2014年11月11日 (火) 掲載

◎道南ドクターヘリ 安全運航へ連携確認

 来年2月16日からの道南ドクターヘリ運航開始を前に、消防隊員や救急隊員を対象にした研修訓練が10日から、函館市で始まった。小雨と強風が重なる悪天候の下、代替機を使ってヘリへの搬入・搬出訓練などを行って連携を確認、関係者は安全運航への思いを新たにした。

 訓練は函館港港町埠頭(ふとう)で行われ、市消防本部の消防、救急隊員や市立函館病院救命救急センター(武山佳洋センター長)の医師、看護師ら約100人が参加。道南ドクターヘリと同型のアグスタA109E型を使用した。

 運航会社の鹿児島国際航空は、スピードが速く、横から患者を搬入するといったヘリの特長を説明。その後、隊員らが3人1組になって患者を救急車からヘリに運び入れたり、ヘリから運び出して救急車に搬送する訓練を実施、本番を想定しながら取り組んだ。

 ヘリと地上との無線通信訓練なども行われたほか、砂地に降りる際に半径15㍍を散水することや、積雪時は35㍍四方を除雪しておき、ヘリからの強風で飛びそうな物を撤去するなど、注意点の説明も受けた。

 市立函館病院によると、訓練は午後も七飯町で行われたほか、今月中に道南の7消防本部管内の26カ所で実施する。訓練に参加した、市北消防署北救急隊長の市川浩二さん(38)は「患者への処置を行いながら作業するので、患者の安全管理に注意する必要がある。反復訓練を繰り返したい」と話した。

 基幹病院の市立函館病院からは、同センターの医師6人と看護師6人が搭乗する予定。武山センター長は「安全運航が大前提。メンバーが交代で訓練に参加しながらしっかりと覚え、患者の出し入れなどで消防との連携をスムーズに取っていきたい」と話していた。(千葉卓陽)



◎甘ーい香り 会話も弾む 函館タクシー車内にマルメロ

 函館タクシー(函館市日乃出町、岩塚晃一社長)は、北斗市で栽培されたマルメロを全車両に置いて運行するサービスを今年も始めた。車内に広がる甘い香りは乗客にも好評で、同社は「季節の香りを楽しんで」とPRしている。12月上旬まで。

 乗客に季節感を感じてもらおうと、10年ほど前から開始。マルメロを3個ほどかごに入れ、後部座席の後ろ側に設置した。ドアが開き、乗客がタクシーに乗り込むとすぐに独特の甘い香りが漂うようにする工夫だ。全車両90台に置いている。

 同社の斉藤彰営業部長は「香りをきっかけにお客さんとドライバーの会話が弾むなど評判は上々です」と話している。(松宮一郎)



◎ダカールラリーに函館日野自動車の林さん参戦

 2015年1月に南米で行われる自動車レースの最高峰「ダカールラリー」に日野自動車(東京)のチームメカニックとして、函館日野自動車(北斗市萩野、河村隆平社長)の林博永さん(38)が参戦する。全国販売会社の公募メカニック枠で、函館日野からの選出は初めて。林さんは「自分たちメカニック担当が力を出し切ればいい結果がでる。力を合わせてやっていく」と意気込んでいる。

 日野自動車のチーム「日野チームスガワラ」は、中型トラック「日野レンジャー」で1991年大会から毎年参戦し、14年まで23回連続で完走(中止の2008年を除く)。トラック部門総合上位入賞を目指している。

 林さんは子どものころからオフロードレースに興味を持ち、94年に函館日野に入社。97年に日野が同レースのトラック部門で1〜3位を独占し、総合優勝を果たしたのをきっかけに夢を目標に変えて仕事に取り組んできた。

 メカニックの選考会への参加条件となる日野のサービススタッフ技術資格の最高位「HS─1」は2010年に取得。昨年秋に選考会への挑戦が社内で認められた。会社としても経験のないチャレンジで、選考会の情報収集や上司が面接の練習を行うなど、林さんを社内一丸でサポートした。

