2014年11月13日 (木) 掲載

◎三輪自動車タクシー「シクロポリタン」試験走行

 屋根付き三輪自動車タクシー「シクロポリタン」が、道内で初めて函館にお目見えした。料金制タクシーとして来春からの本格運行を目指し、現在は西部地区で試験走行を行っている。車内から街並みをゆっくり楽しめることから、市民をはじめ、北海道新幹線開業でやってくる多くの観光客からも人気を集めそうだ。

 2003年にフランスで生まれたシクロポリタンは、全長2・7㍍、幅1㍍、高さ1・9㍍で、運転手を除くと2人乗り。電動アシスト付きで、8段変速のギアを搭載。通常は時速15㌔程度で走行し、最大速度は40㌔。日本では2012年から運行が始まり、現在は横浜市の中心部で約10台が通年営業している。

 函館市内で運行を担うのはシクロポリタンジャパン(本社・横浜市)とドライバー契約を結ぶ大和田康さん(31)。埼玉県生まれの大和田さんは、関東で人力車の仕事などをこなす傍ら、趣味で10年ほど前から日本各地を自転車で旅行。毎年のように訪れていた函館で自転車タクシーを運行したいと思い立ち、試験運行に合わせて市内での生活を始めた。

 かつて函館観光を盛り上げた人力車が姿を消して5年。函館独特の上り坂が、人力の乗り物の最大のネックとなるが、大和田さんは「電動アシストの性能が良いので、ある程度の坂道なら難なく登れる。坂道からの風景をゆっくり楽しめるのもシクロポリタンのだいご味」と自信をのぞかせる。

 来春から西部地区を中心に、2台で運行を開始する予定。大和田さんは「新幹線開業で注目される函館観光を盛り上げていけるよう頑張りたい」と意気込む。初乗り400円で、以降区間ごとに200円ずつ加算。30分の時間貸し切りは1500円。営業時間は午前10時から午後5時まで。雨天休業。問い合わせは大和田さん(電話090・9008・0285)へ。(山田大輔)



◎英語版絵本を米国に、佐藤さん版画展で協力

 函館の市民団体「『おきなわ島のこえ』英語版プロジェクト」(ピーター・ハウレット代表)は、函館蔦屋書店(石川町85)で、函館在住の版画家佐藤国男さん(62)の木版画展を16日まで開いている。太平洋戦争で唯一の本土決戦となった沖縄戦を描いた絵本「おきなわ島のこえ」の英語版を米国に贈り、広く知ってもらう狙い。約40点の作品を展示・販売しており、売り上げの一部をプロジェクトの資金に充てる。

 この絵本は画家の丸木位里さん、俊さん夫妻が沖縄戦の悲惨さと平和の尊さを表現したもので、1984年に出版された。同プロジェクトが2011年に英語版(RIC出版)を出版したが、資金不足のため米国の図書館や平和団体に贈呈するという当初の目標が達成されていなかった。

 そこで、佐藤さんの協力を得てチャリティー版画展を企画。会場には宮沢賢治の童話の世界を彫った作品がずらりと並び、大きいもので50㌢×70㌢、小さいもので15㌢×30㌢。

 同プロジェクトの鍋島明雄事務局長は「沖縄での地上戦のことはあまり知られていないので、絵本を通じ米国の人たちも知ってほしい」と話す。16日午後3時からは、鳥本八重子さん(函館朗読奉仕会)による、おきなわ島のこえスライド朗読劇がある。

 版画展は午前10時~午後7時。(山崎大和)



◎函館山ロープウェイ、山麓駅にオープンスタジオ

 函館山ロープウェイ(本間秀行社長)は、改修を進めている山麓駅(元町)の中にオープンスタジオを設置し、コミュニティラジオ局「FMいるか」の本拠を移転させる。工事終了後の来年12月ごろから、新スタジオで放送を開始する予定。ガラス張りで、ロープウェイの搭乗客が待ち時間に放送の様子を見ることができるようにする。

 同社は2016年3月の北海道新幹線開業で大幅に増加が見込まれる観光客に対応するため、リニューアル計画を進めている。17年ぶりに新しいゴンドラ2基を導入、7日から運行を開始しているほか、山麓駅と山頂駅、展望台などの増築、改修工事にも着手した。

 増築後の山麓駅の延べ床面積は約1800平方㍍と、現在の2倍以上に拡大。これまで搭乗待ちの乗客を収容しきれなかったが、約600人が建物の中で待てるようになる。

 山麓駅増築に伴い、同局も近くの建物から移転する。乗客の待合スペースそばにオープンスタジオを設置。放送する様子を見ながら搭乗までの時間を過ごせるようにする。

 本間社長は「待ち時間が快適になるはず。パーソナリティもこれまでと違い、搭乗客の様子を見ながら放送できるので番組の雰囲気も大きく変わるのではないか」と期待する。山麓駅の完成は来年11月で、新スタジオからの放送は12月ごろとなる見通し。現在、同局が入るFMいるかビルの活用法は未定という。(松宮一郎)


◎渡島総合振興局の観光人材育成、地域住民とプログラム作り

 【北斗】2016年3月の北海道新幹線開業をにらんだ渡島総合振興局の観光人材育成事業が12日、北斗市内で行われた。観光業界での就業希望者らが7月から地元住民とワークショップで議論を重ね、観光プログラムを考案。この日、モニターツアーの形で成果を検証した。

 新幹線時代の観光地域づくりを行う人材の育成が目的。全道各地から応募があり、20〜40代の5人が参加した。

 7月に事業がスタートし、道南についての知識や観光商品づくりの技術を習得したほか、農漁業者ら地元住民と一緒にワークショップを行い、地域資源を活用した観光プログラム作りに取り組んできた。

 北斗市で観光メニューとして候補に上げたのは、上磯郡漁協上磯支所で行うホッキの水揚げ風景の見学や殻むき実演・体験と、上磯駅前商店街の店を回るつまみ食いツアー。この日は管内自治体と観光協会の職員ら約10人がモニターとしてツアーに参加し、メニューとしての可能性を探った。漁協女性部メンバーが指導するホッキの殻むきは、参加者から「おもしろいメニューで、ホッキ漁に興味がわいた」と好評だった。

 札幌市の武田恵さん(24)は「道南のことを全く知らない状態からのスタートだったが、魅力的な地域の資源を知ることができた。この経験を生かして観光に携わっていきたい」と話した。(松宮一郎)