2014年10月7日 (火) 掲載

◎道立工業技術センター、韓国の食品研究機関と協定

 道立工業技術センター(三浦汀介センター長)は6日、韓国で機能性食品の研究開発などを行う食品産業研究院(JBIO、高哲鍾院長)と技術交流などに関する協定を締結した。韓国の研究機関と協定を結ぶのは初めて。食品バイオ分野において、人材交流や情報交換などを進めていく予定で、三浦センター長は「これまで地域になかった食材や加工利用方法を参考に、新たな開発が始まる可能性が大きく、地域企業の活性化につながる」と期待を寄せている。

 JBIOは、韓国南西部の行政区、全羅南道の羅州市にあり、職員25人が食品メーカーに対する技術支援を行っている。

 現在は海洋バイオテクノロジーの分野に力を注いでおり、地元の海産物を活用して研究開発をしている同センターに興味を持ち、意見交換の申し出を行ったことがきっかけで、昨年9月から交流を続けていた。

 今後は技術や人材の交流のほか、双方で成果品の展示を行い、需要を探っていく。同センターは、日本では使われていない食材を取り入れた開発も検討しており、三浦センター長は「韓国の納豆、チョングッチャンなどを使った健康ドリンクに注目している」と話した。

 協定の調印を終え、高院長は「活発な交流により、お互いの地域産業がよりよいものになるよう努力したい」と意気込みを話した。

 三浦センター長は「まずはJBIOの成果品の展示を行い、情報を周知して企業同士の連携のきっかけ作りをしたい。函館側の特産品を紹介してもらうことで、韓国での販売など、新たな取引が生まれるかもしれない」と展望を語った。(山田大輔)



◎きたくりん5`→5.3`に増量、JA新はこだて

 JA新はこだて(畠山良一組合長)は8日から、デビュー2年目の「函館育ちきたくりん」の2014年産米(新米)について、従来の5`から5・3`に増量して販売する。価格は変えない。0・3`(2合分)増やしてお得感をアピール、消費拡大につなげる狙いだ。

 小売店では通常、コメを5`、10`入りで販売するケースが多く、中身を増量して売るのは珍しい。コメの消費減に歯止めを掛けるため、増量に活路を見いだそうという試みだ。きたくりんは5・3`のみの販売で、価格は「ななつぼし」と同水準という。

 米袋サイズは5`入りのままで、中身を5・3`入れる。ちょうどいい増量分が0・3`と判断した。

 米袋デザインも一新し、表はかわいらしいキャラクター(名前は今後検討)を前面に出した。5・3`も明記。裏面では、名前の由来や稲を枯らす病気に強いため農薬を削減して栽培できることを説明している。

 同JAは、14年産きたくりんを約550d集荷する見込み。新米試食会で行ったアンケート結果では、きたくりんはおいしさ、白さ、艶、香り、粘り、柔らかさの全項目で食味が高評価となった。同JAのファーマーズマーケット「あぐりへい屋」(北斗市東前62)やAコープ各店で店頭販売するほか、ネット販売でも扱う。

 同JA米穀課の三浦治課長は「価格を下げるのではなく、増量してお得感を出すことが消費者の購買意欲につながると考えた。食べて、きたくりんの魅力を知ってほしい」と話している。(山崎大和)



◎魅力度調査、函館5年ぶり全国トップ

 民間シンクタンクのブランド総合研究所(東京)は6日、2014年の地域ブランド調査の結果を発表し、函館市の魅力度は51・3ポイントで札幌、京都を抑えて2009年以来5年ぶりに全国1000市区町村のトップに輝いた。国内有数の観光地としての知名度に加え、食に関する項目で高評価を得た。一方で観光意欲度は高いが、訪問率はやや苦戦気味の結果で、函館の持つイメージを集客力に変える取り組みが必要となりそうだ。

 2006年の調査開始以来、魅力度上位8市の顔ぶれは変わらず、今回、函館を「とても魅力的」「やや魅力的」と答えた割合は77・9%となった。昨年1位の京都は3位に後退、同3位の札幌は2位に浮上したが、上位3市ともに魅力度のポイントは低下した。

 項目別では、「地元食材が豊富」と「食事がおいしい」が前年に引き続き1位、「食品購入意欲度」は3位(前年1位)と食に関する評価は高い。観光意欲度は札幌に次ぐ2位だが、過去5年間の訪問率は58位にまで落ち込む。潜在的に函館へのあこがれを抱いている人が多いと評価できるが、実際に足を運んでもらうためにどのような「動機付け」が必要となるのか、効果的な戦略が求められそうだ。このほか、認知度が9位(同12位)、メディア媒体を通じて、函館を知る機会があったかを聞いた「情報接触度」では6位(同12位)、居住意欲度12位(同8位)となった。

 調査結果を受け、工藤寿樹市長は「食材や食事、観光イメージにおいて特に高い評価をいただいたが、新幹線開業を契機にこれまで以上の函館の魅力を高める取り組みを進める」とコメント。函館国際観光コンベンション協会の渡邉兼一会長は「市のアドバイスも受けながら新幹線開業で交通利便性の高まる北関東地域へのアプローチ、宣伝強化、冬のイベントも充実させていきたい」と観光振興への意欲を語った。

 また、函館物産協会の田口修会長は「北海道の持つブランド力が函館でも食の安全や安心、おいしさの評価につながっている」と話し、全国の物産展でのPRや海外販路拡大につなげる取り組みを進めるとした。

 全国的には今年、世界遺産に登録された「富岡製糸場」のある群馬県富岡市が前年の501位から26位に順位を上げた。同研究所は「これまで知られていない地域は話題性のあるトピックで順位を大きく伸ばす傾向があるが、もともと有名な場所は順位の変動は少ない」とし、北海道新幹線開業時には函館よりも周辺地域のランキングに影響を与える可能性を指摘した。(今井正一)

 ◆地域ブランド調査 2006年に始まり9回目。全国の全790市と東京23区、地域ブランド力向上に取り組む187町村を加えた1000市区町村、全都道府県のランキングがある。7月実施のインターネット調査は3万1433人が回答し、年齢構成や地域人口分布に準じて集計し、74項目を数値化した。

 道南では、函館のほか3市町が対象で北斗(魅力度564位、認知度772位)、乙部(811位、938位)、奥尻(260位、355位)、都道府県別では北海道が6年連続の魅力度1位を獲得した。


◎市文化賞に小笠原さん

 函館市文化賞審議会(座長・工藤寿樹市長)は6日、今年の市文化賞に教育者の小笠原愈(まさる)さん(77)=富岡町1=に授与すると発表した。贈呈式は31日午前11時から、ロワジールホテル函館で開かれる。

 小笠原さんは1937年、上ノ国町生まれ。道学芸大函館分校を卒業後、函館亀尾小学校を振り出しに教員となり、小樽聾学校校長、岩見沢高等養護学校校長、道立特殊教育センター所長などを歴任。教員を定年退職後は函館短期大学学長、函館大学学長を務めた。

 特別支援教育のパイオニアとして知られ、98年には第29回博報賞を受賞。私学教育の振興と人材育成にも尽力した。また、函館新聞には2008年2月から教育面で「小笠原先生のひとりごと」(毎月第2・4金曜日掲載)を連載、現在も精力的に活動を続けている。

 小笠原さんは「教育は大変地味な仕事で、このような表彰をいただき大変驚いている。感謝と感動の気持ちでいっぱいです」と話している。

 同賞は市の芸術や文化の発展に寄与した個人、団体に贈られるもので、今年で65回目。受賞者は今年を含め、個人142人、16団体に上る。(千葉卓陽)