 7月の選考会には全国から12人が参加し、林さんら4人が選ばれた。車両整備の技量だけではなく、資質や行動力などが総合的に判断され、「グループ代表として自らの役割を理解してチームに貢献でき、過酷な状況下でも行動できる強い意志が求められる」(日野自動車広報室)とする。

 林さんは8月中旬にチームに合流。市販車と違い、レース仕様車には徹底した軽量化と強度が求められ、必要な部品の製作も行わなくてはならない。他のメカニックメンバーとともにレース中に起こりうる故障に対処できる能力や製作技術の向上に努めた。

 現在は通常勤務に戻り、12月中旬の渡航に備える。本間昌秋常務(56)は「林は整備の要で、いない間は会社にとって負担にはなるが、社内のモチベーションは高まり、整備の仲間を中心にいい雰囲気になっている。一生に一度のことなので精いっぱい頑張ってきてほしい」と応援する。林さんは「現地に行くまでには覚えなければならないことがたくさんある。他の人の仕事もすべて頭に入れてレースに臨みたい」と話している。

 ダカールラリー 世界最高峰の自動車レースでかつてはアフリカ大陸を中心に行われていたが、政情不安などから2009年から舞台を南米に移した。トラック部門には例年30チーム、75台前後が参戦。排気量10㍑未満クラスでは現在5連覇中の「日野チームスガワラ」を率いる菅原義正氏(73)=小樽市出身=は、同レースの史上最多出場、最多連続完走など数多くの記録を持つ国内を代表するレーシングドライバーで1号車を担当。2号車ドライバーの二男照仁氏(42)と2台体制でレースに臨む。

 来年のレースは1月3〜17日。アルゼンチン・ブエノスアイレスを発着点に、チリ、ボリビアなどを回る全長約1万㌔㍍で、「世界で最も過酷なレース」と異名を持つように、2度のアンデス山脈越えなど難コースが待ち構える。(今井正一)


◎青函新時代 構築目指す ツインシティ25周年記念式典

 青森・函館両市のツインシティ(双子都市)提携25周年の記念式典が9日、函館市湯川町1の花びしホテルで開かれた。両市の関係者や市民ら約200人が出席、2016年3月の北海道新幹線開業を見据え、青函新時代の構築を目指していくことを誓った。

 両市は青函トンネル開業1年後の1989年3月、文化や観光、スポーツ、経済などの分野で交流を図ろうとツインシティ提携を締結。交流事業は当初55事業で始まり、本年度は103事業のうち80事業を行うなど、官民での草の根交流が続いている。

 青森・函館ツインシティ推進協議会会長の工藤寿樹函館市長は「新幹線開業で青函の移動時間が2時間から1時間へと大幅に短縮される。市民交流のみならず、観光や経済面でも結びつきがより強まる」と期待感を示し、「新幹線時代を前に、豊かで魅力あふれる新青函経済文化圏の形成を目指し、次の世代に継承、発展させるためさらに連携を強化させていきたい」と強調。鹿内博青森市長は「縄文時代からの青函の結びつきがあればこそ、新幹線の新しい時代を切り開き、築いていける」と、新時代の幕開けへの力を込めた。

 式典は函館ジュニアドリームオーケストラの演奏で幕を開け、「笑顔でつながる青森・函館」と題したプロモーション映像も上映された。会場には両地域から募った青函連携商品の展示や、子ども絵画展の入賞作品展示と表彰式などが行われた。また、25周年記念事業として両地域の特産品を使った青函コラボスイーツ「ヒトナツノコイ」(青森側)と「青函プリン」(函館側)のセットが来場者に配布された。終了後は同協議会の会合が開かれ、25周年記念事業の内容が報告された。

 交流表彰団体は次の通り。

 【函館市】函館にしき石・水石同好会▽青函ツインシティ押し花・アートクラフト実行委員会▽函館市剣道連盟▽函館卓栄会▽日本バーテンダー協会道南本部函館支部

 【青森市】青森市歯科医師会▽日本棋院青森県本部▽青森市朝野球協会▽青森市卓球ベテラン会▽青森県建築士会青森支部(千葉卓陽)