予測している。調査は同支店の取引先企業184社が対象。103社から回答を得た。回答率は56・0%。(松宮一郎)


◎函館友の会、家事家計講習会スタート

 女性雑誌「婦人之友」愛読者でつくる函館友の会(横堀豊子総リーダー)主催の「家事家計講習会」が27日、函館友の家(湯川町)で始まった。会員の実例発表を通じ、予算を立てて暮らす家計簿の良さを学んだ。

 会員を含め約60人が集まった。6人が要点をまとめた模造紙やスライドを使って発表した。〝家計簿1年生〟の会員は、家計簿をつける利点として①お金を何に使っているか数字に表れる②衝動買いが抑えられる③夫が協力してくれるようになった—ことを紹介。「家事全般や子育てについても学べて良かった」と入会のメリットを強調した。

 同じ家計簿1年生で別の会員は「お金の使い道について、夫婦で話し合いができるようになった」と指摘した。2人は家計簿をつけると「いろんな発見を通じ、生活が変わる」と呼び掛けた。

 函館市柏木町の主婦河合貴代さん(38)は「家計簿は、お金のやりくりというよりは生活の在り方を見直すきっかけになるのでは」と話していた。

 今後の開催日程は函館友の家(28日、29日、30日、31日)、函館市地域交流まちづくりセンター(29日)、七飯町大川コミュニティセンター(30日)、チーフーキリスト教学園(31日)

 午前10時〜同11時半。参加費400円。託児(予約制)150円。問い合わせは同会(TEL0138・59・3875)へ。(山崎大和)