2014年10月30日 (木) 掲載

◎新幹線時代へバトンタッチ 函館山ロープウェイ 新ゴンドラ取り付け

 函館山ロープウェイ(本間秀行社長)は29日、山麓駅で新しいゴンドラの取り付け作業に着手した。シルバーメタリックのボディーが姿を現し、これまで活躍したゴンドラと入れ替わった。11月7日から運行を開始する。

 2016年3月の新幹線開業を見据え、17年ぶりに更新した。これまではオーストリア製だったが、大阪車輌工業(大阪市)製に変えた。定員は125人のまま。丸みを帯びたボディーは新幹線をイメージしたという。ボディーに函館山の自然が映り込むようにしたことも特徴。

 この日は朝からクレーンを使った取り付け作業が行われ、観光客や周辺の住民が作業の様子を見守った。30日は2基目を取り替える予定。本間社長は「待ちに待ったゴンドラの到着。いよいよ新幹線時代を迎える準備が整ったという思い。市民や観光客に新し眺めを楽しんでもらいたい」と話した。(松宮一郎)



◎松前小島小学校、北斗上磯小と交流学習 合奏や合唱堂々発表

 【松前、北斗】松前小島小学校(大橋栄寿校長、児童31人)が28日、交流学習の一環で、北斗上磯小学校(伊藤剛史校長、児童585人)の学習発表会(今月31日開催)の総練習に出演した。児童は大人数の前で合奏や合唱を堂々と披露した。

 小島小は、へき地教育を支援するみずほ教育福祉財団の本年度助成対象校に選ばれ、上磯小との交流学習を企画した。今回の出演に合わせて、小島小卒の著名人の作品をあしらった法被を新調。法被には、書家金子鴎亭さん(1906―2001年)直筆の校歌の歌詩や、漫画家のさとう輝さんがデザインした町の公式キャラクター「大漁くん」がプリントされている。

 児童は午前8時に学校を出発し、バスで2時間かけて上磯小に到着。ステージでは法被を着て自校の学習発表会で取り組んだ演目を披露した。「ソーラン節」と「恋するフォーチュンクッキー」を鍵盤ハーモニカや打楽器などで演奏したほか、「スマイルアゲイン」を合唱し、温かい拍手が送られた。上磯小の舞台発表も観賞した。

 児童会長で6年の田原雅さん(12)は「大人数の前での発表なので普段より声や音を大きく出すよう心掛けた。良い経験になった」と笑顔。大橋校長は「今回の経験を今後の学校生活に生かしてほしい」と期待を寄せていた。(鈴木 潤)



◎大間原発訴訟口頭弁論 函館市、原告適格めぐり反論 「自治体の存立権 人の生命に匹敵」

 【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取り、大間原発(青森県大間町)の建設差し止めや原子炉設置許可の無効確認を求めた裁判の第2回口頭弁論が29日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。市に原告適格(=訴える資格)がないとする国の主張に対し、市側は「自治体の存立維持権は、私人で言えば生命に匹敵する重要な利益。原発事故はこれを半永久的に侵害する」などとして、原告適格が認められると反論した。

 訴状によると、市は大間原発で過酷事故が起これば壊滅状態に陥るとし、地方自治体の存立を維持する権利に基づき、原発の差し止めを求める資格は市にもあると主張。国に対して原子炉設置許可の無効を求めるとともに、市が同意するまで建設停止を命ずるよう求めている。電源開発に対して建設の差し止めを求めている。

 7月に開かれた初弁論では国側が「地方自治は函館市の主観的な権利として保障されているものではない」などとして、原告適格を欠くと主張。これに対し市は準備書面で、市が半径30㌔圏内のUPZ(緊急防護準備区域)の範囲内に含まれることから、「原発事故でその存立維持に極めて重要な影響を受けることは明らか」などと反論した。

 第2回弁論では、市側の弁護団が約15分間プレゼンテーションを実施。市が訴えの根拠としている地方自治体の存立権について「地方自治の根幹にかかわる。(事故が起きれば)自治体そのものが事実上廃止されるに等しく、司法権の対象となるのは当然」と反論したほか、福島第一原発事故で被害を受けた周辺自治体の福島県浪江町、南相馬市の実例を挙げて説明した。

 一方、電源開発は市の原告適格がない理由として「大間原発は原子炉設置変更許可申請の準備を進めている段階で、試運転までには少なくとも数年を要する。現時点では権利内容が不明確かつ未成熟の状態」と主張した。市はこれに対し、「電源開発の主張を認めると、原子炉の設置変更許可が下りている川内原発(鹿児島県)以外の差し止め請求はすべて不適法となる」などと指摘し、同社に釈明を求めた。

 次回の口頭弁論は12月25日に開かれる。(千葉卓陽)


◎道南の53公立学校 津波浸水の恐れ

 文部科学省が28日に発表した公立学校を対象とした津波対策状況調査で、大規模津波が発生した際に浸水が想定される学校数は道南では渡島管内49校、桧山管内4校の計53校となった。各市町の教育委員会は、校舎移転や高層化などの対策は現実的には困難とする一方、避難訓練を定期的に実施するなど、防災教育の充実に力を入れている。

 調査は今年5月1日現在の状況をまとめた。浸水が想定される公立学校、幼稚園などは全国2860校で、道内は205校。このうち、道南では函館22校、北斗7校などとなった。

 北海道太平洋沖を震源とする巨大地震を想定した道の津波浸水予測図では、旧函館市でも広範囲が浸水区域となる。このため、調査結果の22校には、避難対象地域内での一時的な退避場所として、高層階を利用する津波避難ビルに指定している学校もある。同市教委は施設の移転や改修の予定はないとし、「学校の移転も地理的に困難」とする。

 海抜2・2㍍に位置する函館港小学校(港町1)では22日、地震と津波を想定した避難訓練を実施した。同校は「児童には早急に校舎3階に避難することを徹底している。訓練では保護者に緊急メールで情報を発信し、児童の引き渡しまでを盛り込んだ」とした。

 また、旧上磯地区の大半の学校が沿岸部に位置する北斗市でも、東日本大震災以降、各学校が地域と一体となった避難訓練などの対策を進める。同市教委は「子どもたちへの防災教育や危機管理の指導に努めたい」とし、市全体で減災の取り組みを進める考えだ。

 一方、桧山管内では、江差町の2校など計4校。1993年に北海道南西沖地震の大津波を経験した奥尻町の青苗小学校の校舎は1階部分をかさ上げした高床式の構造で、津波の襲来は予想されるが、ハード面の対策は完了している。

 ただ、国の有識者検討会が8月に公表した日本海を震源とする津波想定では、せたな町から松前町にかけての最大で約10〜23㍍の津波が押し寄せる予測が示された。新たな対応が必要となる学校は増えることも想定される。道教委は「避難経路を確保するなどの取り組みを促し、安全対策の強化を図っていきたい」としている。(鈴木潤、田中陽介、蝦名達也)