2014年11月22日 (土) 掲載

◎ササラ電車80年 元気に試運転

 函館市企業局交通部は21日、除雪用車両「ササラ電車」の試運転を行った。1934(昭和9)年に東京から車体を購入して80年の節目。竹製のブラシを勢いよく回転させ、駒場車庫から五稜郭公園前電停間を往復。冬本番に向けて、出動準備を整えた。

 ササラ電車は明治末から東京で客車として運用した後、34年の函館大火で焼失した車両を補充するために購入。37(昭和12)年に除雪車両に改造され、2両が現役で稼働している。少雪で出動がない年もあったが、2008年度以降は毎年走行し、昨季はことし1月から3月に延べ10両、約172㌔の除雪に従事した。

 ササラは、孟宗竹(もうそうだけ)を竹ひご状に細かく割った束で、車両の前後に計864束を取り付けて、高速で回転させて軌道上の雪をはねのける。地面との摩擦で削られるなど、シーズン中の交換作業も必要になる。軌道上を走行できるトラック「軌陸車」での除雪が主流だが、降雪が多い日はササラ電車の機動力が発揮される。

 同部事業課は「急な〝どか雪〟による運行障害を防ぐためにササラ電車が活躍している。車両は老朽化しているが、整備をしながら大切に使用していきたい」としている。(今井正一)



◎クリファン新幹線カラー 巨大ツリー飾り付け進む

 函館の冬の風物詩「クリスマスファンタジー」(実行委員会主催)を彩るモミの木のイルミネーションの飾り付けが、函館港北ふ頭(浅野町)で、急ピッチで進められている。

 モミの木は、函館の姉妹都市カナダ・ハリファックス市から7日に到着。19日に作業を開始し、約15人が昼夜を問わず飾り付けを行っている。

 高さは約20㍍で、約10万個のLED電球を使用。今年は北海道新幹線をイメージし、会場のカラーをエメラルドグリーンと紫色に選んだ。電球の色の変化も例年より明確にして、来場者の目を楽しませる。

 実行委員会の佐藤賢治さん(50)は「今年は27日間もあるので、ぜひたくさん足を運んで、イベントを楽しんでいただければうれしい」と話す。モミの木は25日、金森赤レンガ倉庫群前へ海上移動する予定。(斎藤彩伽)



◎8区陣営 臨戦モード 衆院解散総選挙へ

 衆院が解散した21日、道8区(渡島・桧山管内)に出馬する各陣営は一気に選挙モードに突入した。12月14日の投開票までわずか23日間の超短期決戦で、候補予定者は東京から地元に戻ったり、管内を遊説したりするなどした。各陣営は体制構築に向けた詰めの調整を進めながら、師走決戦への緊張を高めた。

 ●前田一男氏

 自民党前職の前田一男氏(48)は衆議院本会議場で初めての解散に立ち会い、午後6時過ぎに帰函。「思ったよりも淡々と受け入れた。頭も体も心も選挙に向いている。バッジも国会事務所に置いてきたが、もちろん戻る決意だ」と力強く語った。

 その後、市内のホテルで開かれた連合後援会の幹事会に出席。選対に実質的なトップを置かず、同党の道議3人と、後援会会長団の複数の会長による「集団指導体制」で選挙を戦うことを決めた。「過去に前例がない体制」(後援会幹部)といい、党派を超えて幅広い支持を集める狙いだ。

 22日は市内でのあいさつ回りのほか、八雲、長万部町で集会を開く。23日は千歳町で事務所開きを行う。

 ●逢坂誠二氏

 民主党元職の逢坂誠二氏(55)は21日、函館駅前で朝の街宣活動後、桧山管内入り。福原賢孝道議とともに厚沢部、乙部、江差、上ノ国町で役場や農協、漁協、支持者へのあいさつ回りをこなした。

 夜は江差町地域振興センターで活動報告会を開催。「医療や教育、福祉を大事にし、地域振興や原子力などの政策にもう一度耳を傾けてもらわなければ」と議席奪回への決意を語るとともに、「(自民が勝てば)特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認、武器輸出なども、安倍首相は全部信任されたと言う」と現政権への危機感を示した。

 22日には江田五月元参院議長が来函。午後から函館駅前など市内数カ所で演説する。

 ●原田有康氏

 共産党新人の原田有康氏(66)は、解散とほぼ同時刻の午後1時過ぎから戸井地区で始動。浜町など4カ所で街頭演説を行い、消費増税の取りやめと大間原発の即時建設中止、集団的自衛権の行使反対を訴えた。

 原田氏は取材に「時間が延びれば延びるほど安倍政権の実態が暴かれる。その前に解散したのでは」と指摘。演説では消費増税の影響で国民生活がますます苦しくなると指摘しながら「大企業の顔色をうかがうような経済政策をやめることで、中小企業の賃金増加や安定した医療制度を実現できる」と主張した。

 また「野党としてしっかりと対案を出し、立ち向かえるのは共産党のみ」と述べ、本格化する選挙戦に向け力を込めた。(衆院選取材班)


◎函館PR タイで手応え 訪問団が帰函

 函館市の官民トップによるタイ観光客誘致訪問団が21日、帰函した。函館空港で工藤寿樹市長は「昨年の訪問時には函館の認知度は高くなかったが、今回はどこに行っても関心を示してもらった」などと述べ、来年2月にタイ国営のテレビ局関係者招請を決めたことを明かした。

 訪問団は松尾正寿市議会議長、松本栄一函館商工会議所会頭、渡邉兼一函館国際コンベンション協会会長らで構成し、現地では18〜20日の3日間、活動した。

 19日に訪問したタイ首相府広報局は、国営のテレビ局、ラジオ局などを運営。チャルーン副局長を始め、各部門の幹部らと約2時間懇談。来年2月の冬の花火大会開催時期に関係者を函館に招待し、取材支援を約束した。工藤市長は「きれいな街だと評価いただいた。タイ全土で函館特集を放映してもらえれば、効果は大きい」と述べた。

 また、タイ国際航空、タイの格安航空会社(LCC)のタイエアアジアXでは、函館へのチャーター便乗り入れについて幹部と意見を交換。定期便のある新千歳空港との組み合わせで観光ルートが構築できる利便性を強調し、両社ともに来年1〜2月にも函館空港の視察に訪れる意向を示した。工藤市長は「札幌までのルートを構築するために七飯町や登別市、洞爺湖町などとも連携したい」と述べた。

 このほか、政府観光庁ではポンサトーン副総裁から、政変前後に日本人観光客が2割程度減少したため相互の観光交流に期待が示されたほか、チャトロン元教育大臣とも懇談した。(今井正一)