2014年11月19日 (水) 掲載

◎かっぽれ 古里拠点に…神奈川の櫻川梅房さん

 東京などに伝統芸能・かっぽれの教室を持つ函館出身の師範、櫻川梅房さん(82)=本名・久保田フサ子さん=が活動拠点を函館市に移し、「梅后流 江戸芸かっぽれ 函館梅房会」として新たなスタートを切る。年明けにも自宅兼教室の道場開きを行う予定で、櫻川さんは「一緒にかっぽれを楽しんでみませんか」と呼び掛けている。

 かっぽれはメリハリがはっきりした男踊りで、関西が発祥とされる。「石投げ」や「網引き」などの仕草を取り入れ、梅后流では一般向けにアレンジ。櫻川さんは60歳の時に関東でかっぽれと出会い、習い始めた。

 65歳で師範を取得後、静岡や東京などで教室を開講。函館のパレードでかっぽれを披露したことをきっかけに、10年前から本町会館で指導を始め、関東と函館を行き来する生活を送っていた。今回は神奈川の自宅マンションの取り壊しを機に地元に戻ることを決意。「北海道新幹線開業のときに駅前でかっぽれを踊り、新幹線開通を祝いたい。かっぽれで函館を盛り上げていきたい」と話す。

 教室は第2、4週の火〜金曜に開講。火・金は初級クラス、水・木は上級クラス。昼の部は午後2時、夜の部は午後6時からで稽古時間は90分。26、27の両日、午後1時半から体験会を行う。問い合わせは櫻川さんTEL090・5765・2106)へ。(平尾美陽子)



◎Xマス用 手工芸品いかが…ハートフルカフェひまわりが販売開始

 函館市柏木町の喫茶店「ハートフルカフェひまわり」は18日から、障害者が制作したクリスマス用の手工芸品の販売を始めた。トナカイやサンタ帽をかぶった毛糸のぬいぐるみなどを並べ、ツリーと共に店内のクリスマスムードを高めている。

 同店を運営するのはNPO法人ひまわり。障害者の就労を支援する目的で、飲食店などを市内に4店舗展開し、働く場所を提供している。同店では19人が喫茶店の業務のほか、編み物などの軽作業を行っている。

 今回は新たに約10点を作成。毛糸で編んだ人形は3、4日で完成したという。作品の指導にあたった担当者は「ぬいぐるみの表情をかわいらしくみせるように、細かい作業を続けるのが大変だった」と話していた。店内にはこのほか、紙バンドで作った小物入れなども陳列している。

 作品は400円前後で販売。ひまわりの管理者米谷真以子さんは「利用している方々が一生懸命作った商品。店内では秋冬限定メニューの鍋やきうどんもあるので、ぜひ足を運んでください」とPRしている。問い合わせは同店(℡0138・53・9505)へ。(山田大輔)



◎前田、逢坂氏 体制固め…首相 21日衆院解散表明

 安倍晋三首相が18日、衆院を21日に解散する意向を表明した。衆院選は12月2日公示、14日投開票の日程で行われる見通しで、道8区(渡島・桧山管内)の各政党も事実上の選挙戦に突入。現段階では自民党現職の前田一男氏(48)、民主党前職の逢坂誠二氏(55)の出馬が決まっているほか、共産党も候補擁立を予定。2年前と同様に、師走の超短期決戦で支持を訴える。

 自公両党の政権奪回後2年間の成果が問われる選挙で、8区でも安倍首相の経済政策「アベノミクス」の継続の是非や消費増税先送りの賛否をはじめ、大間原発(青森県大間町)の建設問題、地域経済の活性化や少子高齢化対策などが争点となりそうだ。

 前田氏は「消費増税の先送りは、景気回復と所得拡大を図るため」と意義を強調。「道南経済の活性化を訴えてきた私も同じ思いで戦う。経済再生に向けて思い切った政策を打たせてほしいということを訴えていきたい。日本全体の景気を回復させ、地方に投資できる環境をつくらなければならない」と力を込める。

 15日には8区支部の役員会を開いて選挙に向けた体制を確認し、すでに臨戦態勢に入った。21日の衆院解散後ただちに函館に戻り、選対本部を立ち上げる予定。選挙事務所は千歳町に設け、23日に事務所開きを行う。「これまで2年間の議員活動の評価をいただく選挙。粛々と準備を進めていく」と話した。

 逢坂氏は18日、JR函館駅前での街宣活動をこなした後、笹田浩道議と長万部町入り。「安倍政権の経済政策が行き詰まった上の解散。大企業、投資家に恩恵はあっても庶民生活は苦しくなっていることをかき消すためだ。政治とカネの問題も噴出してリセットを掛けるためで、国民には意味のない解散」と批判。さらに「(自民党は)TPPや大間原発の問題で、2年前の選挙と違ったことを言っている」と語気を強める。

 党道第8総支部は選挙事務所を五稜郭町に置くことを決め、23日には総支部臨時大会と連合との合同選対会議を予定。公示前の総決起大会の日程も決め、14日に照準を合わせて体制を固めつつある。

 共産党も8区での候補者擁立を決めており、19日に函館市内で会見を予定している。党函館地区委員会の三国武治委員長代行は「国民の意見を聞かずに消費税や原発再稼働を進めてきた結果で、世論に追い詰められて解散したといえる。必ず安倍政権を終わらせ、現在の問題を解決するための別の道があることを国民に知ってもらいたい」と話し、党勢拡大の機会とする構えだ。(衆院選取材班)


◎高倉健さん死去 市民惜しむ

 

 函館を舞台にした「居酒屋兆治」(降旗康男監督、1983年公開)、青函トンネルをテーマにした「海峡」(森谷司郎監督、1982年公開)など道南にゆかりのある映画にも主演した高倉健さん。訃報が伝わった18日、地元ロケに携わった市民からも惜しむ声が上がった。

 「居酒屋兆治」は西部地区のチャチャ登りをはじめ、七財橋や函館朝市、中島廉売などで撮影された。作品中で高倉さんが演じる英治の居酒屋は金森倉庫にある設定。当時、撮影を間近で見ていた金森商船嘱託職員の中村一夫さん(60)は「ニュースを見て驚いた」と話す。

 撮影は1カ月半ほど市内各所で行われ、けんかシーンなどを見学。「寡黙な渋いイメージがあった高倉さんからおはようと言われ、気軽にあいさつしてくれる人なんだと思った。あいさつ程度だったが、とてもうれしかった」と振り返り、「偉大な俳優さんが亡くなり残念に思う」と惜しむ。

 高倉さんが買い物をするシーンのロケ地となった漬物製造販売店「中村商店」(中島町)の先代の中村登年さん(78)は妻の信子さんと同映画に出演し、「赤カブとニシン漬を手渡していたのが妻だった」と当時の写真を手に振り返る。息子の登さん(52)は「映画『南極物語』の撮影直後だったようで、手に傷が残っていたのが印象にある。背が高く物静かな人だった」と話す。

 ロケを手伝った、市内で喫茶店を営む太田誠一さん(61)は「男の渋さがあり、声にしびれた。時代が高倉さんの存在を求めていたと思う。コーヒー好きだったようなので、私が淹れたコーヒーも一杯飲んで欲しかった」と話す。(平尾美陽子)