2014年11月24日 (月) 掲載

◎函館八幡宮で新嘗祭

 勤労感謝の日の23日、函館市谷地頭町の函館八幡宮(中村憲由樹宮司代務者)では、五穀豊穣(ほうじょう)に感謝する「新嘗(にいなめ)祭」が開かれた。収穫された産物などを神殿に供えたほか、祝詞を捧げるなどした。

 新嘗祭の歴史は古く、天皇が新穀を神にささげるとともに、自ら食して1年の収穫に感謝し来年の豊穣を願う。

 奉賛会や敬神婦人会の氏子ら、約40人が足を運んだ。御神体をまつる本殿奥の扉を開け、氏子らが幣帛(へいはく)などを供えた。中村宮司代務者が祝詞奏上したほか、石崎地主海神社雅楽会による雅楽「浦安の舞」が奉奏された。最後は参加者が玉ぐしをささげ、1年の豊作に感謝を表していた。(小林省悟)



◎玄米と黒千石大豆でほうじ茶開発

 市民団体「どうなん地域WAKU2協議会」(田中いずみ会長)と茶販売卸業「中西翠香園」(函館市若松町7、中西政基店主)が、玄米と黒千石(くろせんごく)大豆を使ったほうじ茶の新商品を開発した。素材の持ち味を生かすため、浅いりのほうじ茶に仕上げており、香り豊かな、あっさりした味が楽しめる。黒千石入りほうじ茶の誕生は道内でも初めてという。

 田中さんと中西さんが偶然出会い、道南の魅力を発信するためコラボレーション商品の実現に向けた動きが今夏から進んだ。「ついき農園の有機玄米を使ったほうじ茶」と「政田農園の黒千石を使ったほうじ茶」(どちらも50㌘入り680円)で、10月から販売中。玄米は七飯町仁山の築城正行さん(62)、黒千石は森町赤井川の政田道明さん(63)が生産した。

 中西さん(57)が製茶技術を生かし、絶妙な配合比でブレンド、それに見合うようにほうじ茶をいった。飲み方は茶葉5、6㌘に熱湯を注ぎ、25~30秒かけてお茶を抽出。出し終わったあとは茶葉を食べることもできる。

 同協議会が手掛けた新商品は、七飯町産「ふっくりんこ」を使った米粉麺「池田農園のおいしいお米で作った麺」に続く第2弾で、今回も販路開拓に力を入れた。

 23日、ついき農園のカフェにわとり小屋で発表会があり、約10人がお茶の香りや味を楽しんだ。築城さんは「家でもおいしいと思って飲んでおり、多くの人に飲んでもらえれば」、政田さんは「黒千石を食べるところまで楽しめる。幻の黒大豆と言われるが、道南の土地に適しており、お茶にも合っている」と話した。

 両農園の直売所のほか、お茶のなかにし、カフェ「ハルジョオン・ヒメジョオン」(函館市大手町)で販売。問い合わせは中西翠香園(TEL0138・22・3717)へ。午前9時~午後6時。日曜定休。(山崎大和)



◎北大生がホタテのミミなどの健康機能研究

 

 北大水産学部の4年生3人が、普段捨てられているホタテの外套膜(通称ミミ)と海藻「ダルス」が持つ健康機能について研究を進めている。ミミには脂質の吸収を促進する働きがあり、ダルスのボイル塩蔵の加工品にも生と同様の健康面での効果があることが研究で分かった。未利用資源を貴重な水産資源として有効活用、地域産業の活性化につなげたい考えだ。

 北大大学院水産科学研究院の岸村栄毅准教授の研究室に所属する勝倉哲さん(22)、熊谷侑貴さん(22)、吉野真緒さん(23)が卒業研究として取り組む。

 ミミの研究では、タンパク質を酵素分解したペプチドを採用。ラットによる動物試験で脂質と一緒に食べさせたところ、脂質の吸収を助ける効果が見られた。生活習慣病を防ぐため、脂質吸収を抑える特定保健用食品が注目を集める中、勝倉さんは「逆に脂質を吸収しないといけない人もおり、アスリートやエネルギー不足な高齢者向けの食品の開発につながる」と期待。「外套膜に付加価値を付け、噴火湾の養殖ホタテ振興に役立てられれば」と話す。

 ダルスは以前から、血圧上昇に関与するACE(アンジオテンシンΙ変換酵素)の活性を阻害する作用があるほか、血糖値の上昇を防ぐことや抗酸化作用があることが研究で分かっており、今回は保存性を高めるためのボイル塩蔵品にした際に同じ作用があるかを調べた。塩蔵品は今年から、一部で試験販売されている。吉野さんによると、ACEの活性を抑える働きと抗酸化作用があることを試験管内での反応によって確認したという。

 ダルスはカナダや北欧では食習慣があり、サプリメントにも利用。しかし、日本ではあまり知られておらず、コンブの養殖ロープに繁茂しコンブに日が当たらないため除去される。熊谷さんは「ダルスはシャキシャキした食感でおいしく食べられる。これに健康機能がプラスされれば、函館の食産業の活性化に貢献できる」としている。(山崎大和)


◎函館市が広報紙を電子書籍化

 函館市は、広報紙「市政はこだて」を電子書籍化し、12月号からスマートフォンやタブレット端末向けに配信を始める。

 広報は紙媒体のほか、市のホームページ上にPDF形式のデータを掲載しているが、スマホ利用者らを対象に読者層の拡大を図るのが狙い。

 須田製版(札幌)が運営する「Hokkaido ebooks」と、ホープ(福岡)が運営する「i広報紙」の2媒体にデータを配信。両社が無償でサービスを提供するため、市の費用負担はない。またi広報紙は市発行の観光パンフレット「浪漫函館」も配信する。

 「Hokkaido—」は28日から、市をはじめ全道40自治体の広報紙を提供。同社のサイト(http://www.hokkaido—ebooks.jp/)からダウンロードする。「i広報紙」は27日からで、北海道の自治体としては初めて配信。iOS、アンドロイド両端末で専用アプリをダウンロードして閲覧する。

 気になる記事は切り取って、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で共有できるのも特徴。市広報広聴課は「函館を離れていても見られるのが利点の一つ。ぜひ活用してほしい」としている。問い合わせは同課(TEL0138・21・3631)へ。(千葉卓陽)