2014年11月29日 (土) 掲載

◎道新幹線「グランクラス」のシート展示

 JR北海道函館支社は28日、JR函館駅の1階コンコースで北海道新幹線H5系車両「グランクラス」のシートの展示を始めた。同日限定で体験会が開かれ、駅を訪れた市民や旅行客が次々と座席に腰かけて、ひと足早く極上の座り心地を味わった。

 H5系は1編成10両。グリーン車より上のグランクラスは1両だけで、18席しかない。座席は乗客を包みこむような大きさで、本革を使った豪華な仕様。座席と座席の間も広く、ゆったりとした空間だ。

 体験会では、希望者が用意された2席のシートに座り、記念撮影などで楽しんだ。室蘭市の小学生、田中楓君(8)は「背中がふかふかで気持ちが良かった」と笑顔。函館市内の会社員、藤田雅也さん(31)は「最高の座り心地。東京までの4時間を快適に過ごせそう。一番列車にぜひ乗りたい」と開業に期待を膨らませていた。  来年1月4日まで展示するが、座ることはできない。(松宮一郎)



◎ゲームで教育支援、未来大生がプロジェクト

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の3年生12人が、ゲームを利用して教育を行う「ゲーム・デ・エデュケーション」プロジェクトを進めている。ゲームの力で子どもの学習の理解を促す狙いで、ゲームでの学習後にテストの点数が上昇するなど成果も現れている。

 本年度のプロジェクト学習で、茶谷浩基さん(21)がリーダー。脳波チーム5人、ジェスチャーチーム3人、クイズチーム4人に分かれており、8月に東京でワークショップを行い3チームが開発したアプリを提供。9月には、プロジェクトを担当するバゲンダ・ドミニク准教授の母国ウガンダを訪れ、小学生が中学校へ進学するための資格試験の理科学習をiPadアプリで支援した。

 函館赤川小では、5年生を対象に今月13日に脳波チーム、同20日にジェスチャーチームが授業を行ったほか、12月4日にもクイズチームが授業を予定。このうち、ジェスチャーチームはタッチレスコントローラー「キネクト」を使い、血液循環と植物育成という理科の学習ゲームを開発し、効果測定を行ったところ、学習前との比較で血液循環ゲーム(8点満点)は平均1・65点、植物育成ゲーム(9点満点)は同2・65点、それぞれ点数が上がった。茶谷さんは「ジェスチャーを取り入れることで、子どもの印象に残りやすい」と話す。

 担当する角薫教授(メディア情報学)は「ゲームは子どもたちが喜んで取り組めるほか、ビジュアル面で深く印象に残る。学習後に点数が向上する効果も見られた」と成果を強調する。

 この活動は、12月12日に未来大で開くプロジェクト学習成果発表会でも報告する。(山崎大和)



◎合併10年、工藤市長“及第点”

 函館市の工藤寿樹市長は29日、定例会見を開いた。旧東部4町村との合併から12月1日で10年を迎えるのを前に、「旧4町村に配慮しながら、縄文文化交流センター整備や漁業振興など、丁重にやってきたと思う。100点満点は難しいが及第点。旧市内も人口減少や高齢化が進み、共通課題として全市的な見地で取り組みたい」と述べた。

 工藤市長は旧4町村との合併を「良かった」と評価。「人口減少や高齢化が進む中での合併で、明るい未来が開けるという幻想は持っていなかった。今の社会、経済情勢では衰退を少しでも食い止めるというのが合併の効果」とした。

 公共施設の整備や旧4町村の基幹産業である漁業振興などの予算措置も進めてきた一方で、「(支所に)顔も知らない職員がいて寂しいという思いもあるだろうが、合併の常。住民感情としては致し方ないだろうと思うが、和らげるような行政の在り方、地域への思いは持ち続ける必要がある」と述べた。

 また、今後の市町村合併の在り方について、渡島、桧山管内全体がひとつになる時代が来るとの認識を示し、「広域行政の観点が必要。ドクターヘリや定住自立圏などにも力を入れている。将来の広域化を見据え、連携、協力していきたい」と述べた。(今井正一)


◎イルミナシオン映画祭「シナリオ大賞」、グランプリに室岡さん

 函館港イルミナシオン映画祭実行委員会は28日、「第18回シナリオ大賞」のグランプリ(函館市長賞)を発表した。今年は全国から76作品の応募があり、東京都在住の室岡ヨシミコさん(34)の作品「白孔雀 白い花嫁 白い米」が選ばれた。授賞式は12月5日に金森ホールで行われる。

 同実行委が選考した10作品を荒俣宏さん(作家)、井上淳一さん(映画監督、脚本家)、河井信哉さん(映画プロデューサー)の3人が最終審査した。

 室岡さんは旭川出身で、同大賞に昨年初めて応募したが予選落ち。「今回は悔しい思いをバネに再挑戦した」といい、函館を2回訪問し、構想を練ったという。作品は、函館を離れて美しい容姿を失った女と、女を待ち続けていた元恋人との恋模様を描いており「受賞を聞いた時は信じられず、とても驚いた。地元北海道で賞を取れてうれしい」と受賞を喜ぶ。

 このほか、準グランプリには札幌市在住の成田匡希さん(47)の「サンセット理髪店」が選ばれた。  同大賞は函館の街から新しい映画や人材を全国に発信しようと1996年度から開いている。(平尾美陽子)